PAY IT FORWARD
年の初めなので、清い話を続けようと思う。
「ペイフォワード」
これは、あるアメリカ人作家のフィクションで、2000年に映画化もされた作品である。
あらすじはこうだ。
「もし君たちが世界を変えたいと思ったら、なにをする?」
そんな社会科の先生の問いかけに、中学1年生のトレバーは、きわめてシンプルかつユニークなアイデアを思いつく。しかもそのアイデアは、勇気を出せば誰もがすぐ実行できる簡単なこと。
まず、3人に親切な行いをする。次にその3人は、ほかの3人に自分の受けた親切をお返ししていく。
「そしたら9人が助かるでしょ。そのお返しが27人にいく…。そうやってどんどん親切の輪が広がっていくんだ」
ところが母親をはじめ、大人たちはなかなかそれを行うことができない。しかしそのアイデアに、本当に世界を変えるかもしれない可能性が出てきた・・・(amazonサイトより引用)
映画では、ラストシーンで映し出されるたくさんのろうそくの灯りがとても印象的だった。
ところで私は、フィクションではないリアルなペイフォワードの話を知っている。
私の友達にはカナダ人の彼がいた。
ある日突然メールで別れを告げられた彼女は、激しく動揺し、とにかく会って話がしたい一心で、即座に航空券を購入して日本を飛び立った。
あまりにも急いでいたので、日本円を両替する時間もなく、前に残していた数十ドルを持っていただけだったため、ユースホテルの部屋を確保した後すぐにお金が足りなくなってしまった。
困った彼女は、同じホテルに泊まっていた日本人の男性に声をかけた。
よほど彼女の表情が切羽詰っていたのだろうか。その男性は、初めて会った人間にも関わらず、快く40ドルを渡した。
彼女はすかさずお礼を言い、すぐに返しますからと伝えたところ、彼から出た言葉はこうだ。
「僕に返してくれなくてもいい。でももし今後、今の君と同じように困っている人に出会ったら、その時この40ドルを使ってよ。」
結局彼とは別れることになってしまったのだが、この出来事が彼女を変えることとなった。そして私も。
世の中は政治や圧倒的なパワーで良くなるわけない。
常々そう感じている私は、もし世界が変わるとしたら、こういう風に変わっていけばいいのに、と思った。