CEFR C1を目指せ!TOEIC900からの独学英語勉強法-Vocabulary Building編-
TOEIC 900点を取った時、こう思った。
とんだ勘違い野郎である。
当時(大学生)はCEFRなんて知らなかったし、TOEIC 900は英語勉強の折り返し地点だなんて気付かなかった。近くの本屋の英語コーナーには、受験英語の本、中学英語や高校英語の学び直しの本、TOEIC 800~900を目指す本ばかりあって、それ以上を目指す人向けのコーナーなんて無かったんだから。
まさかそこから始まる長い旅があるなんて、当時は思いもよらなかった。
というわけでこのnoteでは、
という人向けに、私が長期にわたり実践し、効果があると実感したCEFR B2&CEFR C1向け英語勉強法を紹介する。なお、特定の試験にフォーカスせず、使える英語を鍛えるという点にフォーカスしているので、試験対策テクニック的な要素は一切無い。
ちなみに執筆現在の私の英語力はCEFR C1の前半で、現実的には以下の水準にあたる。私自身まだまだ勉強中だが、CEFR B2を抜けたい!という人にはそこそこ役に立つと思う。
BBCやThe Verge、The Informationなどの海外ニュースの内容を音声流し聞き、テキスト流し読みで8-9割理解できる
大衆向けの英語ビジネス書なら7-8割そのまま読める
海外Youtuberや日常系ジャンルの洋画を字幕無しで楽しめる
学術的なトピックがなければ、1日中英語で生活しても基本的に不便せず、また脳も疲れない
仕事で海外の方々と気軽にオンラインディスカッションできる
では、早速スタート。前半は、Vocabulary Building編。
①Self-talkとJournalizingでActive Vocabularyを増やす
TOEIC900点を取れる場合、相当効率的に勉強していない限り、文脈ナシで即座に意味が分かる程度で暗記している語彙数は、ざっと6000~8000語くらいはあると思う。うろ覚えの単語も含めたら、8000語以上の人も珍しくないだろう。
でも、その暗記している語彙の半数以上は、ほぼ間違いなく、Active Vocabularyでは無い。Passive Vocabularyだ。
Active Vocabularyとは何か。
単語帳を見た時、Readingの文章で出てきた時、リスニングで聞いた時、即座に意味が分かるけれど、実際に使いこなせない単語が数えきれないほどあると思う。それはPassive Vocabulary。一方で、数は少なくても、会話やメール、レポート、日記など、いつでもさっと使いこなせる単語が一定数あると思う。それがActive Vocabulary。
自分が使いこなせる語彙というのはActive Vocabularyの数であって、ただ単語帳を暗記しているPassive Vocabularyの数ではない。これに気付くまでは、単語帳を丸暗記するというPassive Vocabularyメインの勉強を長年やってしまっていた。もちろんPassive Vocabularyが無ければ文章自体が読めないのでPassive Vocabularyも大事なのだけれど、CEFR C1レベルで求められるのは、ハイレベルなActive VocabularyをSpeakingやWritingで当たり前に使いこなすことであり、流暢さはActive Vocabularyで決まるといっても過言ではない。
例えば日本語で、「魑魅魍魎が跋扈する」「静謐さ」「おどろおどろしい」という意味がなんとなくわかる(=Passive Vocabularyに入っている)人はそれなりに多いと思うけれど、Active Vocabularyに入っている、つまり会話表現や執筆表現で日常的に使いこなせる人はさほど多くないだろう。
この例は日本語における例だが、どんな言語でもActive VocabularyとPassive Vocabularyはある。単語帳をいくら覚えてもSpeakingやWritingがうまくならないのは、殆どがPassive Vocabularyでしか無いからで、Active Vocabularyに昇華する手続きを踏まないと、その言葉は使えるようにはならない。
たった今、上記の3単語をnoteに書いたことで、私の中の「魑魅魍魎が跋扈する」「静謐さ」「おどろおどろしい」がPassive VocabularyからActive Vocabularyに近づいたように、Active Vocabularyを増やすには、Passive Vocabularyで「書く」または「話す」機会を強制的に増やしていくしかない。
ではどうするか。まず「話す」について。
知っているが言い慣れない単語を使って、自分一人でひたすらスピーチをするSelf-talkというトレーニング方法がある。自分の部屋でも、公園でも、路上でもどこでもいい。
ひたすら自分に向かって話す。拙くても話す。
今日の仕事の振り返りでも、最近見たニュースでも、週末の家族の予定でも何でもOK。その際に、なるべく使い慣れていない、Active Vocabularyに昇華したいPassive Vocabularyの単語を混ぜて話すようにする。何度かやっていくと、脳がActive Vocabularyと認識するようになり、自然に使いこなせるようになる。
例えば最近、"Procrastinate"という単語がActive Vocabularyに仲間入りした。『やらなければならないことをついつい先延ばしにしてしまう』という意味の動詞で、Oxford Learner's Dictionaryには以下のように記載されている。
CEFR C2にすら入っていない単語ながら、実は生産性の会話だと頻繁に出てくる単語で、知らないと全くついていけない。この単語を覚えるために、「ついつい先延ばしにしてしまうこと」「物事を先延ばしせずに効率よく進めるには」などのトピックでSelf-talkを2,3回行い、日常会話で普通に使いこなせるようになった。
次は、「書く」について。こちらは、日記や個人的な出来事をひたすら英語で書きなぐっていくJournalizingを毎日やると劇的に伸びる。
読めるが書き慣れていない単語を使って日記を書く。なんとなくしか意味を理解していない単語が含まれるニュースを読んで、その言葉を用いてニュースを要約する。そういった「書く」アウトプットを繰り返していくと、Active Vocabularyが劇的に増える。
例えば最近、"infringe"という単語がActive Vocabularyに仲間入りした。著作権や知的財産権を『侵害』するという意味の動詞で、Oxford Learner's Dictionaryには以下のように記載されている。名詞だとinfringementになる。
この単語もCEFR C2のリストにはない単語だが、ポケモンに類似するキャラクターが多く出現する日本発の某大ヒットオープンワールドゲームが発売された後に株式会社ポケモンから出たプレスリリースに以下の記載があり学ぶことができた。
こういったニュースを見て、一通り意味を理解したあとに、さっと以下のようなOpinionを自ら書くことで、新しい単語を最初からActive Vocabularyとして覚えられるようになる。
ちなみに上記に含まれる"intricate"という単語も最近覚えたばかりの単語であり、Active Vocabularyにするためにあえて使うようにしている(意味は調べてみてほしい)。
②語彙のニュアンスとコロケーションをOxford Learner's Dictionaryで理解する
英単語帳で新しい単語を覚えようとすると、載っている日本語を英単語にそのまま対応させて覚えてしまいがちだが、CEFR B2以降でその勉強方法は非常によろしくない。英語と日本語はそもそも別の言語なので、似たような意味の言葉であっても、それぞれの言語の世界におけるニュアンスは異なる。したがって、本来異なる意味の英語を、無理やり対応させた日本語訳で覚えてしまうと、日本語側のニュアンスに英語のニュアンスが引きずられるようになってしまう。英単語としての語彙は、あくまで英語側のニュアンスを理解した上で身につけていかないと、使い分けができず伸び悩むことになる。
ではどうするかというと、徹底的に英英辞書を引くに限る。CEFR B2以降の御用達ツールといえば、言わずと知れたOxford Learner's Dictionary。常にPCのブックマークに登録し、スマホにも入れる(物書堂の辞書アプリがある)。基本的に単語の細かいニュアンスは、例文を読まなければ理解できない。言い換えるなら、例文がほとんど無い英単語帳を使ってVocabulary Buildingをするのは、非常に遠回りな英語学習方法になる。
ちなみにOxford Learner's Dictionaryの説明文は、全ての英語学習者にとっての基礎語彙であるOxford 3000だけで記載されているので、CEFR B2に到達していれば、Oxford Learner's Dictionaryの説明文は必ず理解できるといっても過言ではない。
なお例文確認については、Oxford Learner's Dictionaryだけでは心もとないことも多い。そういう場合は、ChatGPTに以下の指示を出して、例文を3~5個生成してもらうのも良い。
続いて、コロケーションについて。英語には、(というよりあらゆる言語には)、よく使われる語彙の組み合わせというものが存在する。先程例に上げた、『侵害する』を意味する"infringe"であれば、lawsやrulesといった、何かしらのルール、規制を意味する単語とセットで使われることが多い。
日本語において、「契約書」に対応する動詞として主に「締結する」「署名する」「まく」があるように、英語にも様々なコロケーションがある。
単語を覚えるときは、単に単語そのものを覚えてもダメで、よくある単語の組み合わせ(コロケーション)もセットで覚える必要がある。
コロケーションは、ニュアンス同様、例文をたくさん見てよくある組み合わせを頭に入れていくしかない。例文を浴びるように読んでいくと、『こういう用語とセットで使うのね!』という感覚が自然と身についていく。
ちなみにコロケーションについても、例文が足りないと感じたら、ChatGPTに以下のような指示を出して、コロケーションの生成をしてもらうのも良い。
というわけで、ボキャブラリービルディング編は終了。Listening編に続く。