現代工場の現在地 スマートファクトリー#2
前回は、スマートファクトリーが進みつつある背景とその事例をお話ししました。
今回は、このスマートファクトリーが実際に進んでいくステップについてお話しします。
▼前回:夢物語じゃない全自動化▼
スマートファクトリーのステップ
スマートファクトリー・・・カンタンに言えば工場を自動化するステップには、5つの段階があるとされています。
第1段階:作業支援
ネジ締めや切断など、特定の作業だけを機械でサポートします。
たとえば、人間が手で握って使うインパクトのような電動式ネジ締め機械などは、この作業支援の一例です。
人がドライバーなどの工具でネジを締めるよりも短時間で締めることができて、緩んですぐ外れるようなリスクも軽減できます。
第2段階:特定の作業を自動化
第1段階のネジ締め機械では人が機械を持って作業しましたが、人の手を必要とせずにネジを締める自動ネジ締め機械が導入されるのが、この第2段階です。
現在の多くの工場は、ここまでの"第1段階からこの第2段階まで"が大半を占めています。
第3段階:条件付きの自動化
ここまでくると、生産工程そのものが自動化の対象になります。
ネジ締めなどの作業ひとつだけではなく、部品組み立ての工程全て、検品工程の全てなど、特定の工程全体が自動化される段階です。
朝の始業時に部品をセットし夕方に完成品を回収するようなイメージで、この間の生産工程は機械がすべて行います。
必要なサイクルに沿って作業者が部品の投入と完成品の回収を行うという条件のもと、自動化を実現している状態となります。
第4段階:高度な自動化
この段階で作業員は、管理やメンテナンスだけを行います。
生産工程の自動化に専用機械の設計やロボットを導入し、PLC(Programmable Logic Controller:プログラム可能な論理制御装置のこと)などの制御機器を使って実現します。
この段階では、第3段階で実現している一部工程の自動化が、工場全体におよびます。
また、一部の機械ではAIが導入されて、AIの判断で機械が動くこともある段階です。
第5段階:完全自動化
工場と他の工場との連携や、市場状況を反映した管理などを総合的にAIが分析・判断し、工場を管理・運営します。
ここまで来ると、ごくわずかの人員で工場を運営できますが、かなり本格的なAI技術の導入が必要だとされています。
つぎのステップに必要なポイント
「第5段階ってホントにできるの?」と思うかもしれませんが、前回の記事のように、着々とつぎのステップをのぼっている企業は増えてきています。
ただし、ほとんどの工場は、まだ第2段階。
まずはつぎの第3段階:条件付きの自動化を目指すところがほとんどです。
この第3段階でポイントとなるのは2つ。
それは、①IoTと②制御技術です。
①IoT
作業を自動化するには、機械がどれくらい作業をしているか、または適切に動いているかなど、作業の「見える化」は欠かせません。
ここで必要となってくるのが、IoTです。
センサーやデータ通信、データ記録媒体を使って、機械の状況を把握するわけです。
②制御技術
IoTで見える化できたあとに必要となるプロセスが、制御技術。
確認できた作業状況に合わせて書く機械を操作して、効率よく運用していきます。
ここでは、リレー制御やPLCなどに代表される制御技術が重要な役割を果たします。
今回は、ここまで。
スマートファクトリーのステップと、ステップアップで必要なポイントをお話ししましたが、今回はあくまで概要です。
次回はもっと具体的に、このステップアップのとき・・・とくにはじめの一歩でつまづく第一課題についてお話しします。
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