咲いた月の下で #05
その夜、今日は◯◯の部屋で勉強。
けじめをつけなきゃ、ということで、一日一時間だけ勉強を教え合うという名目で会うことにした二人。
咲:…という感じで散々詰められました…
終わったあとのお茶休憩で今日の出来事を話す。
◯:そりゃ災難だったな 笑
咲:でもおめでとうって言ってもらえてすごく嬉しかったよ。
◯:そっか。そういうとこで実感するのもあるよな。
咲:うん。◯◯は特に変わりなかったの?
◯:塾は今は修羅場だからなぁ。あ、池田ってやつが「場に合わぬリア充オーラを感じる…」って言い出したけど、無視した。
咲:なにそれ 笑
◯:井上たちの話もそうだけど、やっぱりなんか出てんのかな…
咲:そうかも…
いつものように笑いあう。
結婚を約束しても、変わることのない空気感が心地よい。
咲:…ねぇ、そっち行っていい?
向かい合って勉強していたが、そそっと◯◯の並びに移動する咲月。
体育座りで、腕がくっつく距離に座る。
咲:えへへっ。
◯:なんか…恥ずかしいな。
咲:ちょっとね 笑
手を繋いで、しばらく無言で感触を確かめ合う。
咲:なんか、幸せって、近くにあるもんだな〜って思った。当たり前過ぎて気づかなかったけど。
コテンと◯◯の肩に首を傾ける。
◯:そうだな。なかなか、気づかないもんなんだな。
咲:はぁ~…落ち着く…
ほんのりしたシャンプーの香りが◯◯の鼻を擽る。
◯:…咲月。
咲:んん~、なぁに〜…
◯:キスしていい?
咲:ふぇっ!!!
ガバッと飛び起きて慌てて距離を取る。
咲:き、き、キスって…
昼の話もあり、また頭から湯気が登り始めた。
◯:あ、嫌だった…?
咲:ううん!違うの!その…
◯:ちょっと急ぎすぎたかな、ごめん。
頬を搔きながら、少し気まずそうにする〇〇。
咲:わ、私もキスしたい!!…んだけど…
◯:?
咲:もししちゃったら、もう歯止めが効かなくなるっていうか…
咲:毎日しないと我慢できなくなるし、もっともっとってなっちゃいそうで…
咲:頭の中がますます◯◯で一杯になりそうで…
涙ぐみ始める咲月。
咲:いま十分幸せなのに…ちょっと怖くて…
◯:…そっか、ありがとう、言ってくれて。
そっと抱きしめて、優しく頭を撫でる。
咲:グスッ…◯◯ごめんね…
◯:謝ることなんてないよ。俺も幸せすぎて見えてなかったわ。
咲:◯◯ぅ…
◯:気持ちは同じだから、大丈夫。ゆっくり、慣れていこう。
咲:うん…ありがとう…
ホッとしたように◯◯の胸に顔を埋める。
◯:…咲月、じゃあ、これだけ。
咲:うん?
顔を上げた咲月の、額に軽くキス。
咲:!!!???
◯:今日はこれで我慢。
咲:〜〜〜〜!!!!
結局、また湯ダコに戻ってしまう咲月だった。