ほじくり返した記憶をもとに

酒を飲みすぎた。とうもろこし茶と焼酎を混ぜた酒、矢鱈、べらぼうに旨かった。あれは凄いぞ。とうもろこし茶。コーン茶。あれは本当に凄いな。飲める飲める。グイグイ飲める。「鯨飲」の概念、身を以て知った。あれはすごい酒だ。おかげで記憶が殆ど無い。その量、爪の間の塵ほどにも及びませんで。

朝方六時、千鳥足ぶら下げて退店。時間は覚えていた。紫がかった水色の空を見上げたおかげで足元ぐらつき、その辺の草むらに突っ込んだ。覚えていた。そこそこ覚えていた。

退店時間、空の色、出血する左腕における響きだけが記憶に染み付いて、ガスコンロの周囲にベラッと広がる油みてえなもんで、そればっかりこびり付くのだ。

本日は十三時に身体起き上がってくれたけれども、その際は惨かった。脳の右前方を酷く刺されていた。ブッサリやられた。あらゆる痛みを集めて、俺の頭に突っ込んだみてえだ。怖いな。酒。酒に負かされ強烈な頭痛起こし、血噴出、打撲、なんてことかい。飯も食えたもんじゃない。

「二日酔い」とは、なんとも美しい言葉ですね。まことの酒呑みが作ったとしか思えない。どうも都合の良い、半身乗り出したような情けなさが伺える。素っ頓狂な顔つきよ。幸福の自動延長だ。求めて起こすミステイクのような。わざとくさくて敵わん。そこに美を見る。

何も手につかない。なお今までも。二度寝三度寝、惰眠に次ぐ惰眠の末、午後五時にまで辿り着いた。まったく困ったもんだな。「二日酔い」も良いが、うーん、「二度寝」っていう言葉も良いねえ。分からないかねえ。

日記について、終わり方をよく理解できていない。明日も良い日になりますように。これで良いのか? これから酒飲みに行く。こちらは、幸福の手動延長かしら。気に入ってまた使っちゃったな。

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三浦 希
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