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靴とザックの重さに慣れておこう

1. 靴の重さと筋活動量 

私たちが普段履いている靴がどのくらいの重さか知っていますか。男性用のスニーカーで約300〜400g、革のビジネスシューズで約400〜500g、女性用のスニーカーで約200〜300g、パンプスで約200gです。それでは、登山靴の重さはどれくらいでしょうか。ローカットシューズで約400g、夏山使用のハイカットシューズで約500〜600g、3シーズン用で約700g、雪山用で約900g、ちなみにエベレストなどの高所登山用になると約1,300gです。

時々しか登山に行かない場合、登山靴が重く感じることはないでしょうか。そう感じてしまうのは、普段履いている靴と登山靴では、これだけの重量の差があるためです。実際に足首に重りを付けて歩くと、裸足で歩くよりも25%も筋肉の活動量が大きかった、という実験結果もあるように、靴の重量の違いによって、疲れ方が変わるのです(図1)。

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2. 靴の重さに慣れるためのトレーニング

登山靴を履くと、普段の靴よりも筋肉の働きが増えることがわかりました。そのため、特に、時々しか登山を行わない人は、登山靴の重さに慣れておくためのトレーニングが必要です。そこで、靴の重さに慣れるためのトレーニングとして、ヘビーウォーキングを紹介します。ヘビーウォーキングは、80歳で世界最高峰エベレスト登頂を果たした、三浦雄一郎氏が考案したトレーニング方法です。エベレスト遠征中はほぼ毎日登山活動を行います。さらにベースキャンプから上部は登攀用具も増え、装備重量は重くなります。実際に、エベレスト山頂アタックの際の装備は、アイゼンと靴で片足約2kg、服装約3kg、酸素ボンベなどの入ったザック約10kg、合計約15kgを身につけて行動する必要があります。

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彼がヘビーウォーキングを行う理由は、トレーニングとして行うウォーキングに、エベレスト登山を想定した負荷をかけることができないか、と考えたためです。このヘビーウォーキングは、彼が若い頃に立山で行っていたボッカの仕事をもとに考案したそうです。ヘビーウォーキングの場合、脚の先端に重りを付けるため、必然的に大腿四頭筋の活動量も増えます。大腿四頭筋が働くと、臀部や腰部の筋肉も動員されるため、筋力トレーニングとして有効です。

では、どのくらいの重さが適切なのでしょうか。三浦雄一郎の場合、現在は片足5kgを付けて歩いています。しかしいきなりその重さで開始したのではなく、500gから開始し、今の重さになるまでに3年かかったそうです。過度な重さは腰痛など、怪我の原因になるので気をつける必要があります。日常的に付ける場合の重さの目安は、女性は約250g、筋力の高い女性や男性は約500gで行うといいでしょう。足首に重りを付けていても、日常生活を無理なく送ることができる重さがちょうど良いです。階段を登ることがきついと感じる重さは、長時間続ける場合は重すぎる可能性があります。ウォーキングなどのトレーニング時にのみ付ける場合は、日常生活の場合よりも少し重たくてもかまいません。3ヶ月行ってみて、重りを違和感なく感じるようになったら、100gずつ重たくしてみましょう。

ippo81ページ:ヘビーウォーキング

ヘビーウォーキングを行う際の歩き方ですが、重りを付け始めた際、そして負荷をあげた際は、普段の歩行よりも少しゆっくり歩くことを心掛けて下さい。脚の付け根(腸腰筋)から脚を持ち上げるように歩くと、大腿四頭筋などの活動量も増えます(図1参照)。

3. ザック重量と体にかかる負担

登山を行う際は、ザックを背負って行動する場合が多い。靴の重さによって筋肉の活動量も増えますが、ザックの重量の変化によっても、体にかかる負荷は変化します。例えば、歩く速度を変えずにザックの重さが10kg増えた場合、上りの心拍数は17拍増え、主観的運動強度(きつさ指数)は2増えます。また、脚筋力の活動量は74%も増加します。上りだけでなく、下りでも同じように体にかかる負担は大きくなります。

4. まとめ

普段のトレーニングとしてウォーキングを行なっている人は、靴の重さを調整してみたり、ザックを背負ってみたり・・・登山を想定したヘビーウォーキングも取り入れてみよう!


※こちらは、期間限定の無料配信記事となります。5月は限定期間として無料で配信いたします。

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