彼女との日常@オチなし(短編小説)


彼女の微笑みに、僕は胸が締め付けられる。
「今日はお泊まりです!」
「……はい?」
「明日もお休みですし、今日はこのまま泊まっていきませんか? お部屋ならありますし」
「いやいや! そんなのダメですよ!」
「でも、せっかくですから……ね?」
彼女は可愛らしく小首を傾げる。
(うぅ……そんな仕草をされると断れない)
「分かりました。それじゃあ、お言葉に甘えて……」
「やったぁ!」
僕が承諾すると、彼女は嬉しそうに飛び上がった。
それから僕たちは、一緒に夕食の準備をする。
と言っても、僕は指示通りに動いただけだが。
そして、出来上がった料理を二人で食べる。
「美味しいですか?」
「うん、とっても美味しいよ」
彼女が作ってくれた料理はどれも美味しくて、ついつい箸が進む。
「ふふっ、いっぱい食べてくださいね」
彼女は僕の食べる姿を見て、とても嬉しそうな顔をする。
その笑顔を見ると、僕も幸せな気分になる。
「そういえば、このお家には他に誰もいないんですか?」
「はい、私一人ですよ」
「そうなんだ……こんなに広い家に一人だと寂しいですよね」
「……そうですね。だから、あなたが来てくれて嬉しいです」
そう言って微笑む彼女に、ドキッとしてしまう。
それから、僕たちは食事を終えて片付けをする。
その後はリビングでくつろぐことにした。
「お風呂の準備が出来ましたので、どうぞ入ってきてください」
「え!? いや、さすがにそれはマズいですって!」
「大丈夫ですよ。着替えも用意してありますから」
そう言うと、彼女は脱衣所へと僕を引っ張っていく。
「ちょっ、ちょっと待って!」
「さぁ、脱いでください」
「いや、自分で脱げますから!」
結局、彼女に服を脱がされてしまった。
その後、身体を洗って湯船に浸かる。
その間、彼女はずっとニコニコしていた。
風呂から出ると、すぐに寝巻きに着替えさせられる。
そのままベッドのある部屋へ連れて行かれた。
「さっ、一緒に寝ましょう」
「いやいやいや! さすがにダメだって!」
「どうしてですか? 私たちは恋人なんですから問題ありませんよ」
「そ、それでもダメだよ!」
「むぅ~、仕方ありませんね。では、せめて抱き締めさせてください」
彼女は頬を膨らませながら、僕に抱き付いてくる。
それから、しばらく頭を撫でていると、次第にウトウトし始める。
やがて、彼女は静かに寝息を立て始めた。
(本当に可愛い寝顔だなぁ)
僕は彼女の顔を眺めながら、眠りにつくのだった。
翌朝、目が覚めると隣に彼女が眠っていた。
一瞬驚いたが、すぐに昨日のことを思い出す。
(そうか、昨日は泊まったんだっけ)
眠っている彼女を起こさないようにベッドから抜け出す。
それから、顔を洗い歯を磨いて身支度を整える。
しばらくすると、彼女も目を覚ましたようだ。
「おはようございます」
「おはよう、よく眠れましたか?」
「はい、あなたのおかげでぐっすりでした」
「それなら良かったです」
それから、朝食を済ませると、僕は帰り支度を始める。
「それでは、また遊びに来てくださいね」
「はい、必ず来ます」
そうして、彼女と別れた。
家に帰る途中、ふと携帯を確認すると彼女からのメッセージが入っていた。
『今度はいつ会えますか?』という文面を見て、思わず笑みがこぼれてしまう。
『いつでも良いですよ』と返信して、僕は家路についたのだった。

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