キミが存在しないラブコメ 第42話

放課後になったが、これから、どう行動すればいいのかさえ、よくわかっていない。

心野友代の味方になったからこそ、《影》というものが、僕には、いまいち理解できていないような気がする。

友代も自分のことを理解していないようだし、これから、どうしたら……。

「兄さん、帰りましょう……なんだか最近、変ですよ」

「ああ、うん……」

桜舞が僕の様子を見て、心配してくれているようだ。

できた妹である。

「いくぞ、友代」

「…………はい!」

「ところで兄さん、《ともよ》って誰ですか?」

「マイ・スピリチュアル・フレンドだよ。気にするな」

「はあ」

「――あのさ、武尊」

「うん?」

「一緒に帰ろ?」

「……ああ、うん、いいよ」

月のように黄色い髪をした幼馴染――布佐良月子が話しかけてくれた。

話すのは、今日で二度目になる。

「じゃあ、いこうか」

「うん」

こういうときは年上の僕がリードしないと……。

僕と月子は初凪町に住んでいる。

だから伝播高校にはバスで向かい、帰りもバスになる。

今、帰るためのバスに乗ったところだ。

なんだか知らないけど、桜舞も友代も会話に参加せずに黙っている。

友代は幽霊だから仕方ないとして、桜舞は会話に参加したっていいのに……なんの空気を読んでいるんだ?

「しかし、あれだな。最近どうしたんだ? なにか理由があって帰りに誘ったのか?」

「別に……理由なんて、なくてもいいじゃん。わたしたちは幼馴染なんだし」

「もしかして僕を慰めてくれているのか?」

「ううん、そうじゃなくてね……わたしも真海奈を失って、さみしいの」

月子は真意を語り始める。

「本当は真海奈だけじゃなく、わたしも遊びたかった。だけど、真海奈が武尊と恋人になりたいと言った、あのころから、わたしは武尊を避けていた」

「なんで?」

「なんでって真海奈と武尊の仲を邪魔したくなかったから」

「それは僕に冷たくする理由にはならないんじゃない?」

「でも、武尊は真海奈と付き合うべきだったんだよ! 年だって同じだし、彼女は武尊の味方になりたかった! たとえ、よこしまな考えで外堀を埋めるような行動をしていたとしても、武尊は真海奈の想いに応えれば、わたしだって楽になれたのに!」

「どういう意味さ、それ?」

「どういう意味もないよ! わたしには武尊の想いに応えられないんだから! 気づかないとでも思った!?」

「えっと、なにに?」

「もう、言いたくないんだよ、わたしからは!」

「僕の想いってなんだよ? 月子は僕の――」

「ごめんなさい! わたし、ここで降りるから!」

バスから降りていく月子。

なにが、言いたいんだよ……?

もしかして、月子は――。

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