親切の裏には何かある? 「厄介な人」
以前住んでいた地域でも、ペットグッズのお店やワンコも食べられる油抜きのドーナツ屋さん、道中で会っては軽く立ち話をするワンコ友達、近くを通ると立ち寄るお宅などなど、馴染みの場所や人がおりました。
今日は、その中で後々厄介になった人の話を書いていこうと思います。
はじめは面倒見のよい親切な人、だった・・・
それは、散歩中にたまたま知り合った年配の女性Fさんでした。同居家族は同世代くらいのご主人。近所には、息子さん夫婦が住んでいます。本人は目が悪いために仕事はできず、ほぼ自宅にいました。そのお宅の前を散歩で通ることがあり、愛犬ぷるを通して話すようになったのがきっかけです。
そのうち、どちらからともなく始まった物々交換。といっても、どこにでもあるような些細なことです。うちが実家でもらった野菜をお裾分けすると、お返しにお惣菜をくれるという感じで、大袈裟なことではありません。
ただ、次第に貰うことが頻繁になっていて、その都度お返しはしていましたが
(申し訳ないな・・)
とは感じていました。
ときどきご主人が早めに帰宅していることがあって、ぷるを囲んで庭先でおしゃべりすることもありました。
突然始まった「お願い」
今思えば、あのときが始まりだったなというきっかけがあります。あれは、ちょうど私の仕事が一区切りついて休んでいたときでした。私は30歳を過ぎたときから在宅の自営業。そのことはFさんも知っていました。あるとき、ご主人が入院したということでFさんから電話が入りました。
内容は
「病院に行きたいんだけど、荷物がすごくて。バスでは行けないから車で送ってくれる?」
というもの。
仕事の納品も終わったし、普段お世話になっていることもあり、すぐ向かうことに。ただ、行ってみると荷物は直径30cmほどの小さめの包みしかありません。
(え?これ、バスに乗るよね?)
と一瞬疑問に思いましたが、とにかく病院へ。病院では
「私、こういう段差が見えにくいの」
「こういう大きさの違いも判別しにくいのよ」
などなど、移動しながら不自由に感じていることを何かと説明されました。
とにかく、病院への送迎は無事に済んだものの、その数日後、意外なお願いをされて驚きました。
「自分の病院へ行くとき、毎回付き添いをして欲しいの」
「誰かに手を引いてもらったほうが安心だから」
Fさんは目が見えないわけではありません。足も丈夫です。見えにくい明るさや段差があるという程度。なのに、毎回自分の病院へ付き添ってくれと言うのです。しかも手を取って移動して欲しいと・・。書類の記入などもお願いしたいと言い出し、流石にこれは丁寧にお断りしました。ヘルパーの利用などを提案しましたが、その後どうしたかは聞いていません。
次第に見えてきた本音とわがまま
Fさんのご主人は、もともと体が弱かったようです。あるとき、こんな電話が来たことがあります。
「主人が会社で倒れたらしいの。タクシー代がもったいないから、迎えに行くのに車を出してもらえない?」
は???
いや、流石にこれはもうおかしいでしょう。聞けば、ご主人の勤務先は車で片道1時間程度はかかる場所です。そもそも私は自分の仕事があります。タクシー代わりという発言にも呆れてしまいました。タクシー代がもったいないということは、知人ならガソリン代をいくら負担させても平気ということでしょう。
通常であれば、近所に住む息子さんかお嫁さんに頼むような話です。私は締め切りも抱えていたので説明し、お断りはしましたが「ちょっと警戒したほうがいいな」と感じ始めました。
そして、予感は的中。
Fさんは、その後も妙なお願いをしてきました。
「主人が浮気している気がする。車で一緒に尾行して欲しい」
「主人が実家の相続を放棄した。私は欲しいから弁護士にタダで相談したい」
まるで、人を便利な道具か何かと思っているかのような、呆れた要望を口にするFさん。
当時、うちが弁護士に相談中だったのを知っていたからのようですが、当然ながら有料です。恐らく、同行してついでに相談できると思ったのかもしれません。
うちは相応のお金を払って委任契約もしていたし、別の依頼者なら個別の費用が発生します。
流石に、これは夫と呆れてしまいましたが、無料相談が可能な機関や条件、相談料の相場などを教える程度にとどめておきました。
そもそも、配偶者の家の財産ですから、遺言書でもない限り相続権はありませんが。
あるときは、何の連絡もなく自宅を訪問されたこともあります。
「ネットで主人の実家がどうなってるか調べて欲しいの」
と言い、Googleビューで周辺を確認するFさん。何が目的なのかもわかりません。
「この先はまだデータがないみたいですね」
と説明しても納得せず
「どこまでならわかる?」
といつまでも調べさせられ、困りました。
しかも、訪問時刻は夜の9時頃。10時過ぎまで滞在し、その日は夫が車で送って行きました。
その後、仕事や私用などでFさんの家がある方へ散歩する頻度は減ったわけですが、うちの近くまで来て引っ越していないか確認していたこともあったようです。これは、久しぶりに散歩で会ったときにFさん本人から聞きました・・・。
そんな事情で、引っ越しのご挨拶はFさんにはしていません。
一見親切な人って怖いこともあるんだな、と感じた経験でした。お陰で今は胡散臭い人は気づきやすくなりましたが。
今の場所に来たときも初めは警戒しましたが、良い方ばかりで安心して暮らしています。