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恥晒し

試合前からフットボールとは関係の無い要素が注目を集め、試合後もそうなってしまった。

今節の目玉カードであり、生まれ変わったアトレティコの戦いぶりは大きな見どころだったのだが、結果的に世界に恥をさらすこととなった。

Gazzetta
lequipe

イタリア紙ガゼッタでは「ショーは台無しになった」と見出しがつき、フランス紙レキップでも事件について言及している。

数年後は、アンヘル・コレアの同点ゴールをほとんどの人は覚えていないだろう。マスクを被ったゴール裏のアトレティコファンがダービーの主役だった。


対照的

過密日程とスタジアムの環境からゲームの内容は早くから諦めている。両チームとも重心が低く、消極的で試合の前日に述べられたスペクタクルは全く見られなかった。ただ勝てればそれだけで良かったのだが、マドリーにとっては勝ち点2を失ったゲームとなった。

試合後、marcaは「マドリーはロックンロールではなくワルツを選んだ」と表現した。

ヴィニシウスとロドリゴは鋭さがなく、アトレティコにとって怖い選手ではなかった。エンジンのかからないマドリーに酸素を送り続けていたのはモドリッチでコンディションの良さが表れていた。

ミリトンの先制ゴールもあり、低出力ながらも90分までは理想的な展開だった。両ウイングにサイドバックのバスケスとフラン・ガルシアを置いた守備的な交代策により、槍を失ってしまった事が反省点だろうか。


生還

勝てなかったが個人的には今日の結果に満足している。

試合前にアトレティコのエンリケ・セレソ会長は「このクラブには、反人種差別主義者も人種差別主義者もいない」と発言したが、すぐに撤回し「我々は人種差別と闘う責任がある」と述べた。

アトレティコのファンは試合前から、南ゲート付近で「ヴィニシウス、君は違う」と叫んでいた。マドリーのファンに対しては「クソ野郎」というコールが起こり、ボトルやごみを投げつけた。

ワンダ・メトロポリターノという戦場では、何が起こってもおかしくなかった。ライターを投げられたゴール裏以外にも、スタジアムのあらゆる場所で小競り合いがあり、警備員は休む間がなかった。

ゲームが15分止まっただけでよかった。チームが無事にバルデべバスに帰って来れてよかった。そして来シーズンまでワンダに行かなくても良いということ。

これらは失った2つの勝ち点よりもずっと価値がある。



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