あの日、一瞬にして目の前に一枚の情景が見えた
あまりにも鮮明で、今でも感触が残っているように感じる
抱き寄せられた時の腕のたくましさ
鼓動が一瞬にして滾って息苦しくなる
同時に私を包む柔らかく激しく熱いくちびる
頭の中の感覚がとろけてぼんやりしていくかんじ
自分でも怖いくらいにあなたを感じた
これが、現実でないことが逆に気味が悪いほど。
でも、もうきっと、それはただの幻だと
いい加減気づかないといけない
繋がることのない点だと潔く認めるべきなのだろう
悲しく切ないけれど、もう期待しない
幻から始まったのは事実だけど、
幻が真実。
お互いの道を行く。
ただ感謝だけを残して
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