「憑かれる」という現象
ここ十数年ほどで起こった自身の体験から「憑かれる」というのはどういうことなのか考えることがある。ざっくりではあるが、不思議に思うことなどを書いておきたいと思う。
まがまがしい空気を纏った人
私は多少霊感があるだけだが、世の中には霊能者を自称する人もいる。中には、その能力を生活の向上に活かしたり商売につなげたりする人も存在する。作り話でお金を搾取するのは感心しないが、他人の悩みや痛みの解決になるなら悪いことではないと思う。
私が不可解に感じているのは、そうした霊能者を自称する人の中にまがまがしい空気を纏った人がいることだ。ネットの場合は画面からも感じることがある。
身近な中でそれを強く感じたのはTさんである。もっとも顕著になったのはここ10年くらいだろうか。
私は好きな神仏があって、8年ほど前からその神仏が祀られている寺に通っているが、以来、魔や邪気については非常に感じやすくなった。
そのために、Tさんが纏っている邪気に気づけるようになったのだが、もっとも酷いときは刺すような空気を放っていた。そのうえ、どんよりと重たい。
イメージでいえば、部屋に有害な黒煙が蔓延している感じだろうか。
2時間ほど同じ空間にいただけで酷い影響を受けてしまい、抜けるまでに数ヶ月を要した。何か憑いていると感じるが、何なのかまでは今のところわからない。
Tさんの持つ空気が強くなるほど、Tさんは口調が強くなり、自身に満ち溢れるようになった。間違っている情報も上から強く言うために、人によっては信じてしまう。以前のTさんは、自信がなく劣等感でいっぱいで泣いてばかりだったというのに。
自信を持ち、ポジティブになるのは良いことである。しかし、Tさんの場合はそれを超えて悪い方向へ行ってしまった。あえて、他人を悪い方へ誘導することもあるのだ。
私がもっとも不思議なのは、霊能者を自称する彼女が自分に憑いているものに気づかないばかりか祓えないことである。本当に気づかないのか??
そういった人は、これまでにも実は何人か見ている。そして、共通しているのは劣等感が強かったという点だ。
もしかしたら、弱いがために良くないものに入り込まれて動かされているか「魔」と理解していて魂を売ってしまったのかもしれないが・・・。
いずれにしても、弱いことに変わりはないのだろう。
こっくりさんでキツネに憑かれた子ども
「こっくりさん」という言葉を聞いたことのある人は、少なくないと思う。大きな紙に鳥居やひらがな、数字などを書き、硬貨を用いて行う降霊術のようなものだ。主に子供の頃にやる遊びの一種である。
数人で硬貨(私が知っているのは10円硬貨)の上に指先を乗せ、こっくりさんを呼び出す。そして、質問に対して紙に書かれた文字や数字を硬貨が移動しながら答えてくれるのだ。
私も何度かやったことはあるが、母が子供の頃、少し怖いことになったという。
母によれば、こっくりさんが帰ってくれなくなったというのだ。
「こっくりさん、お帰りください」
と言っても、硬貨は鳥居の絵に向かおうとしない。勝手に文字を順に辿り、いつまでもこっくりさんが終了できなかったらしい。
あまり詳細には話してくれなかったが、母によれば、一緒に遊んでいた友達が一人だけ様子がおかしくなり「憑かれた」のだという。
そこで、どうしたら帰ってくれるか訊ね、硬貨が順に示す通りにすることを約束。その後、母たちはこっくりさんが差し示した通りに油揚げを用意し、お稲荷様まで送って行ったそうだ。
憑くという現象の正体
こっくりさんのような降霊術の類は、良くない霊を呼んでしまうこともあるという。オカルト好きには興味深い話ではあるが、実際には誰かの意識が強く働いて力加減で動いていることも多いと思う。つまり、動かしているリーダーがいるということ。見えないものが帰らないとなれば、恐怖のあまり気が動転する者も出てくるだろう。
ただ、様子が変わってしまう、明らかに別人格になってしまうのは憑いていると思える場合は多い。もちろん、状態によっては疾患の場合もあるから、なんでもそう片づけるのは危険である。幻聴や幻覚はまず病院を受診することを、私は著書の中でも勧めている。
私が最近妙に感じるのは、霊感があると自負する「まがまがしい空気を纏った人」だ。気づいていないなら、実際には思うほどの霊能力がないのだろうと思う。もしくは、誇張することで注目を浴びることに酔い、やめられなくなったのが「憑き物」の正体かもしれない。
霊感があると言いながら「まがまがしい空気を纏った人」には、私は何も言わないことにしている。気づいて対処するのは、いろいろな意味で本人しかできないからだ。守ってもらえるかどうかも含めて。
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