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こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
笑顔工学って何??という方は、ぜひ自己紹介をご覧ください!

今回は、パレートの法則(80:20の法則)から始めて、「QC7つ道具」の1つである「パレート図」をデジタル技術やAIで活用する方法を考えてみます。さらに、ChatGPTなどの生成AIを使って一瞬でパレート分析を行う例や、リアルタイム情報をどう取り込むと良いのか、についてご紹介します。

パレートの法則(80:20の法則)

イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した「所得の80%は20%の人に集中する」という観察をもとに、一般には「全体の大半が少数の要素に集中しがち」という意味で広く使われています。

売上の80%は上位20%の顧客がもたらす
不良品の80%は特定の20%の工程が原因

といった具合に、あらゆる分野で応用される考え方です。

パレート図とは

この法則を“目に見える形”で示すのがパレート図です。

パレート図

要因や項目を発生数の多い順に棒グラフにし、累積比率を折れ線で重ねて表示します。棒グラフの上位が全体の何%を占めるかが一目瞭然となり、「どの要因に手を付ければ効率よく成果が得られるか」を理解しやすいツールです。

社内電話をパレート図で分析し、ムダを可視化する

社内の電話が多い…それって実はムダ?

私が支援する会社に入り込むと、大抵の中小企業では、電話がよく鳴ります。それも、「社員同士での電話」が多くあったりします。
別の部署からの電話、外に出ている営業職員からの電話、現場からの電話などなど、、、電話はどうしても作業が中断します。

内容も様々ですが、「取引先の連絡先を聞く」「書類のファイル場所を教えてほしい」「○○の手続きどうやるんだっけ」といった「情報共有の不備」が原因となっているケースが多いものです。

これは、もしかするとチャットツールや社内電子掲示板などがあれば、電話しなくても済む話かもしれません。
そこで、社内電話はすべて無駄なのか?を検証することをおすすめしています。実際にデータを集めてパレート図を作り、AIを活用して分析する流れを紹介します。

社内電話をどうやってデータ化する?

1. 電話ログの記録
「誰が」「いつ」「何を聞きたくて」「何分通話したか」を簡単にExcelやGoogleスプレッドシートに記録します。ちょっと大変ですが、できる限り丁寧にお願いして協力してもらいます。

1週間は全社員に「社内電話があったらこのシートに入力して」と協力してもらうのもありです。量にもよりますが、手書きメモからでも1週間くらいならあとで入力して分析しても良いかもしれません。

項目例

  • 日付 / 時刻

  • 発信者名 / 受信者名

  • 通話時間

  • 内容(短い言葉でOK)

2. カテゴリ分けする
問い合わせ内容の「カテゴリ」を自分たちで想定してみます。例えば下記のような感じです。

  • 社内情報の不足(書類の置き場、マニュアル不備など)

  • 緊急連絡事項(急な数量の変更、品質トラブルの連絡など)

  • システム関連(PCトラブル、ネットワーク障害など)

  • 人事・経理関連(休暇の申請方法、経費精算手続きなど)

  • 確認(明日の予定の確認、社長の所在の確認など)

  • その他

3. 内容を生成AIで整形・分類
電話ログと作成したカテゴリから、機械的に処理しやすい形に整形してもらいます。例えば、下記のようなプロンプトで、ChatGPTなどを活用すると良いでしょう。

以下の通話ログのテキストをもとに、'内容カテゴリ'を自動的に判定し、CSV形式で出力してください。 

主なカテゴリは
- 社内情報の不足(書類の置き場、マニュアル不備など)
- 緊急連絡事項(急な数量の変更、品質トラブルの連絡など)
- システム関連(PCトラブル、ネットワーク障害など)
- 人事・経理関連(休暇の申請方法、経費精算手続きなど)
- 確認(明日の予定の確認、社長の所在の確認など)
- その他
この6種類でお願いします。()の中は解説なので出力しないでください。

書式は「通話ID,日付,担当者,内容カテゴリ」にしてください。1行目にはタイトルを出力してください。

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  [通話ログの生テキスト]
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スプレッドシートでパレート図を作る

  1. データ取り込み
    上記で出てきたCSVをGoogleスプレッドシートやExcelなどのスプレッドシートに取り込みます。
    例えばGoogleスプレッドシートの場合、画面左上の「ファイル」をクリック→「インポート」を選択し、「アップロード」をクリック→CSVファイルをドラッグ&ドロップするか、ファイル選択画面から選んでアップロード、という手順をとります。Excelの場合は「データ」から「データファイル指定」で、「テキスト/CSV」を選びます。

  2. データの集計
    ピボットテーブルを作成
    シート上部の「データ」メニューから「ピボット テーブル」を選択。
    データ範囲(例: A:D)を選択し、新しいシートにピボットテーブルを作成します。
    行・列・値の設定
    に「内容カテゴリ」を設定。
    必要に応じてに「担当者」や「日付」を設定。
    に「通話ID」の件数カウントを入れると、カテゴリごとの通話数が集計されます。
    集計結果を確認

    どのカテゴリが多いか、担当者との組み合わせでどのくらい通話が発生しているかなどを把握できます。

  3. グラフの作成
    ピボットテーブルで得られた集計結果をもとに、Googleスプレッドシートであれば「挿入→グラフ→コンボ(棒グラフ+折れ線)」を選択し、棒グラフを「件数」に、折れ線を「累積比率」に設定。これでパレート図が出来上がります。

完成したパレート図を確認・分析

これで、最も件数が多いカテゴリ(80%を占める上位20%)が一目でわかるパレート図が完成です。これをもとに、まずは自分で現状を確認してみることをおすすめします。これだけでも、だいぶ色々なことがわかります。
そして、次に、AIを使って「どうすればこのカテゴリを減らせるか」を分析してみましょう。

生成AIを使った改善案の検討

パレート図から得られた「上位20%の原因」について、生成AIを活用して改善案を考えます。下記のようなプロンプトを、先ほどデータを整形するのに使った生成AIに続けて入れてみましょう。続けて入れるのがポイントです。そうすれば生データも持っているわけですから、より的確な答えが得られる可能性が高まります。

プロンプト例

社内電話のパレート分析結果、80%が『社内情報不足』というカテゴリでした。この問題を減らすための具体的な施策を考えてください。

AIが出しそうなアイデア例

  1. 社内Wikiの構築: マニュアルやFAQをまとめて全社員がアクセスできるようにする。

  2. チャットツールの活用: 問い合わせをチャットボットで対応可能にする。

  3. ファイル管理の改善: 共有フォルダを整理し、検索性を向上させる。

  4. 新人研修の充実: 情報共有の基本ルールやシステムの使い方を徹底教育。

これで、「社内電話をなくす」ための具体的な道筋が見えてきま。

パレート図は問題を人間が解析しやすくするツールですが、生成AIを活用することで、人間の考えた結果をAIに入れ込んで、解決策をより迅速かつ効果的に見つけることが可能になります。

このように、デジタル的な手法、生成AIの活用などと、人間が分析しやすくするパレート図のような手法をハイブリッドで使っていくことが、これからのスピードの速い経営には必要不可欠になるのではないかな、と考えます。

このような手法を使っていくことが、永続する仕組みを持つ「千年企業」への道ではないかな、と考えています。そして、あくまでも働く人の「笑顔」を増やすための分析だ、ということを忘れず、分析のための分析にならないように気をつけていただければと思います。

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