2022年10月のイチオシは、国立劇場10月歌舞伎公演Cプロ!

10月歌舞伎公演

10月は、歌舞伎座と国立劇場で歌舞伎が上演されます。
歌舞伎座は、芸術祭十月大歌舞伎で、神田松鯉先生の口演を下敷きにした「荒川十太夫」が第一部で上演されるということで話題になったので、演芸ファンのみなさまもすでにチェックしておられるかもしれませんね。
ということで、あえて、10月のオススメには、国立劇場の「通し狂言 義経千本桜」のうち、Cプロを選んでみました。

通し狂言と銘打っていますので、この際、全部見てやろう!という方もいらっしゃるかもしれませんが、一日で全部を見られるというわけではないので、チケットをとる時には、ちょっと注意が必要です。

あらすじは、リンク先のチラシ裏面で簡単に説明されていますので、そちらを読んでいただいた上で、もうちょっと詳しいことが知りたいな、と思われた方は、

この辺のサイトをチェックしてみてはいかがでしょうか?

さて、「義経千本桜」は三大名作の一つに数えられる演目ですから、今回国立劇場で上演されるAプロ、Bプロもそれぞれに見どころがあります。
とはいえ、あまり歌舞伎に馴染みがないという方に「歌舞伎って面白いね!」と思っていただくには、Cプロが最もふさわしいと考えました。

まず、上演時間が短い!  Aプロ・Bプロはそれぞれ3時間超ですが、Cプロは2時間40分予定です。
満開の桜をバックに、優れた舞踊作品である「道行初音旅」と、早替りや大立廻りなどの派手な見せ場がたくさんありながら、親子の情愛が物語の中心になっている「川連法眼館の場」が見られるということ。
短い時間で一つのストーリーが完結しているというのは、とっかかりには大事だと思います。

主役・佐藤忠信役は、尾上菊之助が演じます。
「川連法眼館の場」通称四の切には、大まかにいうと名優・六代目菊五郎が磨き上げた音羽屋型と猛優・三代目猿之助が新たな工夫をふんだんに盛り込んだ澤瀉屋型の二つの演出があります。菊之助は音羽屋本流の役者ですから、音羽屋型で上演するはずです。

ちなみに、澤瀉屋型はよりアクロバティックな演出がたくさんあり、幕切れには忠信が宙乗りで客席の上を飛んでいきますので、機会があれば、こちらもぜひご覧くださいね。

そして、ご存知の方も多いかと思いますが、落語の「猫忠」の下敷きになっているのが、この「川連法眼館の場」=四の切なのです。
一度歌舞伎を見ていると、「あの三味線の皮の子どもです」という落語の設定がなぜ生まれたか、を知ることができます。
また、「あ、あの場面で使われていたあのセリフや、音楽がここにも使われてる!」という発見があるでしょう。

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