フェアな社会であれ
朝日新聞でブレイディみかこさんのコラムを読んだ。みかこさんは『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の著者、イギリス在住だ。コラムはイギリスで最近起きた学生のデモについて。
イングランドではほとんどの学校が9月に新学年が始まるまで休校だった。毎年、夏に行われる大学入試のための統一試験「Aレベル」や、「GCSE」と呼ばれる義務教育修了時の統一試験も中止された。
試験を行わない代わりに、試験団体監督機関Ofqualが生徒たちの評点をつけることになった。Ofqualは教員たちに各生徒の全科目の成績について見込みの評点をつけ、同じ評点の他の生徒たちと比較した順位とともに提出するよう要請した。これに過去3年間の成績の実績を加え、アルゴリズム(コンピュータープログラムの計算処理手順)で生徒たちの評点が算出された。教員たちがつけた見込み評点や順位はあくまでも校内での評価に過ぎないので、学校間の実績の差を反映するために考案された方法だったようだ。
分かりやすく言えば、日本でいう学校の偏差値みたいなものか。偏差値の高い高校で100点を取るのと、偏差値の低い高校の100点では同じ100点でも価値が違うと考え、偏差値の低い高校の100点は75点くらいの価値だと言われるようなもの。
さらには学校自体の、「日頃から素行が良い」逆に「あの学校は荒れている」という評価も加味されるらしい。それを知った学生たちの抗議活動が行われた。結果的には抗議運動の盛り上がりやメディアからの非難の大きさを受けて、この方法は見直されたそうだ。
ブレイディさん曰く、どこの地域に住んでいようと、どの学校に通っていようと、点数のみで成績が決まる試験のほうがずっとフェアだ、と。
人(学校の先生)がつけた評価より、コンピューターがつけた評価のほうが差別的とは、何とも不思議だなあと思った。そりゃそうか。そのシステムを構築するのは人間だもんな。ゆえにアルゴリズムは
人種や階級に対する差別を増長させ、社会格差をより固定させるものになりかねない。
ブレイディさんの息子さんはまだ中学生だが、友人たちとこのことについて語り合っているそうだ。「AIは人間の差別を反映する。僕たちはそのことをしっかり見ていかないといけないって、みんな言っている」
日本の教育がどうとかイギリスと比べてとか、難しいことを言うつもりはない。正直そんなに知らないし分からない。だけど、もし日本の中高生が同じ目にあったとしたら(もしかしたら既にあるのかも知れないが)、その時声をあげて訴えることができるのかな?政府が決めたことだからとか、たまたまコロナ禍で運が悪かったとか、諦めてしまいそうな気がするのは私だけなのかな?
どんな学校にも真面目で優秀な生徒はいる。偏差値や学校の評判で一括りにせず、一人一人をちゃんとみてくれる、そんな社会が良いなぁ。