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「未来を語る」からチャンスに恵まれる。「未来を語る」から仲間ができる。

「どうしてそんなにチャンスに恵まれるんですか?」

先日、ある経営者の最近の起業話を聞いていて、思わずこんな質問を投げかけた。

彼は2年前に、とある大企業の子会社として立ち上げて十数年経営していた企業を清算している。ふつうならいろんな人たちに遠巻きにされてしまう時期であり、存在であるはず。

にもかかわらず、会社を清算した直後から、彼のもとには起業の話や新規事業の相談が相次ぎ、その結果、国立大学発のスタートアップをはじめ、ほんの1年ほどのあいだに4社もの起業に成功したという。それ以外にも、いまなお起業を見据えたプロジェクトを並行していくつも抱えている。

そんなに話が舞い込むなんて、強力なネットワークか、広い人脈でもあるのか──と思いそうになるけれど、ロボティクスやテクノロジー関連の領域を専門にしてきた彼は、失礼ながら人脈づくりに長けている人じゃない。学閥のような特別な後ろ盾をもっているわけでもない。

それでも彼につぎつぎとチャンスがもたらされるのは、なぜなのか。
どうして何度も挑戦の機会を手にできるのか。
冒頭の問いかけは、そんな素朴な疑問から発したものだった。

さて、それに対する彼の答えは……。

「思い当たることがあるとしたら、だれと会ってもつねに未来を語るようにしていることですね。昔からずっとそうなのですが、いつも未来の話しかしていないといってもいいくらいです。それも将来の予測などではなくて、こういう未来になったらいいですよねぇ、という願望とか、希望とかばかり話しています。私に事業の相談をしてきてくれたり、話をもってきてくれたりする人たちは、“ほら、前にああいってたじゃないですか”などと、そこにコミットしてくださっていることが多いですね」 

要は、彼が語る未来像に共感したり、すばらしい未来をつくろうとする彼の姿勢に期待感をもったりして、たくさんの人たちが彼に新たなチャンスを提供したり、一緒にやりましょうと相談を持ちかけたりしているということ。

ともすると、だれしも「いま」だけを見つめがちだし、そのせいで不満ばかりを語ったり、批判的になったりしがちだけれど、冷静に考えると、たしかにそんな人になにかを頼もう、チャンスを与えようとは思いづらい。「結果を残したければ、とにかく“打席”に立つことが大切だ」「“打席”に立った数が大事だ」(そもそも打つ回数が多ければ、ヒットの絶対数も増えるはずという意味)といわれる昨今だけれど、その“打席”に立つ手がかりのひとつは「未来を思い、言葉にする」ことにある。

「未来を語る」からチャンスに恵まれるのだし、「未来を語る」から仲間ができる。

「未来をつくる」というと大ごとのようだけど、その第一歩は「語る」ことからはじまる。

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