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1. 陽菜が足元をしきりに気にしていた。ハイヒールでずっと歩いていたので靴擦れを起こしているようだ。 「他に靴は持ってこなかったのか」 問うと、陽菜は咎められた子供のような顔をした。 「だってこんなに歩くとは思わなかったんだもん」 僕は陽菜に「東京を出て、どこかで一緒に住まないか」と誘った。そしてその三日後には品川駅で待ち合わせをした。 会社には辞表を提出し、親には『半年ほど旅に出るので、連絡できないですが心配しないでください』とメールを送った。 なぜ半年といった