強く優しい営業組織でありたい。
息子の名前を考える際に、妻と「どんな子に育ってほしい?」とお互いに聞いたところ、私は「弱い人に寄り添える優しい人になってほしい」と言い、妻は「人に優しくするためには、まず強くなければならない」と言った。なので「優しくて強い」がテーマとなり、そのイメージから連想する「太陽」がモチーフとなり、姓名判断アプリ等で画数も調べた結果、「陽太」というのが初めに考えた名前だった。(のちに、その名前はダサすぎると親族から言われ、泣く泣く変更することになる。苦笑 ←全国の陽太くんとそのご両親ごめんなさい、他意はないです。苦笑)
さて、話は変わり、現在私は会社の中で営業サポートの部署にいる。営業サポートの仕事は多岐にわたるが、大きく言うと、会社のオペレーションを回すうえで、営業とそのバックオフィスであるマーケやロジスティクス等の部門を繋ぐのが役割と言える。ただ、具体的に言うと、何か報告物があって、それを取りまとめたりとか、事業売り上げをまとめ、分析し、定期的に発信したり、会議運営したり、と一つ一つは地味な仕事だ。なので、あまり「営業サポートがやりたい!」という人は社内では見かけないし、すごく優秀な人が営業サポートに来る、ということもあまりないように思う。(これはn=1の意見なので、他者や他社は全くわからず書いてます。)
私が営業サポート部にきて1年がたった。正直この1年間は大した仕事はできなかった。私はロジまわりの取りまとめが一つの仕事だったので、それを中心に営業から数字を取りまとめ、それをロジ部門につなぐという単調な仕事はこなしつつ、現在所属する営業組織や人、それを取り巻く環境に何が課題があるのかを、ずっと観察して見ていた。
私から見ると、営業の人たちは優秀だ。話していても頭の回転が早い。人によって報告物を忘れたりとか、そういうミスはあるが、対得意先の資料を作成したり、それを淀みなくプレゼンしたりする能力は総じて高い。
が、何か元気がない。活気がない。というか、皆目の前の仕事に手いっぱいで、中長期的な視点がない?余裕がない。そんな気がしていた。
2025年年度初めに、我々サポート部でも、どう仕事を回していくか、既存の仕事はミニマムに効率的にこなし、空いた時間でどう新たな価値ある仕事をしていくか、という議論を進める中で、自分なりに現在の問題を書き出して、それと比較したあるべき姿を描き、その間にある課題を抽出し、対応策を考えてみた。
軸としては、「営業個人の問題」「営業組織の問題」「営業組織を取り巻く環境の問題」で整理してみた。
例えば、「営業個人の問題」だと、「忙しい」「やりがいがない」「体や心を壊す人がいる」「キャリアが見えない」とか、「営業組織の問題」だと、「担当間のコミュニケーションが悪い」「結果、同じ仕事をやる無駄が発生したり、シナジーが生まれない」とか、「取り巻く環境の問題」だと、「マーケが決めた制約の中で仕事しており、商談しづらそう」等の問題がある。(ほかにも沢山あるけど割愛)
端的にいえば、課題は、「営業ーマーケ」「営業ー営業」のコミュニケーションが悪く、個人の属人的な能力で仕事しているため、組織能力が高まらないことでは?という仮説をたてた。(まぁどこの組織でもありがちな話だけど)
その仮説をもとに、各種問題を解決する対応策と主管部門を仮で設定し、その優先順位付けを決定するために、「営業のニーズの高さ」「解決の困難度」「解決にかかる時間の長さ」で〇△×を付けてみた。(ニーズが高く、困難度が低く、時間がかからないものが優先順位高くなる)
で、それを今度は営業部長にぶつけてみて「仮説があってるのか」「ニーズの高さはどこにあるのか(=課題感をどこに持っているのか)」について、ヒアリングしてみた。
営業部長によってカラーがあるので、ひとくくりには出来ないのだけど。面白かったのは、うちの営業部長たちは体育会系のカラーが強いのだな、ということが分かったこと。
どこら辺からそれが見えたかというと、例えば「営業担当間のコミュニケーションが取れていないことで、皆が同じことに取り組む無駄が発生していたり、あるいは、情報交換することによるシナジーが生まれていない問題」について「これは個人の意識の問題だよね、聞こうと思ったら聞けるのだから、自分で聞けよ!って思う」という自己責任論者がとても多かったということだ。
これは、もちろん、そういう個人の意識の側面もあることは否めないが、その裏には、「誰に何を聞けばいいかわからない」とか「聞きたい相手が常に忙しそう」とか「まずは自分で調べてからと思うけど、調べるツールが多すぎて、どこを調べれば最短距離でいけるのか分からない」といった、コミュニケーションに付随する問題が芋づる式にあるが、これを解決しようというつもりはないのだ。(自分の仕事の範囲外であるから、というのもあるし、自分たちもその不自由さの中でやってきたから、というのもある気がする)
加えて、「俺なら~する」という正解が自分の中にあって、「なぜ~しないのか分からない」という、正解主義というか、「自分以外にこういう人たちもいるのだ」という体育会系以外の人たちへの思いやりというか、気遣いというか、想像力が欠けているような気がする。
そういう人たちが管理職に多い組織はどうなるか?
それは、そういう体育会系コミュニケーションスタイルや仕事スタイルを一律に求めることに繋がるので、多様なタイプの営業が生まれない、結果組織能力が高まらないことになってしまう。
すべてが個人主義、個人責任主義の組織なんてイヤだ。
自分のようなタイプじゃない人がいるからこそ、「こういう営業スタイルや考えもあるのだ」と気づきが生まれたり、コミュニケーションすることでシナジーが生まれるのに。そういう人の意見を引き出せるような仕組みや気遣いがあってこそ、(多少手はかかったとしても)組織能力が上がることに繋がるし。離職率が下がったり、会社愛が深まったりするのに。
会社組織を勝ち上がってきた人たちが、昔取った杵柄をずっと心に抱えて、「お前らも俺みたいに強くなれよ」なんてナンセンスだと思う。
なんか今の組織は強そうに見えるかもしれないけど、全然人に優しくなくて。そして優しくないが故に、結果、個人の能力は多少高かったとしても、組織として弱いのだ。
そう思った。
これを変えるのは容易ではない。
人事的な問題も絡むからだ。
たとえ、営業と営業のコミュニケーションの場、上司と部下のコミュニケーションの場、マーケと営業のコミュニケーションの場を設定しても意味がない。
そこに相手を尊重し、意見を聞こうとする姿勢がなければ、形式的なものになるからだ。
でも、それでも、強く優しい営業組織を作りたいから。
今の組織じゃ絶対にダメだと思うから。
自分なりに出来ることを考える。
誰と組んで、誰に対して働きかけ、誰を動かして、どう変えていくのか。
戦略が必要。
かなり難易度は高いけど。(大きな組織だし、体育会系の人たちが実権を握っていると、変えるのは容易ではないので)
考えよう。でも一人で抱え込まず。
頑張る。