シック・オブ・マイセルフ
シック・オブ・マイセルフ
『SICK OF MYSELF』(10月13日公開)を観てきました。
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で絶賛され、その後、欧米を中心に世界の映画祭を席巻した、北欧ノルウェーの映画作品。
強烈な承認欲求に取り憑かれた女性の破滅的な自己愛をシニカルに描いた『寓話的ホラー』と銘打たれていますが、ファッションの仕事を20年以上経験した私にとっては『これがリアル』というのが率直な感想です。
承認欲求モンスター
自分が注目されるためには手段を選ばない。
作品内では主人公のシグネにスポットを当てていますが、恋人のトマスはもちろん、アートやファッションに関わる登場人物を皮肉まじりに表現し、『全員、承認欲求モンスター』と指摘されているようで、笑えない。
恋人のトマスは盗んだ家具に手を加えて『作品』として発表するアーティスト。盗みの行為も含め『アート』と考えている。
映画なので誇張した表現になっているものの、『コピー』したものに都合の良い解釈を加えて、『作品』として表現していることってありますよね。
多様性を意味する「ダイバーシティ」や「ジェンダー」といったファッショナブルな社会問題に敏感で、我先に関わろうとするファッション界。シグネをファッションブランドのCMモデルとして起用。
シグネは副作用の発作でCM撮影中倒れ、救急搬送となり降板。『原因不明の病』も自ら偽ったものと告白したため友人は離れ、恋人のトマスも窃盗の罪で投獄されるというシニカルな結末。
感想
鑑賞後はなんとも言えない恥ずかしさと居心地の悪さを感じました。
私が携わっていたファッション産業は誇張ではなく、『こんな感じ』です。
消費者のことや、下請け企業、カシミヤやアンゴラ、革製品など、ファッションの犠牲になる動物たちのことなんて、考えてもいない。気にしているのは『自分がイケてるかどうか』だけ。
RWS認証
RWS認定というものがあり、すべての製造工程において審査を受け、条件を満たし認証を取得することができます。
「ミュールジング」というのは、無麻酔でヒツジの臀部を切り落とし、傷跡の治療も行わない行為を指します。
イギリスをはじめミュールジングを法律で禁止する動きや、世界のラグジュアリーブランド、ユニクロやH&Mなどのファストファッションブランドもミュールジングを施したヒツジの毛を使わないと宣言しています。
ノンミュールジングなら、いいのでしょうか?
私のこと
『美しいものに囲まれて生きていきたい』その想いだけで、ファッションに関わる仕事をしてきました。
『サスティナブル』が声高に叫ばれるようになるにつれて、ファッション産業の『矛盾』に罪悪感を覚え、今年4月に会社を辞め、東京を離れました。
ファッションの仕事をしていると、常に半年から1年先のことを考えていなくてはならず、季節の移り変わりを感じることができなくなります。
今は自然に囲まれ、食事の改善やトラウマ解消ノートに取り組みながら、『自分には何ができるのだろう』とぼんやり考えています。
私たちにできること
お洋服やファッションアイテムは『新しいもの』は極力買わない
動物性素材(ウール・アンゴラ・モヘア・アルパカ・キャメル・カシミヤ・シルク・ダウンなど)は避けるようにする
今持っているものを直しながら、大切に長く着る
トレンドよりもその人の個性やセンスを尊重する
最後に
本日10月29日は牡牛座満月(部分月食)『ハンターズムーン』です。牡牛座で迎える満月は、『自分にとって、本当の豊かさとは何か』にスポットが当たります。
『この世界のすべての生命が幸せを感じ、存在すること』ひとりでも多くの人に届き、集合的無意識に変容が起こりますように。
Have a nice day!