理科の教養がないばかりに、家を燃やしそうになった話
「アガー」という食材に出会い、梅酒ゼリーつくりにハマった。
授乳中の身だが、アルコールを飛ばせば、他のお酒もゼリーにして美味しくいただけるんじゃないかと思った。飲まずに眠っているものを消費できるし、いいことづくしではないか。
そこで、手を出そうと考えたのが、泡盛。
いまの会社に転職する前の有休消化で、ひとり旅で石垣島に行った際に、お土産に泡盛ゼリーを見かけたのをよく覚えている。
そしてこの旅で、自分用になんとなく泡盛も購入してみたのだが、買って満足してしまったパターンで、封も開けずにシンク下にずっと眠っていた。
この泡盛にサイダーあたりを足したら、爽やかなゼリーになりそうな気がする。そう思い、さっそくつくってみることにした。
梅酒ゼリーと同じ要領でつくろうと思い、泡盛を200ml火にかけた。
沸騰と同時に、アルコールに引火して鍋の上に赤い火が上がった。さながらフランベのようだった。すこし興奮した。
その火を見つめながら思った。
長くない…?
私の知っているフランベは、数秒そこらで火が消えるはずだ。
しかし、目の前の鍋はずーっとフランベ状態で火をあげており、勢いが衰えない。
少し恐ろしくなって、コンロの火を止めた。
にもかかわらず、火は燃え続けていた。
そこでやっと「これはまずい」と気づいた。
泡盛は、アルコール度数が高いお酒だ。
アルコールを飛ばすとかそういう次元ではなかったのだ。
にも関わらず、200mlという大量の高アルコールを加熱し、引火させたのだった。
状況は、もはや火災に近かった。
相変わらず火をあげ続ける鍋を目の前にしながら、いま何をすべきかを必死に考えた。
後ろでは、0歳のムスメが寝ている。
まず、急いでマンション廊下の消火器を確認した。
いざとなったらこれを使おう。
ダッシュで台所へ戻り、どうやってこの火を消すかを考えた。
アルコールがすべて引火し終えるまで、このまま待とうか…いや怖すぎる。
水は絶対ダメそうだ。
布団かなにかで火を覆って消火しようか…
冷静に思案し、ぬれぶきんの上に火をあげる鍋を置いてみた。
鍋の温度が下がったのか、火はすぐに消えた。
心からホッとした。助かった。
同時に、自分の教養の無さを恥じた。
「アルコールは引火する」ということを本当に理解していれば、調理しようとした酒の度数の確認はしようと思えたはずだ。
私は、なんの疑いも持たなかった。
ちなみに、このせいで換気扇に貼っていたシートが一部燃えてしまった。
火の勢いを物語っている。
火とアルコールの扱いは、気をつけなければいけないと誓った。
そして、安全に生きていくために教養を高めることの重要性を、改めて感じた。
梅酒ゼリーは食べたいのでつくり続けようと思うが、手広くなんでもゼリーにしようとするのはやめよう。