正体がわかるとホッコリする 「明け方に聞こえてきた妙な会話」

これは、例のあの家で体験したお話です。心してお読みください。

それは、寝室で聞こえてきた

ある日の明け方のことです。私は誰かの話し声で目を覚ましました。

「そうかなあ。それはこういうことなんじゃないかなあ」
「ちがうわよ！そうじゃなくて・・・、よ！」

交互に聞こえてくる低めの太い声と高い声・・・。
（あ、これは男女で会話してるんだ！）
そう気づいた私は、一体何を話しているのか気になり、耳を澄ましました。
声は、すぐ近くで聞こえていて、明らかに室内で何者かが話している様子。ただ、まったく怖いという感覚はありません。それより、会話の内容に興味津々な私。

ところが、頭が冴えてくるほど会話は妙なものに変わっていきました。普通であれば、頭が冴えてくれば会話もはっきり聞き取れるはずです。しかし、会話は次第に

「ボー、ボボボボ、ヴォン、ヴォン！」
「フォフォ〜ン！フォフォン、フォン！」

という、何を話しているのか聞き取れないものになっていきました。ただ、声質と抑揚だけは同じです。

ついに突き止めた声の主

不思議に思った私は、カーテン越しの薄明かりを頼りに室内を見渡しました。そして、ついに声の出どころを発見。

それは、なんと・・・・

愛犬のぷるさんでした！！！

いつもこんな風にベッドの掛け布団の上で寝ていたぷる

なんと、ぷるさんが一人で会話のような寝言を言っていたのです。
目を覚ましたときは、完全に人間の会話のように聞こえていました。ところが、ぷるが一人で声の高さを使い分けて妙な寝言を言っていたわけです。これにはもう、びっくり。

動画を撮りたいと思いましたが、スマホは微妙に手が届かず、寝返りを打たないと取れません。ぷるは私の上に乗っているので、それでは起きてしまいます。仕方なく動画撮影は諦め、可愛い寝言を聞くことにしました。
寝言は、その後しばらく続くと、ぷるは何もなかったかのように起きてトイレに行きました。

ぷるさんのこういう抑揚のある人間の話し方のような寝言は、他にも一度だけ聞いたことがあります。そのときは、もう少し穏やかな話し方でした。会話形式はびっくりでしたが、夢の中で話していたんでしょうか。

私はぷるがパピーの頃から何かと話しかけていて、言葉も教えていました。そして
「ぷる、そろそろお話してくれてもいいのよ」
「うちで話すなら驚かないからね」
などと声をかけていました。

我が家はおもちゃも一つ一つ名前をつけていて
「パタパタさん（わんこのパペット）持ってきて」
「おじいちゃん（ウェルシュテリアのパペット）とソファーで遊ぶ？」
と必ず名前や場所などを添えて話しかけていました。ハーネスやリードをつける理由、冬に防寒着を着る理由もよく聞かせていたものです。
「ぷる、リードはぷるの命を守るものだからね。よその人に迷惑をかけないためでもあるけど、ぷるを守るものでもあるの。迷子になって、お父さんとお母さんのところに帰れなくなったら悲しいでしょ？車にはねられたら大変だからね」などなど。

そのせいか、ある程度のことは理解してくれていたように思います。犬の知能は、犬種や個体差はあるものの、人間の幼稚園児か小学校低学年程度はあるそうです。
ぷるは、自分からも話したいと思ってくれていたのでしょうか。私たちの会話を夢で真似ていたのかもしれません。