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[小説] 理系学生 (1/4)


序章

 本日は、私の通っております某大学において、所属する理工学部とお隣にキャンパスがありますD学部 —お隣と言いましても、普段、関わりを持つことが難しいのですが— がディスカッションを行うという、催しが行われるのです。

 「さて、今日のお菓子パーティの班に女の子はいるのでしょうか」
陽気な気分で自転車をこいで駅に向かっておりました。
「男だけだったら、陰鬱な雰囲気を醸し出してやろお」
 そんなことを思いながら電車に乗っています。


 しばらくして、学校に着きました。
四階なのでエレベーターを使うか迷います。
建築学科のお友達に会いました。
 エレベーターで無言です。

 エレベーターから降り、ずかずかと教室に進んで行きました。
席を確認し、軽く辺りを見渡し、暇を潰そうかと、そんな風に考えておりました。

 とてつもなく嫌な予感です。
女子が来ません。
なんなのでしょうか、この感覚は。
どこか諦めのような感情が洗濯機のようにぐるぐるうごめいております。

 そこに、髪の毛を短くこしらえた女子が一人心許なさそうに席に着きました、なんと、その女子は化粧っ気が全くないのです。
この感情はなんなのでしょう。たしかに女子は女子なのです。僕は先ほどとはなんら変わりない半ば諦めのような感情を抱いているのです。
周りのグループを見るに女の子が二人いるというのは珍しくないらしい。そこで私はまだ希望を捨てないことにしました。
この時点で私は間違いを犯したのかもしれません。
男はというと、なんとも昨今の理系学生と形容できるようなものが私以外に二人いるだけです。

 そこにまた一人理系学生のような風貌をした理系学生が席に着きました。
僕は、あとひと席になんとか女性が来てくれないかと祈っております。
あぁ、哀れ。未来の僕はこう哀れに笑うでしょう。
もう女子は来ないのでしょうか。

 あぁ、女子がこちらの方に近づいてきたと思いますと、なんだか別の班だったようです。

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