(掌編小説)アイドルと猫
「ユウカちゃん。事務所の社長の命令なんだけどさ、明日から犬を飼ってよ。テレビの動物番組の密着やるから」
マネージャーのMさんはうれしそうに電話してきた。ちょっと待ってよ。どうすんの?この子。私の膝の上で聞き耳を立てている、ちくわ柄のスコティッシュフォールド、おでんちゃん。ほら、今も耳が動いてんじゃん。気になるよね、おでんちゃん。私はおでんちゃんの背中を撫でながら、電話先のMさんに拒否アピールをしていたつもりだったのに、私自身もチャンスだって分かってたから、納得いかないまま決ま