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いわさきちひろと私の思い出をつなぐ絵本3冊
いわさきちひろ美術館の訪問と絵本の思い出
私がいわさきちひろ美術館を初めて訪れたのは、小学校3年生の夏休みのことでした。その日の体験を起点に、幼い頃から親しんだいわさきちひろの絵本について、実際の思い出とともに振り返ってみたいと思います。
いわさきちひろの絵本:40代としての懐かしい体験と感動
私の家には母が大切にしていたいわさきちひろの絵本が何冊もありました。特に印象深い作品とその思い出を共有させていただきます。
1. 「あいうえおのほん」
実家の本棚の一番下の段に、角が少しすり減った「あいうえおのほん」が今でも置いてあります。5歳の頃、毎晩寝る前の20分間、母と一緒にこの本を読むのが日課でした。特に「あ」のページには折り目がついていて、何度も開いた形跡が残っています。母がページをめくるたびに漂う懐かしい紙の匂いと、母特製の甘いココアの香りが、今でも記憶に鮮明に残っています。
2. 「ことりのくるひ」
この本との出会いは、実家の裏庭で起きた小さな出来事がきっかけでした。庭に巣を作っていたツバメの子育ての様子を、毎朝観察するのが私の日課でした。ある日、母が「このお話を読んでみない?」と差し出してくれたのが「ことりのくるひ」でした。絵本の中の少女と小鳥の関係が、まるで私とツバメの親子を見ているようで、不思議な親近感を覚えました。
3. 「おにたのぼうし」
小学校1年生の節分の日、担任の先生がクラスで読んでくれた一冊です。その後、家に帰って母に「おにたみたいな優しい鬼もいるんだよ」と熱心に話したことを覚えています。その年の豆まきでは、鬼の気持ちを考えながら、少し控えめに豆を投げました。今思えば、これが「相手の立場に立って考える」という経験の始まりだったのかもしれません。
私にとってのいわさきちひろ
40代になった今、実家に帰るたびに、これらの絵本を手に取ります。ページを開くと、そこには単なる思い出以上のものがあります。母の温もり、担任の先生の声、そして何より、本を通じて感じた様々な発見や感動が、まるで昨日のことのように蘇ってくるのです。
まとめ:絵本が育んだ心の成長
40代半ばを迎えたいま、いわさきちひろの絵本との出会いを振り返ると、それは単なる「子ども時代の思い出」以上の意味を持っていたことに気づきます。母との温かな読書の時間、駄菓子屋の山田さんとの交流、学校での体験—これらは全て、絵本を通じて紡がれた大切な記憶です。
特に印象深いのは、それぞれの本が人生の異なる場面で私の心の支えとなってきたことです。「おにたのぼうし」で学んだ相手への理解、「ことりのくるひ」での自然との触れ合い。これらの経験は、大人になった今でも、仕事や人間関係の中で活きています。
実家の本棚に並ぶ古びた絵本たちは、今では私自身の子どもたちに受け継がれています。彼らが私とは異なる形で、いわさきちひろの描く優しい世界観に触れ、自分なりの感動を見つけていく姿を見るのは、親として何よりの喜びです。
本は時代を超えて、世代を超えて、確かな価値を持ち続けます。いわさきちひろの絵本は、まさにそんな永遠の輝きを持つ宝物なのだと、改めて実感しています。
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