あの頃を思い出した
奈良美智展(青森県立美術館)の内覧会で学生時代の同級生とそのお姉さんに会った。同級生は金髪だった。「ああ、そうかもう退職したしなぁ。」と内心理解した。我々ももう還暦だ。なんか解き放たれているのかなと思った。
学生当時、ANくん(同級生・女性)とAOくん(姉)とみどりさん(母)は3人暮らしだった。AOくんと奈良さんは小さい頃からの幼馴染で、時折みんなで会うと奈良さんと私は彼女を「カワナカミユキ」と密かに呼んでいた。また、ANくんに招かれてよくお家へお邪魔していた。女性だけのおうちは何か不思議な感じだった。
大学を卒業した数年後、私は就職先の青森市から弘前市に戻って小さな工房を設けて大学時代の恩師の助手のようなこともしていた。その頃、行きつけのカフェで毎週のように恩師を中心とした集う会「マルディの会」を開催していた。勉強会&軽い飲み会、そして時々バスケットボールである。その会にはAOくんも時々参加していた。そんな流れでみどりさんも参加する時もあった。参加者は10人前後だったと思う。
やがて、みどりさんは一人暮らしになった。恩師とカフェのママはみどりさんを気にかけて会に誘ったりしていた。みどりさんはニコニコしてとても静かだった。ちょっと億劫だったのかあまり参加することはなくなった。でも何かと大変だろうと、恩師とママの司令を受けて私がときどき訪問する役目になった。何のために訪問したか思い出せないくらい些細なことだったと思う。(電球の交換みたいな?)
多分用事はすぐ済んでいたと思う。でもすぐに帰るでもなくリビングで少しの時間すごした。どちらかといえばあまりおしゃべりではないみどりさんはニコニコしていた。数回訪問したはずだが記憶にあるのはリビングで少し気まずさを感じながら何かを話したことだけだ。どんな話をしていたんだろう。思い起こす光景は上の方からのアングルで明るいリビングで二人が向かい合っている様子だ。
そんなみどりさんを時々どうしているんだろうと思っていたが、今はもういない。先日の姉妹との出会いでそんな話をしたらへぇーと驚いていた。記憶があいまいで時系列が少しずれているかもしれないけれども、明るいリビングの光景はみどりさんの様子と印象を反映しているのかもしれない。そして、当時も今もめちゃくちゃでまともな社会人とは程遠い自分をどこか律してくれる存在の一人でもある。
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