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【山形ワイナリー旅】グレープリパブリック、アンフォラ醸造など独自の魅力で世界10カ国へ輸出
人気が拡大している日本ワインで、近年、話題になっているのが「グレープリパブリック」。2017年に設立された山形県南陽市にある新顔のワイナリーで、自社のブドウ畑ではオーガニックにこだわった栽培に取り組んでいます。さらに天然の酵母だけを使用する独自の醸造スタイルや、「アンフォラ」という日本では珍しい陶器の壺(つぼ)で醸す、国内最大級のアンフォラ醸造施設も話題。ワインラバーたちが興奮する魅力をお届け!
除草剤や殺虫剤は不使用!自社畑のブドウは有機栽培
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東京から赤湯駅まで山形新幹線で約2時間30分。有名な「赤湯ラーメン 龍上海」や、東北最古の「酒井ワイナリー」などで知られる赤湯駅に到着します。そこからタクシーで10分くらいで「グレープリパブリック」に。(最寄駅は中川駅ですが、タクシーがつかまりやすいのは赤湯駅)
「グレープリパブリック」は普段、個別のワイナリー見学に対応していないワイナリーですが、山形を訪問した際、特別に見学させてもらいました。
クリーム色の建物で、まず目に入るのはおなじみの女性のブランドロゴマーク。「グレープリパブリック」はブランドロゴも、ワインのラベルも、とてもモダンで色鮮やかなデザインが印象的。
見慣れたロゴを見つけるや、「ついにグレリパにやってきた!」という実感がわいて、テンションが高まります。辺りにはおだやかに広がる丘や山、畑が広がっています。
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同社の広報担当者の方は、さっそくその風土を説明してくれました。「1日を通して寒暖差が大きく、風が強く、日本の中では比較的降水量が少ない気候なので作物が病気になりにくく、ブドウ作りに適した土地です。デラウェアやステューベンなどの品種がこの辺りでは栽培されています」。
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ワインに使うブドウの2割は近隣の自社畑で栽培したもので、除草剤や殺虫剤をはじめとする農薬を使わない有機栽培のもの。残り80%は契約農家さんから仕入れておりますが、こちらもできるだけオーガニックのものを探しているそうです。
野生酵母、無濾過(むろか)…独自の製法で世界10カ国へ輸出!
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「グレープリパブリック」は初ヴィンテージが2015年~という比較的若いワイナリーにもかかわらず、国内はもとよりすでに海外でも人気。生産量全体の20~25%は海外へ輸出しています。主な輸出先は、アメリカ・カナダ・台湾・香港・中国・シンガポール・フィリピン・マレーシア・スウェーデン・オランダなど。
ブドウの品種はマスカットベリーAなどの日本の品種の他に、メルロー、カベルネ・フラン、ガメイ、サンジョベーゼ、ネッビオーロといった欧州系の栽培もスタート。ゆくゆくは10万本のワイン造りを目指しています。
「海外では今、フレッシュでフルーティーなワインが人気で、アルコール度数が低め(10~12%)の飲みやすいワインが人気です」と広報担当者。同社のワインは10~11%台のものが多く、一部、アルコール度数が6%台のものもあります。
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自社畑では有機栽培にこだわったブドウを厳選使用しているだけでなく、ワインが酵母無添加、つまり収穫したブドウにもともと付着している天然の野生酵母だけでワインを醸造しています。
さらにスキンコンタクト、無濾過(ノンフィルター)、無清澄(コラージュ)、ワイン保存用に使われる亜硫酸塩の無添加など、どのワインにも独自の工夫が至るところに見られます。
中でも特筆すべきは「アンフォラ」という大きな壺(つぼ)で醸す、ちょっと珍しい醸造法です。
国内最大級のアンフォラ醸造!まろやかで奥深い味が魅力
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アンフォラとはワイン発祥の国、ジョージアなどで見られる粘土の素焼き壺のこと。陶器の一種であるアンフォラでワインを醸すと、木樽のように微量の酸素をワインに供給することになるので、壺の中で自然の対流が起こり、まろやかで自然なやさしい味わいになると言われています。
土の中にあるアンフォラは低温に保たれるため、発酵と熟成がゆっくりと進行。一般的なステンレスタンクの醸造とは違う、独自の複雑味が魅力です。同社では「アンフォラ ロッソ」「アンフォラ ステューベン」といった銘柄名になっているので、「アンフォラ」製法なのか、通常のステンレス製法のワインなのか商品名から判別できます。
後発のワイナリーながら、欧州を始め海外でも人気になっている秘訣(ひけつ)は、従来のステンレス発酵の他に、こういった独自の製法や取り組みも高く評価されているから。
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さっそく「アンフォラ メルロー2019」を味わってみました。ラズベリーのような赤系果実の香り、そしてハーブのようなすっきりしたグリーンの香り。ジューシーで甘酸っぱく、心地良い後味が広がります。特に後半の味わいの奥深さにうっとり♡ 少しだけにごっているので自然な造りのワインだとわかります。
ブドウを100%除梗して(茎、粒がついている軸の部分を取り除き)、15日間皮と一緒に醸したものと、同じように6日間醸した2種類のメルローをブレンド。その後、アンフォラで発酵させ、6カ月間の熟成期間を経て、最後にステンレスタンクにて数カ月落ち着かせてから瓶詰めしたワイン。
今回はおつまみに無添加のドライフルーツ「果物日好」(くだものびより)を合わせてみました。徳島産のドライフルーツで、いちご、キウイ、みかん、トマトをまるでそのままを味わっているような独自の食感。単なるドライフリーズではなく、不思議とフレッシュな香味が残っているので、自然な造りのワインと特に相性がいいと個人的には感じています。
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「GRAPE REPUBLIC」とはブドウ共和国の意味。これからますます注目される日本ワインの一つ。日本産のブドウだけを使って国内で醸された、いわゆる「日本ワイン」は、これからますます海外でも注目されそうな予感。
「ワインに詳しくなりたいけれど難しそう」という人には、日本ワインだけの知識やテイスティングをコンパクトに学べる「日本ワイン検定」というのもあります。気になる方はぜひチェックしてみては?
https://nihonwine.jp/kentei/
GRAPE REPUBLIC https://grape-republic.com/
山形県南陽市新田3945-94
TEL 0238-40-4130