冤罪に関する賠償金とは?
もう10年ほど前だったかと思います。
当時、うちは夫がブラック企業で受けた「暴行」「不当解雇」「手当の未払い」といった卑劣な行為の裁判に向けてさまざまな弁護士に相談を始めたところでした。
ある弁護士との面談中、「冤罪の再審が決まった」という知らせが。その弁護士は、冤罪事件を得意としていたためです。
「うちなんかより、重要な案件だ」
「お時間を取らせてはいけない」
と夫婦で意見が一致。早々に退席しましたが、冤罪事件を身近に感じた出来事でした。
なお、うちの件は、その後労働問題に強い弁護士に委任し、無事解決しています。
冤罪の賠償金は法律で決められている
冤罪は、この世でもっとも恐ろしく残酷なことだと思っています。冤罪で死刑判決が下されたら、どれほどの恐怖と絶望感に襲われるでしょうか。
冤罪の賠償金については「刑事補償法」で決められているそうで、その額は1日当たり1000円〜1万2500円です。
最高額だったとしても、24時間拘束されるわけですから、時給に換算すると520円ほどにしかなりません。24時間拘束された状態でも1ヶ月で37万5000円です。
先日、ようやく無罪判決が下された袴田さん(袴田事件)の場合、拘束された期間は47年7ヶ月にも及びます。最高額で支払われるとしても、「571ヶ月×37万5000円」で、2億1400万円ほど。生涯賃金の平均は、男性で2億7000万円ほどですから、本人や家族が受けた苦痛に対する賠償としては十分とはいえません。
多くの冤罪を生み出した「冤罪王」
袴田さんを犯罪者に仕立て上げ、冤罪を生み出したのは「紅林麻雄(くればやしあさお)」という元刑事です。その手法は拷問による自白と証拠の捏造で、「冤罪王」「拷問王」という恥ずべき異名が付けられるに至っています。
数々の冤罪を生み出したことで最終的には左遷され、社会的な非難を受け、疲弊し、脳出血によって55歳で亡くなっています。
『出典元』