小さな旅・思い立つ旅|美しき遺構の誘い 廃墟の島旅へ[軍艦島、犬島、友ヶ島]
衣 食 住 + 旅?
人が生きていく上で欠かせない要素は「衣 食 住」の3つ。では、それに次ぐ4番目の要素は何か?
たぶん人によって答えはバラバラで、「遊」や「楽」といった言葉をあげる人もいれば、「知」や「教」をあげる人がいるかもしれない。人とのつながりが大切なら「友」や「愛」で、ものつくりが好きななら「創」や「美」もあり。
いずれにせよ、4番目の要素を聞くことで、その人の価値観や趣味嗜好が垣間見れておもしろい。
衣 食 住 + 旅
旅先で遊んだり、ゆっくり休んだり、その地の歴史や風土に浸り、絶景に酔いしれたり。ひとりで出歩いたり、家族で楽しんだり。「旅」という言葉に、いろんな意味合いが含まれるので、自分が選ぶなら「旅」一択。
「衣 食 住」と「医 職 銃」
「衣 食 住」は、人が生きていくために必要な三要素。対して、「医 職 銃」と漢字を変えると、国を維持するために必要な三要素になることを思いつく。
医療・介護予算で健康な暮らしを保障し、成長産業に予算をつけて国を成長させ、防衛費で国民の命を守る。「衣 食 住」を「医 職 銃」に変えるだけで、必要な三要素の主体が、「人」から「国」へ変化する。
ということで、「旅」と「医 職 銃」を考えるのにちょうどいい軍事・産業遺構のある島旅へ。美しき遺構の誘い、廃墟の島でもどうでしょう、という話。
医|最先端医療と劣悪な環境が共存する軍艦島
職|銅の製錬所の遺構とアートな犬島
銃|軍事施設の廃墟がラピュタのような友ヶ島
医|軍艦島の立体都市
地上に伸びる都市 と 地下に伸びる炭鉱 の対比
世界遺産でもある軍艦島は、明治から昭和にかけて海底炭鉱によって栄えたところ。最盛期の島の人口は5000人を超え、人口密度は東京の9倍で世界一。
所得は全国平均の2倍で、病院も学校も映画館もある最先端の暮らしができる高層高密の海上都市。日本初のRC造の建築物が建造され、テレビの全国普及率10%当時に、軍艦島ではすでに100%!
対して、地下に伸びる炭鉱は最大深度1100m。横には2500m伸び、急勾配で、気温30℃、湿度95%、常にガス爆発の危険と隣り合わせの過酷な環境。
地上の都市と地下の炭鉱、生の謳歌と死の追憶。
その狭間に浮かぶ軍艦島の静寂に、心惹かれる。
職|遺構とアートな犬島
朽ち果てた煉瓦と石がアートになる
岡山にある周囲3.6kmの小さな島。明治の終わりから大正の始め、たった10年だけ操業していた銅の製錬所の遺構。
5000人が暮らす最盛期を経て、時は過ぎ、高齢化も進み、近年はたったの50人が暮らすのみ。2008年に製錬所の遺構を保存・再生した犬島精錬所美術館が開館、2010年からは「家プロジェクト」が始動したことで、近年は「アートの島」として大人気。
「在るものを活かし、無いものを創る」
美術館は、自然エネルギーである太陽、地熱と、銅製錬所の副産物であったカラミ煉瓦や犬島石など、そこに在るものを最大限活用している。象徴的な煙突も、心地よい環境を生み出す装置として活用される。
銃|ラピュタの世界が広がる友ヶ島
自然と廃墟が融合する神秘の島
紀淡海峡に浮かぶ友ヶ島。明治から昭和にかけて旧日本軍の要塞施設として使われていた島で、砲台跡などの廃墟が数多く点在している。
時が経ち、朽ち果てた廃墟が自然と溶け合い、『天空の城ラピュタ』の世界に迷い込んだかのような幻想的な風景が広がっている。
廃墟なので照明はなく、懐中電灯がないと歩けないことも相まって、冒険心をくすぐる廃墟探訪。
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