その子の世界の登場人物になる
中学校で教員をしていました。
音楽科でした。
音楽科はたいてい学校に1人。
だから、行事の度に学年や全校の前に立って
歌唱指導をする機会に恵まれていました。
私は、この歌唱指導の時間が好きでした。
マイクとピアノだけで、
場の空気感をつくっていく作業そのものも
個人やクラスの単位ではつくれないような
大きな"熱"に包まれる体験をつくることも
普段の状態ではなかなか聞き入れられない
"熱"のある場でしか入らない話をすることも
とにかく大好きでした。
生き物のように流動的に動く"熱"をつかまえてより大きな"熱"を生んでいく時間をつくることが、歌唱指導における私の役割だと思っていました。
「今ここ」を共有することでしか味わえない体験があるから、"学校"という場で"みんなで""集まって"活動する意味があるんだと、考えていました。
そんな風に歌唱指導をする中で、私はよく、最後の仕上げの前にマイクを持って、たっぷりと間を取りながら、話をすることがありました。
内容はたいてい、その場で感じたこと。
その日の、その時の、子どもたちの"熱"に包まれながら、ふと心に湧いたこと。
予定も、原稿も、いつもない。
何を話すか、私にも分からないことがほとんどで。
でも、だからこそ、常にその瞬間の私の本音。
その瞬間の私が、子どもたちに伝えたいこと。
ある年の卒業式予行練習。
マイクを持った私が話し始めたのは、こんなことでした。
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生きてると、自分の人生が変わる瞬間っていうものに出逢うことがある。
どこかの地点で、生き方が変わるの。
でもその変化、その時には分からないことも多い。
後から振り返ってみた時に「あぁ、あそこから変わったんだ」って気づくの。
だから私はいつも願ってる。
この時間が、この体験が、この気持ちが、この出逢いが、きみたちの人生を変える瞬間になってるといいなって。
毎日毎日、今日かもしれない、ここかもしれないって思いながら、きみたちと過ごすの。
みんなで歌うこの時間を、いい時間にしたい。
もう一生、こんな人数で歌うことのない人もきっといるから。
そして、いい卒業式にしたい。
誰かの人生が変わる瞬間かもしれないから。
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自分で話しながら「あぁ、そうなんだ」「人生は繋がってるんだ」「私はそのために、一生懸命に関わろうとしてたんだ」って、妙に納得して。
だからこの話は私にとって、印象深い話となっていました。
時は流れて先日、とてもお世話になった、尊敬している先生とお話する機会をいただきました。
その時に先生がお話ししてくださったのが
その子の世界の登場人物になるということでした。
言わんとしてることはきっと同じ。
でも、美しい表現だなと思って、ゆっくりとノートに書き留めました。
私たちは、子どもに良い影響も、悪い影響も与えてしまう存在です。
だからこそ、知識をもって、目の前の状況をよく判断して、子どもたちの未来を願って、関わらなければいけません。
でも、悪い影響を与えてしまうこと以上に怖いことは、もしかすると、その子の世界の登場人物になれないことなのかもしれない。
登場人物にすらなれないほど、繋がりをつくれないことなのかもしれない。
目の前の子どもに、
どれくらい関われてる?
目の前の子どもを、
どれくらい理解できでる?
目の前の子どもと、
どれくらい繋がれてる?
今日のこの瞬間を、
どれくらい大切にできてる?
自分で自分に問い続けることが、子どもに関わるすべての大人に求められている力なのかもしれません。
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松本 亜衣
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