コーヒーを飲みながら春の憂鬱を吐き出す
こんばんは。ミウムです。
今日は話したいことがあって。
コーヒーを片手に放してみようかと。
かなわれなかった希望、
未来になれなかったあの夜。
これが私がずっと抱えているこころだった。
コーヒーは行きつけのカフェのブレンド、
「広陽梅の花」
広陽は梅の花で有名な町らしい。
コーヒーをいれてみた。
オレンジみたいな香味に花のような香り。
それといい甘味。
いつも甘味が好きなんだ。
カフェのブレンドの紹介を書いてみる。
「どこまでが冬でどこまでが春なのか
私たちの言葉では境を決められず
私の春は梅から始まる。」
みんなそれぞれの春があるんだ。
たぶんみんな違うと思う。
だかわたくしの春も梅から始まる。
それはあなたが梅の花が好きだとおっしゃったから。
梅の花は桜より早く咲くんだって。
実は私にそれはどうでもよかった。
梅の花が切なく寄ってきたのはすべてを失ってからだ。
「その中に実際身を置いたとき、僕はそんな風景にほとんど注意なんて払わなかった。特に印象的な風景だても思わなかったし、十八年もその風景を細部まで覚えているかもしれないとは考えつきもしなかった。正直なところ、そのときの僕には風景なんてどうでもいいようなものだったのだ。」
ー村上春樹、『ノルウェイの森』
そう、梅の花が咲くには興味をもっていなかった。
いまさら言うと、わたしはさくらがすきだった。
地元に戻って、私はひどいホームシックになっていた。
今の生活に意味なんてない、
ここは私の居場所じゃない、と。
アメリカで留学する機会もあった
アメリカなんてどうでもいいから、わざと諦めた。
私は異邦人、地元に住んでいる。
ある春、私は驚いた。
家の手前の公園にさくらが満開していた。
そう、この町にも桜はあった。
わたくしはどうすればいいのか。
この夏、私はオンライン詩集を出した。
タイトルは「夏さくら」
時間がたって、またひとつを出す。
「喪失の後に残されたものたち」
克服できない喪失ってある。
わたくしはどうしようもなく苦しんだ。
コーヒーを飲み終わってしまったので、
ここでいったん切ります。
もう一杯いれてきます。
そう、私は春が苦しい。
そして美しいなんて思わない。
それでも梅の花は咲いていた。
「真っ白な百合が鼻の先で骨に徹えるほど匂った。
そこへ遥かの上から、ぽたりと露が落ちたので、花は自分の重みでふらふ
らと動いた。自分は首を前へ出して冷たい露の滴る、白い花弁に接吻した。自分が百合から顔を離す拍子に思わず、遠い空を見たら、暁の星がたった一つ瞬いていた。
『百年はもう来ていたんだな』
とこの時始めて気がついた。」
ー夏目漱石、「夢十夜」
私は自分の想いが消えることなく、春につれて戻ってくるのを見つけた。
うれしかった。
またどうしようもなく切なかった。
わたくしは永遠をもとめている。
永遠なんて、ない。
ある。私のこころが揺れない限りある。
「こんな夢を見た。
しかし女は静かな声で、もう死にますとはっきり云った。自分も確かにこれは死ぬなと思った。そこで、そうかね、もう死ぬのかね、と上から覗き込むようにして聞いてみた。死にますとも、と云いながら、女はぱっちりと目を開けた。大きな潤いのある眼で、長い睫に包まれたなかは、ただ一面にマ真黒であった。その真黒眸の奥に、自分の姿が鮮やかに浮かんでいる。」
ー夏目漱石、「夢十夜」
私は、永遠が途切れる絶望を感じた。
それから二年、僕は誰かが好きになった。
重い恋ではなく、軽い気持ちで始まりたい。
でもうまくいかなかった。傷をついた。
私は何がいいのか、どうすればいいのか分からないまま今をいきている。
そうだ
今を生きるのだ
つらい過去もかなうことない未来も忘れて
今だけを楽しめば、つらいことはない
すべてを投げ捨てたいといっているように、僕はそう思った。
実際、私は何かを忘れようとしている。
ダメ人間みたいに
何もかもほっといて前に進みたがっている
しょうもない人になりたがっている
でも大切なことは忘れていない。
記憶が枯れ切るまで離さない。
わたくしはまだ故郷のことをおもっている
いつかまた会える日まで
まだ持っている
夢からもらってきた証
待っている
また
また
また
いつか、また。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?