日本の食品業界でイノベーションが生まれない、理由のひとつ

先月下旬、ユニリーバ社が小さな調味料ブランドを買収したと発表した

ユニリーバ社が買収したのは、7年前にブラウン大学のルームメイト二人が始めたケチャップのブランド、サーケンジントンだ。

欧米では大手食品企業が小さなスタートアップブランドを買収するということが珍しくない。

日本の食品業界でイノベーションが生まれない明らかな理由のひとつについて、私見だけど書きたいと思う。

イノベーションが生まれるスタートアップ・エコシステムがない

食品ブランドがIPOでエグジットするのは現実的ではない。

大手企業に買ってもらうというのが普通。

数本アタリを出したらIPOを狙えるゲーム業界や、

爆発的に流行したら高値で上場できるアプリ業界とは全く違う。

食品製造販売は、資本集約的な業種で事業拡大に比較的時間がかかる。

早期に出資してもらい事業の拡大を目指し、大手企業に買収されるというシナリオが一番現実的だと思う。

組織が大きくなるとイノベーションが生まれにくくなるのはどこの国でも変わらない。

問題はそれをどう解消するか。

欧米の様に、ブランドを育てることに特化したアクセラレータや、ある程度トラクションを得たブランドをポートフォリオに加えて更なる成長を促すベンチャーキャピタルが複数登場すれば、日本でももっと食品業界のイノベーションが容易になると思う。

ちなみにアクセラレータではニューヨークにあるAccelFoodsが上記のブランドに特化したアクセラレータプログラムというのを実施している。

ダノンも先月同アクセラレータに出資したが、こういうニュースを毎日見ていると、夢と実行力がある優秀な人材が国外に出てしまうのも無理がない気がする。

アクセラレータプログラムは、対象分野を運営サイドの得意分野に絞るのがいいと個人的に思う。

事業を最大の速度で育て、運営サイドの株主価値に寄与し、イノベーションを量産するには、運営サイドの培ってきたノウハウを十分に活かせる分野に絞る方が有益と思う。

例えば食品ブランドを育てるということに関して言えば、大量生産に移行するためのノウハウ、流通、パッケージング、原料のソーシング、キャッシュマネジメント、知財、マーケティング…と挙げればきりが無いが、業界によってプログラムに期待されるノウハウやネットワークが異なるので、参加する側としてもフォーカスしているプログラムに参加したいんじゃないかと感じる。