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「IT苦手」は経営者失格(2)経営者がデジタル変革を率いるべき理由
こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
笑顔工学って何??という方は、ぜひ自己紹介をご覧ください!
7回シリーズで「IT苦手」は経営者失格 という記事を書いています。
前回の記事では、「デジタル化を避ける経営者の未来」ということで、経営者自身がデジタル化を避けると大変なことが起こります、というような話をさせていただきました。
今回は、経営者がデジタル変革を率いるべき理由、ということで、なぜ担当者に任せるのではなく、経営者自身が率いなければならないのか、について深掘りしていきます。
まずは、前回の記事でも触れた、WU Executive Academyの「Digitalization and Leadership」という記事の内容から、紐解いていきましょう。
WU Executive Academyは、ウィーン経済大学に属する世界的に有名なビジネススクールで、今回取り上げるのは、Webサイトに掲載されている公開レポートとなります。このレポートを参考に、今回の記事を書かせていただきました。
経営者が担う「リーダーシップ課題」
このレポートでは、デジタル化を単なる技術課題ではなく、経営の「リーダーシップ課題」として位置づけています。この研究は、技術的な専門知識に加えて、以下の3つの側面が経営者に必要であると強調しています。
変革を主導する力
経営者はデジタル化を進めるためのビジョンを描き、その方向性を明確に示す必要があります。例えば、新たなデジタルツールを導入する際、その目的がコスト削減だけではなく、企業全体の成長につながることを社員に理解させることが求められます。社員を巻き込む力
デジタル化は、トップダウンで進めるだけでは成功しません。経営者自身が率先して取り組むことで、社員のモチベーションを高め、組織全体で変革を受け入れる文化を作る必要があります。WUの研究は、経営者の積極的な関与が、社員のデジタル技術習得への意欲を高める効果があることを示しています。柔軟な適応力
デジタル技術の進化は目覚ましく、常に新しいツールや方法論が登場します。経営者はこれに対応するための柔軟なマインドセットを持ち、必要に応じて方向転換を行う準備が求められます。
経営者がデジタル変革を率いるべき理由
1. 意思決定の質が企業の未来を左右する
経営者がデジタル技術を理解しなければ、適切な意思決定が難しくなります。AIやビッグデータが提供する新たな洞察を活用することで、経営者は競争力を高める戦略を描くことができます。
データ駆動型の意思決定: デジタルツールを活用することで、顧客の行動や市場の変化を予測し、迅速な対応が可能になる。
プロセス最適化: アナログな業務をデジタル化することで、効率性を飛躍的に向上させる。
2. 社内の「デジタル文化」を形成するため
経営者の姿勢は、組織全体に大きな影響を与えます。「IT苦手」と公言する経営者の下では、デジタル化への取り組みが軽視されがちです。一方、経営者が積極的に学び、実践する姿勢を示せば、従業員の意識を変え、デジタル文化を醸成することが可能です。
例えば、生成AIツールを使った効率化やデータ分析の実践を経営者自身がリードすることで、従業員に学びと挑戦の機会を提供できます。
3. 外部依存を減らし、自律的な成長を促進する
過去の日本企業は、外部のITベンダーに依存しすぎた結果、囲い込まれるリスクに直面しました。このような依存から脱却し、内部のデジタル能力を高めることが、長期的な成長に不可欠です。
デジタル技術の理解を深めた経営者は、外部ベンダーに頼るだけでなく、自社の強みを活かした技術活用を進めることができます。
デジタル化をリーダーシップ課題とする理由
デジタル化が進む中、経営者が「技術的知識の欠如」を理由にそれを他者に委ねることは、企業の競争力を大きく損なうリスクを伴います。以下の具体例を通じて、その重要性をさらに掘り下げてみましょう。
1. 意思決定におけるリーダーシップの役割
デジタル技術の導入は、企業の短期的な利益だけでなく、長期的なビジョンに影響を与えます。例えば、AIを活用した市場分析を行う際、経営者がその結果を正しく解釈し、意思決定に反映させる力が必要です。専門家に依存するだけでは、競争環境の変化に即応することは難しいのです。
2. 社員とのコミュニケーション
経営者がデジタル技術に対して積極的な姿勢を見せることで、社員もその重要性を理解しやすくなります。リーダーが「ITは苦手だから」と言っている企業と、「私も一緒に学ぶ」という姿勢を持つ企業では、組織の変革スピードに大きな差が出るのは明白です。
3. 柔軟性と革新性の融合
金剛組や伊勢神宮など、日本の長寿企業が示すように、変わるべきものと変わらざるものを見極める力は、現代でも重要です。これをデジタル化に適用するには、経営者自身がデジタル技術の可能性と限界を理解し、それを組織の戦略に統合する能力が求められます。
実践のステップ
レポートでは、経営者がデジタル化を率いるための具体的なステップも示されています。
デジタルツールの基本的な理解
経営者はまず、生成AIやデータ分析ツールなど、主要なデジタル技術を試してみるべきです。デジタル文化の醸成
組織全体でデジタル技術の重要性を共有し、学ぶ姿勢を推奨する環境を作ります。長期的なビジョンの策定
デジタル化が短期的な利益だけでなく、企業の未来にどう影響を与えるかを考え、戦略を策定します。
まず始めるべき「生成AI」の活用
デジタル変革に取り組む第一歩として、生成AIを試してみることをお勧めします。ChatGPT、Copilot、Gemini、Claude、Perplexityなど、多くの生成AIが無料または低コストで利用可能です。
まずは、AIと遊ぼう、という観点で試してみるのが良いのではないでしょうか。以前書いたこちらの記事も参考にしてみてください。
なぜ生成AIから始めるべきか、については、下記のことが挙げられます。
低リスクで試せる
多くの生成AIは無料で始められ、有料プランも月額「呑み代一回分」程度で利用可能です。学ぶ楽しさを実感できる
生成AIは簡単な質問から始めることで、楽しく使えるようになります。思い込みを取り去ることができる
経営者の思い込みやバイアスを取り除く力を持っています。自らの過去の経験だけで判断をするのではなく、一般的な視点を加えられます。質問ができる
生成AIを使うのに慣れると、何かを導入するときに、生成AIに質問することができるようになり、一般的なことであれば自己解決できるようになります。
経営者自身が生成AIに慣れ、その特性を理解し、会社ならではのAIの活用法を研究し実践していくことこそが重要であり、その上で従業員にも活用を促していくことが順番として大切ですので、まずは遊ぶところから入ってみるのが良いのではないでしょうか。
まとめ
デジタル化は、単に技術の導入だけではなく、経営者のリーダーシップそのものが試される時代に突入しています。経営者が自ら技術を学び、社員を巻き込みながら組織を導くことで、企業の未来が大きく変わるのです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
次回は、「海外に学ぶ、デジタル時代の経営力」として、情報通信白書のデータを交えながら、海外比較をもとに、日本企業が学ぶべき視点を探ります。お楽しみに!
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