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電子文書の整理方法
こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
笑顔工学って何??という方は、ぜひ自己紹介をご覧ください!
今回は「電子文書の整理方法」の記事です。
以前、ペーパーレス化については記事を書きましたので、そちらもご一読いただければと思います。
ペーパーレスを進めようとすると、電子文書が増えてきます。
紙よりも検索はしやすいのですが、やはり、整理しながら格納していかないと、大量のフォルダの中から電子文書を探す羽目になることも多いです。
電子文書を効果的に管理するためには、「一元的な整理」が不可欠です。組織の中で、統一感を持った整理をして情報を共有していくことで、書類を探すという無駄な時間をできる限り無くして効率化していくことが重要です。
フォルダ構造の設計、ファイル命名規則、文書の自動分類、バージョン管理、メタデータの活用、バックアップ戦略、そして権限管理など、多角的な管理手法を組み合わせることで、業務効率はもちろん、セキュリティ対策やリモートワーク環境の整備にも寄与します。
フォルダ構造の設計とファイル命名規則
階層的なフォルダ構造の構築
電子文書は、業務内容、部署、年度、顧客ごとなど複数の観点から整理することが求められます。たとえば、企業内の文書管理では以下のような階層が考えられます。
部署別:総務、営業、経理、技術部など
年度別:2024年、2023年…といった年度ごとの分類
書類種別:契約書、報告書、議事録、マニュアルなど
このような階層構造を採用することで、目的の文書に迅速にアクセスできるようになります。また、一貫性のあるファイル命名規則を導入し、ファイル名に日付、プロジェクトコード、文書の種類を含めることで、後からの検索性が大幅に向上します。
バージョン管理とメタデータの活用
電子文書は、業務の中で頻繁に更新されるため、どの時点の情報が最新なのかを明確にすることが必要です。バージョン管理は、文書に対して「バージョン番号」や「最終更新日」どの情報を付与し、過去の版との比較や変更履歴の追跡を可能にします。
NASやクラウドストレージのバージョン管理機能
多くのNAS(ネットワーク接続ストレージ)やクラウドサービス(Google Drive、OneDrive、Dropboxなど)には、標準でバージョン管理機能が備わっています。これにより、以下のようなメリットが得られます。
自動バックアップと履歴の保持
保存された文書の変更履歴が自動的に記録され、万が一誤った更新があった場合でも、以前のバージョンに簡単に戻すことができます。共同作業の効率化
複数人が同じ文書を編集しても、各自の変更が追跡され、誰がどの部分を更新したかが明確になるため、レビューやフィードバックがスムーズに行えます。
バージョン管理の実践例
たとえば、プロジェクト報告書や契約書など、重要な文書の場合、ファイル名にバージョン番号と更新日を含めるというルールを設ける方法があります。
Project_Report_v1.0_2024-04-01.pdf
Contract_Agreement_v2.3_2024-05-15.pdf
また、NAS上で専用のフォルダを「バージョン管理」用に設定し、各文書の更新時に自動でバックアップが作成される仕組みを利用するのも有効です。これにより、手動での管理負担を大幅に軽減できます。
メタデータの活用とその運用方法
メタデータは、文書そのものとは別に付随する情報であり、文書の作成者、作成日、関連プロジェクト、キーワードなどを含みます。これにより、膨大な文書の中から目的の情報を迅速に検索・分類することが可能になります。電子文書にメタデータを付与する方法は、大きく分けて以下の2種類があります。
ファイル命名規則でのメタデータの埋め込み
例として、ファイル名に「部署名」「日付」「文書種別」「プロジェクトコード」などを組み合わせる方法があります。
例:Sales_20240401_MeetingMinutes_ProjectX.pdf文書プロパティへの入力
多くのオフィスソフト(Microsoft Office、Adobe Acrobatなど)では、文書のプロパティ機能が備わっており、ここに作成者、キーワード、概要、関連プロジェクトなどを入力できます。
これにより、システム側の検索機能を利用して、文書内部の情報だけでなく、プロパティ情報も対象に検索できるようになります。
選択は業務内容や組織の運用ルールに依存しますが、以下の点を考慮してください。
ファイル命名規則の場合
・シンプルで誰でもすぐに理解できる
・検索は容易だが、手動でのルール遵守が必要
・ファイル名が長くなりすぎると視認性が低下する恐れがある文書プロパティの場合
・ソフトウェアの機能を活用できるため、自動化が可能
・編集履歴や検索範囲が広がり、詳細なフィルタリングが可能
・プロパティの入力がルール化されていないと、情報のばらつきが発生する可能性がある
どちらか一方に固執せず、両方を併用するのも一案です。たとえば、基本的なメタ情報はファイル名に含め、より詳細な情報は文書プロパティに記載するといった運用が考えられます。
具体的な運用例として、企業の文書管理システムにおいては、次のようなルールを設定することが有効です。
基本ルールの明文化
「ファイル名には必ず『部署名_日付_文書種別_プロジェクトコード』のフォーマットを使用する」など、統一した命名規則を策定する。プロパティ入力のテンプレート作成
各文書作成時に、必ず文書プロパティに「作成者」「作成日」「関連プロジェクト」「キーワード」を入力するテンプレートを用意する。これにより、誰が作成しても一定の情報が付与され、後での検索が容易になります。定期的なレビューと改善
メタデータの運用状況を定期的にレビューし、ルールの適合性や運用の煩雑さを見直す。必要に応じて、ルールを簡素化したり、自動化ツールを導入することで、継続的な改善を図る。
自動分類の活用
OCRとルールベース分類ツールの導入
紙資料をスキャン、もしくはFAXを受信した後、OCR(光学式文字認識)機能を活用して、文書内の文字情報をデジタルデータに変換します。さらに、自動分類ツールを組み合わせることで、キーワード(例:顧客名、部署名、契約番号など)に基づいてファイルを特定のフォルダに自動的に移動させることができます。これにより、手作業の負担を大幅に軽減し、整理ミスも防止できます。
中規模以上の組織の場合、市販の文書管理システム(DMS)を導入して、承認フローまで実現する方法が多く行われていますが、Google DriveやGoogle Apps Scriptを活用して、費用をおさえて実現する方法もあります。
バックアップ戦略とセキュリティ対策
定期バックアップと冗長構成の重要性
電子文書の保存先としては、クラウドストレージやNAS(ネットワーク接続ストレージ)を活用するのが一般的です。NASの場合、RAID構成を取り入れることで、ハードディスクの故障リスクを低減できます。さらに、定期的な外部ディスクやクラウドへのバックアップも実施し、データ損失のリスクを最小限に抑える仕組みが求められます。
アクセス権限とセキュリティ管理
電子文書は、適切な権限設定によって、情報漏洩リスクを管理する必要があります。各フォルダや文書に対して、閲覧権限と編集権限を明確に設定し、必要に応じてアクセス制限を行います。また、アクセスログの監視も定期的に実施し、不審なアクセスがないかチェックすることで、セキュリティを強化します。
ワークフローの構築
業務プロセスの可視化と自動化
電子文書の管理は、単なる整理だけでなく、業務プロセス全体の効率化に直結します。まず、各業務プロセスの流れを業務フロー図にまとめ、文書が生成・利用されるタイミングを明確にします。これにより、各工程で発生する課題や無駄を洗い出し、改善策を検討できます。
自動化ツールの活用
一部の業務は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や他の自動化ツールを活用することで、文書の承認プロセスや情報の転送、通知システムなどを自動化できます。たとえば、新規契約書の承認フローでは、担当者が電子文書を作成し、上長の電子承認を経て、定められたフォルダに自動で移動・保管される仕組みを構築することが可能です。
定期的なレビューとフィードバック
ワークフローは一度構築したら終わりではなく、定期的なレビューとフィードバックのサイクルを組み込み、PDCAサイクルやOODAループを活用して、業務プロセスの改善を継続的に行います。これにより、変化する環境にも柔軟に対応できる「生きたドキュメント」としてのワークフローが維持されます。
まとめ
電子文書の管理とワークフローの構築は、情報の整理・検索性の向上、バックアップの強化、そしてセキュリティ対策といった面で、組織全体の業務効率と安全性を大幅に向上させます。
整理されたフォルダ構造、厳格なファイル命名規則、そして自動分類システムの導入が、日々の業務をスムーズにするだけでなく、リモートワークや多拠点業務の推進にも直結します。
さらに、業務プロセスの可視化と自動化ツールの導入、定期的なレビューとフィードバック体制により、常に最新の情報管理体制を維持することが可能です。
まずは、シンプルなルールから始め、全員で運用ルールを共有することが成功の第一歩です。これが、将来的な大規模システムへの発展と、組織全体のデジタル化を支える基盤となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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