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娘夫婦、家を建てる⑥〜こだわり編
このシリーズもいよいよ大詰めだ。新居の収納はほぼ造作で作ったので、タンスのような家具は必要がない。マットレスのみの寝室になるのでベッドも必要なくなる。今まで使っていたソファーとダイニングテーブルは、我が家で引き取ることになった。娘は新居のテーマカラーを黒、グレー、シルバーと決めている。今まで住んでいたコーポのテーマカラーは白とかベージュだったので、ベージュ色のソファーはお役御免となった。ちょうど我が家の居間のソファーがくたびれていたので、ありがたくいただくことにした。古いソファーはそれを買った家具屋さんに交渉して、3000円で引き取ってもらった。ありがたい。
そしてもう一つ、ダイニングテーブルも同じ理由でお役御免になった。次女が何やら作業台にするというので、それも我が家にやってきた。ソファーもテーブルもまだまだ新しいのに、色が合わないから新しいのを買うなど贅沢な話だ。
新居には、オシャレなシステムキッチンと、お揃いのテーブルがきた。ソファーも大きくて座り心地が良さげだ。色を揃えるには理由がある。平屋なので、キッチン→ダイニングテーブル→ソファーが縦線に並ぶ。ワントーンのほうが落ち着く。部屋が広く見える。家全体が黒っぽい。そういえば外壁や窓のサッシまで黒だ。赤やその他目立つ色のものは置かないと決めているらしい。
ただ一箇所だけ、雑多な色味がうるさい場所がある。それは、ダイニングの横にある小上がりの畳のスペース。畳はへりが黒、全体がグレーみたいな色。そこのスペースは本を読むためのスペースで、一方の壁は作り付けの本棚、逆側の壁側は掘りごたつみたいに足を下ろして本が読めるようになっている。問題なのはその本棚。本、本と言っているが、実は漫画の単行本。作り付けの本棚はその単行本がぴったり入る高さに作られている。一体何冊入るのか知らないが、あそこに漫画本がズラ〜っと並ぶのは絶対ダサいと思うのだ。
だが、夫婦揃って漫画好きなので、そこはどうしても欲しかったスペースのようだ。せっかくワントーンでオシャレに揃えているのに、漫画本の雑多な感じを何とも思わないなんて、いや本人たちも気づいてはいる。しかも至極気に入っているご様子。
まぁ良い。自分たちの家だ。自分たちが快適に過ごせるのが一番だ。家の受け渡しの日にお邪魔した時、ちゃま(うちの旦那さん)はその畳スペースが気に入ったようだった。堀りのところに座って本を読む格好をして、「机が丁度良い高さだな」などと言っていた。そのままゴロンと横になりそうな気配があったので、「寝るな」と先制パンチ。「寝てないよ」いや、多分私が言わなかったらあのまま横になったと思う。
そのあと、今度はソファに座って気持ち良さげにしていた。他の皆は立ったままで、ちゃまの頭の上を皆の会話が行き交う。ふと娘の旦那さんが「お、お父さん、、、」と気づいた。全員がちゃまへ視線を向けた。ちゃまはソファからずれ落ちそうになるくらいな姿勢でひとりリラックスしていた。
娘の新居で一番快適に過ごせそうなのはどうやらちゃまのようだ。