目の前の今を感じていたいのさ。

美術館が好きだ。


ふらっと立ち寄るタイプ。


そんな話をすると。
「どんな作家が好きなの?」とよく聞かれる。


知らん。


というか誰でもいい。


誰かの作品を見に行くのではなく。
そこにある作品との出会いを求めているのだ。


一番大事なのは。
目の前の作品を見て。
俺がその時どう思うかだ。


その時好きな作品に出会えればそれで良い。


偶然に賭けているのさ。


有名な作家なのかもしれないし。
そうじゃないかもしれない。


そこにはあまり興味がない。


出会った作品の作者を調べて。
他の作品を見に行ったりしない。
ましてや。
その作者の経歴を調べたり絶対しない。
調べた所で一々憶えていない。


目の前の作品を感じる上で。
俺にとってはいらない情報なのだ。


いろんな事に対してそうなのだが。


例えば映画。


大ヒットしたあの映画の脚本家の。
あの有名な映画を手掛けた監督の。
あの映画にも出演した俳優の。
制作費何億円の。


映画を観たいとはならない。


全くもっていらない情報だ。
俺はただその映画の世界観に没頭したい。


例えばラーメン。


ここの大将はどこ何処で修行して。
何系で。
超有名店で。


そんな事はどうでもよい。
出されたラーメンが美味しければそれで良いし。


音楽に関しても。


何とかって売れたバンドにいたとか。
有名なアーティストの知り合いだの。
昔は売れてたとか。
何年やってるだとか。


知るか。


今聴いてるその曲はカッコいいのか。
そこにしか興味がない。


ルーツやバックグラウンドを調べて。
色々知りたいっていう趣味の人もいると思う。
それはそれで良いと思うし。
作者に敬意を払う素晴らしい行為だと思う。


でもそれを押し付けられるのは嫌いだね。


俺はそういう情報無しで。
その瞬間の感情を大切にしたい。


目の前の今を感じていたいのさ。


それじゃまた。

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