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みつ
2022年4月5日 22:00
「ねぇ、僕には悩みがあるんだよ。多分、割りに馬鹿げたやつが」言葉は薄暗い部屋に飲まれる。カーテンから僅かばかりの灰色の陽が滲み出ている。この光の感じ、外は曇天だろうか。悩みというのはつまり、僕には悩みを聞いてくれる女の子がいないことだった。真剣に。よくよく考えなくとも、一般的に大学生は、日夜男女が集う飲み会に繰り出すものではないか?そうでなくとも、女友達の1人や2人いてもいいと
2022年3月1日 22:22
「今夜、きっと大きな荷物が届くでしょう」女は僕にたっぷり含みがあるような調子で語る。僕は何のことだか全くわからないという眼差し、眉の角度、口角の上がり方で女を見つめた。すると彼女は踵を返し、そこに甘いオークの香りを残し僕の前から消えてしまう。 そして、今、僕の家に大きな荷物が届いている。大きな荷物には宛先や送り主といった類の情報は一切記されておらず、配達されてきたような気配もない。