インターネットの思い出とか
私が趣味としてPCでインターネットを始めたのは、たしか小学3、4年生くらいのとき。
もう20年も前のことになる。
あの頃の、新しい世界と出会ったわくわくや感動は、今でも鮮明に覚えている。
さて、ピクシブやツイッターの登場によって今ではあまり見かけなくなってしまったが、その頃に創作活動をしていた人たちは、同人サイトと呼ばれる自分で運営するwebサイトを利用して、イラストや小説などの作品を発表していた。
当時の私にも、よく閲覧に行く同人サイトがいくつかあった。
その中のひとつ──ここではA子さんの同人サイトとしておこう──で、今でもよく印象に残っている出来事がある。
A子さんの同人サイトには、私が小学5年生くらいの頃から通うようになった。
彼女は、こんなどこの馬の骨ともわからない小学生にも優しく接してくれた。
A子さんは、自分の同人サイトによくゲームやアニメの二次創作のイラストを載せていた。
そんな彼女のサイトにはブログが併設されているのだが、ある日、こんな感じの書き出しのエントリーがあった。
「結婚することになりました」
そんなおめでたい言葉のあとに、次のようなニュアンスの文章が続く。
「今までお付き合いしてきた人は、私にこういう趣味があることを知ると、あまりいい顔をしませんでした。
でも彼は、私の好きなものを受け入れてくれました」
はて、と思った。
こんなに上手に絵が描けるのは素敵なことなのに、それがなんで悪く受け取られるんだろう、と。
この頃の私は、テレビドラマで『電車男』を観たりして、オタクという概念があることはなんとなく知っていたが、A子さんがオタクと呼ばれるタイプの人だということに気付いていなかった。
オタクとは、自分の身近にはいない、どこか遠い存在の人だと感じていた、ように思う。
そして、当時の風潮的に、オタクに対する世間の風当たりが強いということも、小学生の私は本当の意味で理解していなかった。
今、オタクに対してとても寛容な時代になったな、と思う。
ひと昔前、オタクであることをひた隠しにして社会生活を送っていた人は、決して少なくなかったはずだ。
でも今は、いかに自分がオタクであるかを表現している人が、町中でも本当に増えたと感じる。
そして、そういう推し事をしている人たちは、周囲から「楽しそう」「充実している」と見なされる。
本当に変わったと思う。
私はそんな景色を見ていると、今でもときどき、あのブログのことを思い出す。