外向けのプロフィールには載せてない事 Part 5 メキシコ留学編 Vol.2
メリダの有名人はまさかの。。。
僕は今でもあの驚きを忘れない。
そう。あれはメリダのぼろアパートで一人暮らしを初めて2週間くらい経った頃である。ほぼほぼ空っぽの部屋と大学の往復のルーティーンにようやく慣れてきて、引越しの時にバス代を節約するために買った中古のマウンテンバイクでいつものように大学に向かう途中、ソカロ(Zócalo=街の中心にある大聖堂、市役所や州政府事務所などに囲まれた広場、メインプラザ)を通り過ぎると、いつもの雑踏とは違う聴き慣れない叫び声が聞こえてきた。「Mira! Es el chino!」「chino, chino, chino, chino....」僕が声のする方に振り向いて、あたりを見回すとその辺りにいる人々はそっぽを向いている。はて?なぜ騒いでいるのか?しかし、そんな事に余っている暇はない。真夏のような日差しと湿気の中、授業に間に合うように自転車を必死に漕ぐ僕。
次の日も、その次の日も、ソカロを通る度にその叫び声は聞こえた。大学で仲良くなったエリック(Erick Padilla Lisama=後の大親友。その理由は後ほど)とキャンパスの売店で話している時に、俺は地元っ子だから分からない事があったらなんでも聞いてくれって言ってくれたので、聞いてみた。最近ソカロを通る度に大声で「チーノ、チーノ、チーノ!!」っていろんな人が大声で叫んでるのを聞くんだけど、あれはどういう意味?何か売ってるの?
「チーノ!」の正体。
その時、それを聞いたエリックが飲みかけていたソーダを吹き出した。しかも「ぶふっ」ではなく、そこには少しの遠慮も含まれていない全力の「ブーーーーー!!!」だ。思わずつられて僕も一緒に笑った。が、はて?何が面白いのか。その理由はですね。実はChinoというのはスペイン語で中国人という意味で、でも日本人も韓国人も台湾人も全く区別が付けられないのでいっしょくたしたアジア人の総称でもあるらしい。。。
ようやく呼吸が追いついたエリックは、「ゴメン。それ多分ミツの事を呼んでるんだと思うよ。」ということは、おいらがソカロを通る度に聞こえるあの「チーノ、チーノ!!」雄叫びは『俺のことじゃ〜ん!』笑
説明しよう。メリダは人口60万人(当時)のユカタン半島最大の町であるが、アジア人の人口はほぼ皆無。つまり、アジア人を見るのはかなり稀な事であるのです。例えるならば新幹線に乗っていてドクターイエローとすれ違うくらい珍しい事なのだ!!(分からない人ごめんなさい。)だから、数週間前に僕がソカロの近所に住み始めて、現地の人々の間では「おい。最近この辺に若いアジア人(チーノ)が現れるらしいぞ。」「あ、聞いた聞いた。なんか安っぽい自転車に乗ってるって噂だぜ!」みたいな話がどんどん広がって行って、僕はいつの間にか噂の(かの有名な!!)チーノとなっていたのであった!
そう、それからアメリカに戻るまでの3ヶ月、おいらの知名度はどんどん上がって行ったのでした。もしあの頃スマホ持ってたら大学中退してYouTuberになってたかもなぁ。。。なんてね。