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自分に合った暮らし方ってなんぞ?セルフリノベで部屋作りしながら考えてみた

「カフェのようなインテリア」「丁寧な暮らし」「ゆっくり楽しむおうち時間」「⚪︎⚪︎系おしゃれな部屋特集」

本や雑誌、SNSでよくみるこの言葉たち。こんな部屋でこんな生活してみたいと憧れつつ、いざやろうとしても何をすれば叶えられるのか分からない。
自分の好きなインテリアに囲まれたおしゃれな部屋で、ゆっくり暮らしを楽しみたいけど、そもそも「自分の好きなもの」もよく分からないし、日々部屋を片付けるだけで精一杯だ。

就職してから暮らした社宅の部屋でたこ焼きパーティ とりあえず床が片付いて清潔ならどんな部屋でもいいやと思っていた頃

一人暮らしを始めてからは「とりあえず床が片付いて衛生的だったらいい」と、ニトリや百均、無印の収納用品や家具を思いつくままに買って取り留めのない部屋で暮らしていたけど、当時は特に不満を持つこともなく日々を送っていた。

そもそも、仕事が忙しすぎて「家でゆっくりリラックス♪」よりも「帰宅してから寝るまでの時間をいかに効率的に過ごすか。」「部屋とかどうでもいいからお風呂とご飯を最速で終わらせてベッドにダイブしたい」「週2日の休みは、週5日働いて時間を捧げた分、お出かけしないともったいない」とバタバタ忙しい毎日。

とりあえず寝る前にストレッチだけしてなんとか疲れをやり過ごす生活は、同棲して、結婚しても変わらず。

「おうち時間をゆっくり楽しむ」時間的余裕も精神的余裕もないまま過ごし、雑誌やSNSを見ながら憧れだけを募らせていた。

会社を辞めて北欧デンマークへワーホリに いろんな部屋を見ながら暮らしについて考える

心身の余裕がギリギリアウトとギリギリセーフの狭間を行き来していた会社員時代。忙しくて充実してはいたけど6年目になった頃、色んなことが積み重なって体調を崩してしまった。
ちょうどその頃、同僚が休職・退職していくのを間近で見て危機感を感じ、これ以上メンタルが病まないように退職を決意。

「エンジニアになりたいっていう夢は叶えたけど、日々生き残るための戦いが大変すぎた」「生活を立て直す前にいい機会だから、2人で退職して人生の夏休みを北欧デンマークで過ごしてみよう」
退職を決意した時に夫に無謀な現実逃避とも言えるワーキングホリデー計画を提案したら、悩まれつつもまさかのOKをもらったので、レッツGOデンマーク。
今になって思えば夫も疲れすぎていてまともな判断ができていなかったのかもしれない。

デンマークの首都コペンハーゲンで観光する私 

最低限の貯金だけ貯めて退職して向かったデンマークでは、民泊サイトで1ヶ月間単位で部屋を借りて、「暮らすように旅をする」生活を送った。
「丁寧な暮らし」の本場とも言える北欧デンマークで、色んな部屋や暮らしについて触れてみて、自分の長年のモヤモヤを改めて見つめ直してみた。

とある港町の近くで借りた部屋のキッチン&リビング
寝室とワーキングスペース

なんていうか、家具や家電含めて置いてあるものが全部洒落ているというか、統一感がある(使い勝手は別だったりする)。
しかも「おしゃれな空間」と「リラックスできる空間」が共存している。おしゃれな部屋ってそれだけで緊張して居心地が悪くなると思っていたけど(偏見)、そうでもないのか。
「北欧デザイン」「北欧風インテリア」が日本で流行る訳だ。

ワーホリ先にデンマークを選んだのは北欧でアウトドアをやりたかったからだけど、せっかくだから暮らし方、自分にあった部屋づくりについてもよく考えてみた。

デンマークで仲良くなった人がよく言ってた「HYGGE(ヒュッゲ)」という言葉。意味は「自分のお気に入りのものや人に囲まれて過ごすリラックスした時間」で、HYGGEの定義は人によって違うらしいが、落ち着ける部屋で暮らしを楽しむマインドはある程度共通認識らしい。

「デンマークでも仕事や子育てで時間に追われるし忙しいこともストレスを感じることもある。だからこそ、家に帰ったら部屋でリラックスしないと。」
「特に冬は日照時間短くて暗くて寒いから気が滅入るでしょ。だからこそ、気分が上がるような部屋にいないとどんどん落ち込んでしまう。」

日本にいた時、忙しいながら部屋でリラックスすることはあったけど、「暮らしを楽しむ」「自分のテンションが上がるような部屋」というのはなかったな。
別に死ぬ訳じゃないし。片付いていればよかったし。そんな余裕もなかったし。

ワーホリ中、デンマークでこういう部屋に住んで「暮らしを楽しむ」ことを意識してみたら、家でぼーっとする時間、なんでもない家族との時間、ご飯を食べる時間、その他色んな場面で心のMPが回復する感覚になった。

暮らしの中のなんでもない時間を楽しめるようになったら、心が上向くようになった

部屋が自分の好きなものに溢れていたら、暮らしのあらゆる場面で好きなものを目にして、その都度テンションが上がって、心も少し上向く気がする。
心が少し上向いたら、余裕も少しできてご飯がいつもより美味しく感じる(気がする)。以前にも増してコーヒーのいい匂いにも癒されるようになったし、部屋が可愛いと気分も上がって家事が渋々ではなくルンルンでできるようになる。

自分にあった部屋づくりをして暮らしを楽しむのって、メンタルヘルスにかなり有効なんじゃないのか。このことに気づくまで30年かかったぞ。

もしかして、これまで部屋作りや暮らし方にフォーカスを当てずに、働くこと、趣味のアウトドアに「だけ」全力集中してたから、すりすりとすり減った心がなかなか回復しなかったんじゃないのか。

仕事に趣味に全力集中するなら、暮らしにもちゃんと目を向けてやらないと、途中でバテてしまうんじゃないのか。

そんな単純な話じゃないとは思うけど、一度快適なおうち時間を味わったら、自分を大事にできない部屋で、生きるためだけの生活を営む暮らしに戻れそうにない。
自分で自分を大切にする生活を、「暮らしを楽しむ」っていうのか?

築50年の木造古アパートをセルフリノベして自分の「好き」が詰まった部屋づくり

「古いアパートをセルフリノベしてさ、好きなものに囲まれた部屋を作らない?」


帰国後、夫の実家が所有する築50年の古い木造アパートを改修して、義両親が店を営む話しが出た。その際、夫からアパートの一室を私たち夫婦が住む部屋にしてみたら?と、予想の斜め上すぎる提案をされたのだ。

築50年の木造古アパート 部屋は六畳二間の和室+キッチン、お風呂、トイレ

確かに自分の好きを詰め込んだ可愛い部屋で、暮らしを大切にしたいな、と思っていたけど。部屋作りってそこからかい

突然の提案に少々慄いたものの、これは絶好のチャンス。理想に近い部屋がないか物件情報を検索しまくっていたブラウザを閉じて、即快諾。
部屋ができるまでは夫の実家に住まわせてもらって、家族総出の改修計画(義両親は部屋をいくつかつなげてお店に、私たち夫婦は部屋作り)を進めることになった。

店舗スペースと夫婦の部屋スペースの工程表を作成 期間は1年を予定

電気屋、水道屋など業者に任せる部分と自分たちでできる作業に分け、部屋作りと店作りを同時並行で効率よく作業を進められるように工程表を作って、いざリノベ開始!

部屋のリノベは元の部屋の雰囲気を残しつつ、昭和レトロだけど使い勝手のいい部屋を目指すことに。デンマークワーホリ中にも古い部屋、家をリノベを手伝ったことがあり、古いものの雰囲気を残しつつ少しずつ「自分の好き」を足して使い勝手を良くする、という工程に惚れ惚れした。
いまだに自分の「好きなもの」はあまりよく分かっていないけど、夫は自分の「好き」をよく知っている人だから、一緒に考えながら壁の色とか床板の色合いとか、台所の雰囲気に好きを詰め込んでいこう。

畳を剥がして、その下の板材も剥がして、基礎の根太を補強&高さ出ししてから断熱材を詰める
断熱材を詰め終わったら新しい構造合板を打ち付ける
古く見えるように板材を加工して、板張り テレビボードも手作り

とりあえず床は板張り、壁は漆喰塗りにする、と大雑把に計画を立てつつ同時並行で作業開始。

セルフリノベは果てしない作業の連続で、床を作り直すだけでも大変な作業だ。まずは畳を剥がして合板も剥がして根太の高さだし&補強をしてから断熱材を詰めて合板を打ち付け、仕上げの床板を張る。
しかも床板は買ってきた板材に古い感じを出すために墨汁で汚してからヤスリをかけて磨いて塗装して…。
一つ一つが気の遠くなるような作業の連続で、失敗してはやり直し、心が折れてはケンカしてまた仲直りして、作業を続ける。

トラブルが頻発したので1年計画が2年になりつつ(計画が甘い)、なんとか予算と自分たちの知識・技術と折り合いをつけつつも「好き」を詰め込んだ部屋が完成!

洗面所BeforeAfter 白いタイルが可愛すぎる

洗面所はそもそもこの部屋になかったので、洗濯機置き場を洗面所にすることに。水回りは絶対白いタイルがいい!という強い希望でちまちまとタイルを貼って、好みの洗面ボウルを取り寄せて取り付け。
ここだけで2ヶ月かかったけど、最高にテンションが上がる仕上がりだ。

玄関扉 アルミサッシの開戸から木立ての引き戸に変えてみた
掃き出し窓と部屋は元のアルミサッシの内側に木立ての窓を取り付け二重構造に 可愛さと実用の両立

窓や扉という建具は全部アルミサッシのものから木立てのものに付け替え。玄関扉以外は、元のアルミサッシ窓の内側に新しく木立て窓を取り付けたのでなんちゃって二重窓になっている。これで隙間風も凌げて断熱効果もあり、なおかつ可愛いまで叶えられて目に入るたびにテンションが上がる。

2人で暮らす分には多少狭くても良い ということでリビングはベッドの真横

2人で暮らすには少し狭い部屋だけど、あちこちに可愛いが詰まっていて住み始めて1年経つけどいまだにキュンキュンする。
時間をかけて大切に作った部屋だから愛着もひとしお。もうどこを歩いてもキュンキュンするので、この部屋に住んだら「暮らし方」も「働き方」も両方大切にできるかも。

暮らし方、働き方も自分に合わせてセルフリノベ

「好きなものに囲まれた部屋で過ごすおうち時間」が充実したら、綺麗な状態を保ちたいから掃除や片付けのモチベーションは格段に上がるし料理も楽しくなる。
けれどまぁ、サボって埃が溜まることもあるし、料理も毎日頑張れなかったりする。

時間に余裕がある時のご飯 美味しいパスタ作った夫 台所が可愛いと料理をするのも楽しい
とはいえ、忙しい日はインスタント食品に頼ることも 野菜もカット野菜そのままぶち込みスタイル

いきなり「丁寧な暮らし」や「仕事も生活も充実してHAPPY⭐︎」にはならない。普通に落ち込むし、怨嗟のような愚痴を垂れ流すこともある。仕事も上手く行ったり上手くいかなかったりで締切ギリギリになることもあるし、そんな時に限ってGが台所に出現したりする…(本当やめて)

いきなり魔法みたいに全ての状況が好転することはない。けど、自分にあった働き方、暮らし方を「セルフリノベ」し続ければ、徐々に好転させることはできる。

自分の好きに目を向けて可愛くテンションの上がる部屋を時間をかけて作った。前よりは日々の生活を大切にすることを覚えて、暮らしが楽しくなった。それだけでもう、大満足だ。
ここまでできたんだから、今度は自分の暮らし方、働き方のバランスを探って自分に合わせてセルフリノベもできるはずだ。

私の書斎 ここにいる時が一番落ち着く そんな空間を作れたのは大きな成長だ


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