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あの日、一瞬にして目の前に一枚の情景が見えた

あまりにも鮮明で、今でも感触が残っているように感じる


抱き寄せられた時の腕のたくましさ


鼓動が一瞬にして滾って息苦しくなる


同時に私を包む柔らかく激しく熱いくちびる


頭の中の感覚がとろけてぼんやりしていくかんじ

自分でも怖いくらいにあなたを感じた


これが、現実でないことが逆に気味が悪いほど。

でも、もうきっと、それはただの幻だと


いい加減気づかないといけない


繋がることのない点だと潔く認めるべきなのだろう

悲しく切ないけれど、もう期待しない


幻から始まったのは事実だけど、


幻が真実。


お互いの道を行く。


ただ感謝だけを残して



#短編
#幻
#始まらなかった恋
#片思い
#小説




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