さいごは、これを食べたい。
◇はじめに
「さいごに何食べたい?」
この企画のテーマの趣旨を読んだとき、小川糸『ライオンのおやつ』を思い出した。
その入居者が、人生のさいごに食べたい思い出のおやつを提供してくれるホスピス・「ライオンの家」の物語だ。
好きな音楽とか、好きな映画とか、好きなおやつとか。
それを“好き“な理由の答えは、すべて私の人生の中にあるし、そういうものの積み重ねが、私の生きた軌跡になる。
QODを考えるということは、今までの自分の生き方とか、価値観を見直すということだ。
私の人生を、今の時点で振り返ってみる。
そんな気持ちで、このテーマのアンサーを結構真剣に考えた。
◇人生のさいごに何を食べたいか
私が人生のさいごに食べたいもの。
それは、「栞日」(長野県松本市)というカフェのアップルケーキだ。
(ちなみにツイッターのプロフィールには「書店あるいは喫茶店」と書かれている)
チーズとトマトが大好きな私は、マルゲリータとかなり迷った。
では、この激闘の接戦、決め手はなんだったのか。
まず、なんと言っても、初めて口に入れたときの感動は外せない。
優しくて、ほっこりとした落ち着くような味わいに、こんなに美味しいケーキがあるのか、と心が震えた。
このときの衝撃があまりに大きく、忘れられないのだ。
そして、この「栞日」、世界観がものすごい。
カウンターで注文をして二階席に上がると、まず目の前に広がる壁が巨大な本棚になっている。
そのインパクトたるや。
ちなみに、書店ということもあり、この本棚に置かれている本や雑誌は実際に購入することも可能だ。
座席は、アンティークとかレトロみたいな調度品。
色々なものが置かれているのに、ごちゃごちゃせず、解放感のあるフロアは、晴れた日には光がさんさんと降り注ぐ。
非日常的な空間なのに、どこか懐かしい。
秘密基地のような居心地のよさ。
そんな幸せな空間で食べた記憶が、思い出の中の味を更に引き立てているように思う。
なんだかとても温かくて、ほっこり心地よい。
そんな記憶のアップルケーキを、さいごに食べたい。
※締切日を勘違いしていて、若干過ぎてしまいました。申し訳ありません。
「多少時間を超えても大丈夫」とのことですので、投稿いたします。