アートディレクションの現場(講師:中川 直樹)
アートディレクターの仕事の流れと責任範囲
Step0 クライアントの課題
Step1 アイデアを練る(ディレクターの感性+デザイン基礎・トレンド・デザイン史・文化学・行動心理学)
Step2 アイデアを出す:ラフ・モック制作
Step3 実行
・知識がないと理由のないデザインができてしまう
・ラフ・モック制作時は恒久性、再現性が大事
・エグゼキューション(制作)/精緻化+クオリティコントロール
アートディレクターに必要な5つの能力
①アートディレクションに対する自信と信念
②幅広い人材ネットワーク
③アイデアの再現性の保障
④クライアントを説得できる説明と知識力
⑤コミュニケーション力
①-1 プロとして誰よりも自信を持ってデザイン・アートを提供する。
①-2 知識・自信のある人は尊敬される
②-1 持っている人材の中で作るのはクライアントに失礼
③-1 予算管理がきちんとできなければいけない
④-1 知識の上に成り立つ、ロジカルに説明できる力
⑤-1 クライアント、クリエイターと信頼関係を築く必要がある
TIPS1 アートディレクターに必要なスキル
・イメージの言語化
・共有する手法
・各エレメントに対する知識
・チームワークが必要になるため、共通言語が必要
・「こういう風に」「なんか」をビジュアライズ、言語化する
・ロジカルに対応できるために確認すべき事項(アイデア・表現手法・CI/VI/BI・色/フォント/レイアウト+インタラクション)
・意味訴求ではなく感覚訴求する
・「楽しい」から想像する絵はみんな違う
・年代による感覚の微妙なズレの認識
・五感全ての方向からイメージの共有を図る
・好き嫌い軸ー良い悪い軸 共通言語を詰めることで好き嫌いで判断されるのを防ぐ
・言語化からのビジュアライズ=イメージボードの制作
TIPS2 アートディレクターが気にすべきポイント
・デザインのチェックポイント
・ブランドイメージの統一と展開
・トーン&マナー
・ラフを50%縮めて、5W1Hがちゃんとわかるか
・ブランドに沿わないオブジェクトが混在していないか気にする
TIPS3 色彩
・色彩論
・キーワードと色の結びつき
・日常からのインスピレーション
・ヨハネス・イッテンの色彩論
・色の選び方→印象・視覚的/表現・感情的/構成・象徴的=世界観が作りやすい
・色の三属性(色相・明度・彩度)
・トーン=世界観
・いいデザイン、トーンはバレットに溜めておく
TIPS4 文字
・キーワードと書体のニュアンス
・美術史と書体の関係
・キーワードと書体のニュアンスの関係
・書体のパワーで与える印象は違う
・生まれた時代・国によって書体は違う
・「格好いい」だけで選ぶと理由のないデザインになってしまう
TIPS5 レイアウト
・目線の流れとユーザー心理
・余白とセンタリング感覚
・パース感覚
・人の目線は「左→右」「大→小」「画像→テキスト」「有彩色→無彩色」「塊→塊」に動く
・数値上のセンタリングだけではなく、感覚を信じることも大事
・動きでもブランディング、ターゲットを意識
質疑応答
Q1.「とりあえず作って」という時にどういう対応をするか?
A1.目的(ゴール)をはっきりさせた上で、勝手にストーリーを作ってしまう。クライアントが曖昧な対応をしたら、作業はストップする。
自信を持って伝える。
言語化をすることでお互いに理解できる。
共通言語をもつ。(松田聖子っぽいか、中森明菜っぽいか)(ガストっぽいか、デニーズっぽいか)
Q2.コンセプトを共有するためにどうすればいいか?
アートボードを作る。ブランドを人に例える。
ユーザーのペルソナとは別。
Q3.美的感覚を磨くためにしていることは?
とにかく遊ぶ。見る。いい感じのフリーペーパーをもらう。雑誌をめくる。映画のエンドロール。スポーツ大会のインターフェース。(W杯とかオリンピックとか)
デザインは基本的に真似。いいデザインをトレースして感覚をもらう。