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こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
笑顔工学って何??という方は、ぜひ自己紹介をご覧ください!

「情報セキュリティ」の侵害事例が増えるなかで、パスワードの使い回しやアカウント情報の漏洩は深刻な問題となっています。

特にITリテラシーが高くない現場では、「複雑なパスワードを設定しても覚えられない」「二段階認証の導入ハードルが高い」といった声をよく耳にします。

しかし、セキュリティ強化の基本を少しずつ取り入れるだけでも、リスクを大幅に下げることができます。

本記事では、アカウント共用の危険性、パスワードの使い回しリスク、二段階認証(2FA)の有効性、パスワードマネージャの具体的使用方法などを中心に、初心者でも取り組みやすい解決策をご紹介します。

アカウント共用の危険性

PCや各種クラウドサービスなどのアカウントを複数人で共用することが、よく行われています。一見、コスト削減や手間の軽減といったメリットがあるように思えますが、実際には深刻なリスクを孕んでいます。以下のポイントに注目してください。

責任の所在が不明確に

複数人で同じアカウントを使用すると、各操作の記録が誰のものなのか判別できなくなります。結果として、不正な操作やミスがあった場合の追跡が困難になり、問題発生時の責任の所在が不明確になります。

情報漏洩リスクの増大

複数の人が同じアカウントを使う場合、パスワードの更新や管理が疎かになりがちです。また、誰かがパスワードを外部に漏らしてしまった場合、全員の情報が一度に危険に晒されるリスクが高まります。

セキュリティ対策の効果低下

個々のアカウントに対して二段階認証(2FA)や個別のアクセス制限が設定できず、全員が同じ認証情報を使うため、セキュリティ層が薄くなります。これにより、万が一の不正アクセス時に被害が拡大する可能性があります。

内部統制の弱体化

誰がどの操作を行ったのかが記録されないため、内部統制や監査が難しくなります。特に、財務データや機密情報を扱う部門においては、個々の行動履歴が不明だと、不正の発見や予防が困難になり、組織全体の信頼性が低下します。

実際の現場での事例

多くの現場で見受けられるPCのアカウント共用は、操作ミスや情報漏洩のリスクを増大させています。例えば、複数の従業員が同一アカウントでログインしていると、どの作業がどの人によって行われたかが追跡できず、トラブル発生時の対応が後手に回ることがあります。

パスワードの使い回しリスク

使い回しが招く危険

1つのサービスからパスワードが漏洩すると、同じパスワードを使っている他のサービスにも不正ログインされる可能性があります。攻撃者はネット上で公開されたパスワード情報を用い、別のサービスに「総当たり(リスト攻撃)」的にログインを試みます。

  • 顧客情報・機密情報の流出
    企業アカウントの使い回しにより、顧客の個人情報や営業秘密が漏洩するリスクが高まります。

  • 金銭被害
    ネットバンキングやECサイトのアカウントが乗っ取られると、不正送金や買い物に悪用される可能性があります。

なぜ使い回してしまうのか

  • 複数のID・パスワードを管理するのが面倒
    多くのWebサービスや業務システムでID・パスワードが必要となり、どれがどのサイトか分からなくなる場合があります。

  • ITリテラシーが低い現場では「覚える自信がない」
    長くて複雑なパスワードを設定すると、自分が忘れてしまうリスクが高いと感じて、シンプルで使い回せるものにしてしまいがちです。

二段階認証(2FA)の有効性

パスワード単独では防げない攻撃

パスワードが何らかの形で漏洩したり推測された場合、通常ならすぐにアカウントが乗っ取られてしまいます。そこに 二段階認証(2FA) を追加することで、パスワードだけではログインできなくし、漏洩リスクを大幅に下げられます。

2FAの導入手順

多くのサービスでは2FAの導入が可能で、以下のものを活用して行われています。

  • 携帯アプリの活用
    代表的なアプリに「Google Authenticator」などがあり、ログイン時にパスワード+一時的な6桁の数字を入力する仕組みです。

  • SMSやメールでのコード受信
    パスワード入力後に、登録された携帯番号やメールアドレスに送られるワンタイムコードを入力する方式も普及しています。

  • 物理トークンの利用
    より厳密にセキュリティを確保したい場合は、物理的なセキュリティキー(USB接続やNFC対応)を用いる方法もあります。

ITリテラシーが低い現場でも導入するには

  • シンプルなルールを決める
    たとえば「社内メールのアカウントは必ず二段階認証をオンにする」といった形で、明確な利用対象を定める。

  • 登録・設定をサポート
    スマホの操作が苦手な人でも、QRコードを読み取るだけでアプリが設定できることを説明し、最初の登録をサポートする。

  • パスワード+SMS認証が分かりやすい
    できるだけアプリ不要で二段階認証を導入したい場合、SMSでのコード受信が導入コストも低く、導入障壁が少ない。

パスワードマネージャの具体的利用方法

なぜパスワードマネージャか

多くのパスワードを安全に保管し、必要なときに自動入力してくれるツールです。パスワードを記憶しなければならない数が激減し、パスワード使い回しのリスクも抑えられます。
また、マネージャが自動生成する複雑で長いパスワードを各サイトで使えば、同じパスワードを使い回すリスクを根絶できます。

具体的な活用イメージ

ITリテラシーが低い現場でも導入しやすいのが、Google Chromeに標準搭載されているパスワード管理機能です。各サイトにログインする際、Chromeがパスワードを記憶して同期してくれます。

  • 長めのパスワードを自動生成し、ユーザーはそれを覚えなくてもログインが可能。

  • 2段階認証(Googleアカウントの2FA)を有効にしておけば、クラウド上に保存されるパスワードも比較的安全に管理できる。

「長いパスワード必須だと紙に書いちゃう」問題への対処

  • パスワードマネージャに任せる
    ユーザーが毎回パスワードを打たなくてもいい仕組みを用意する。(ブラウザ拡張などが自動入力)

  • 会社ルールの見直し
    あまりにも厳しすぎる文字数や更新頻度を設定すると、逆に社員が紙にメモを貼ってモニターに貼り出すなどの危険行為を招く。現場の実情に合ったルールを設定し、強度と運用負荷のバランスを図る。

  • 2FAでサポート
    パスワードが複雑になるほど、他人が推測しにくくなるが、本人が忘れやすくなるリスクも生じる。2FAを導入すると、パスワードが多少漏れても二段階目で防御できるため、社員への負担を和らげることができる。

アクセス制限との連動

パスワード管理をしっかり行っていても、不要に広い権限を付与していれば、情報漏洩リスクは消えません。最小権限の原則を導入して、ユーザーには業務上必要な範囲のアクセスだけを許可することが大切です。

  • NASやクラウドでのフォルダ権限
    部署別・プロジェクト別にフォルダを分け、閲覧・編集権限を細かく設定する。

  • Role-Based Access Control(RBAC)
    個々のユーザーごとに設定するのではなく、あらかじめロール(役割)を定義しておき、ユーザーにそのロールを割り当てる方式。人事異動時はロールの付け替えだけで済む。

ログの監視も忘れずに行いたいところです。誰がいつどのファイルにアクセスしたかを記録しておくことで、不審なアクセスを早期に発見できます。

具体的な導入ステップ

  1. 現状の洗い出し

    • どのサービスやシステムでアカウントを持っているか、一覧化する

    • 使い回しているパスワードがないかチェック

  2. Googleブラウザのパスワードマネージャを活用

    • Chromeのパスワード管理機能をオンにし、強固なパスワードを自動生成してもらう

    • 社員にはGoogleアカウントの2FAを必須にしてもらい、クラウド上のパスワードも保護

  3. 部署ごとのフォルダと権限設定

    • Google Driveなどで部署フォルダを作成し、閲覧権限・編集権限を明確に設定

    • 初期設定は管理者が担当し、エラーや不便が出たら随時フィードバック

  4. 二段階認証の必須化

    • メールや主要システムへのログイン時に、パスワード+SMSコードやアプリコードの入力を推奨・必須化

    • 初期設定に苦手意識を持つ人がいれば、手順書と個別サポートを用意

  5. 周知と継続的な教育

    • 月1回程度、セキュリティ小ネタを社内チャットやメールで周知(「パスワードの見直しをしよう」「2FAロックアウト防止策」など)

    • 新入社員には必ずアカウント管理のルールについて教育を実施

まとめ

情報セキュリティを高めるためには、「パスワード管理」と「アクセス制限」がまずは要となります。しかし、いきなり高度なソリューションを導入しても、現場が運用しきれないと意味がありません。

  • アカウント使い回しの回避

  • 二段階認証(2FA)の導入

  • パスワードマネージャ活用

  • 最小権限の原則(アクセス制限)

上記を段階的に取り入れ、ITリテラシーが低い現場でも「まずはGoogleの機能を使ってみる」といった形で小さくスタートし、現場と対話しながら徐々にレベルアップしていきましょう。

忘れてはならないのは、システムやルールを整備しただけでは不十分だということです。最終的にそれを使うのは「人」であり、人が納得して正しく使うことによって初めてセキュリティが守られます

継続的な教育や意識づけを怠らず、日頃からの基本対策をしっかり固めていくことで、企業やコミュニティが安心して活動できる環境を目指していきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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