情熱の行方
誕生日に夫からもらった花束は、
ドライフラワーにしようと思って、キッチンに吊らせてもらってる。
あれだけ自分で「祝え祝え」と言っておきながら、
当日花束をもらうと「な、なんかやましいことでもあるの?」
と疑り深いことを言ってしまう、可愛くない妻は私。
もうすぐ付き合い始めて12年、入籍から8年。
付き合っていた4年の内、
半分以上は、大阪−熊本の遠距離恋愛だった。
「辞令で熊本に行くことになった」と言われたとき、
「え、ほんで?着いて来いとかないわけ?」と内心思ったのだけど、
そこはプライドが許さず、私からは絶対にプロポーズはしないと決めていた。
離れている間、毎朝私から電話して起こしていたし、
連休の度に行き来していた。
バレンタインの日には手作りチョコを持って朝から出勤し、
オフィスの暖房や、行きの飛行機の中で溶けやしないかとヒヤヒヤしながら熊本まで飛んだ。
あの日のガッツと情熱は今いずこ…。
彼のことはとても好きだし、隣にいてくれて嬉しいのだけど。
キラキラとした遠距離恋愛の思い出は、いつまでも色褪せない。
ここ最近、スーパーに行くと、カボチャや黒猫、魔女にオバケと、ハロウィンムード。
12年前に付き合い始めたあの頃は、ハロウィンなんて全くブームじゃなかったのになぁ。
なんて、入籍記念日を前に、時の流れを思う。
病めるときも健やかなるときも…
と結婚式で神様に誓ってしまった。
おいおい話とちゃうやんけ、と神様に怒られないよう、
良い奥さんでいようと思う。