ふうふ、最大の危機
朝食、我が家で正常に焼けた食パンを見ることはほとんどない、稀なのだ、稀有なのだ。
僕はセブンイレブンの金の食パンが好きなのでよく買ってくるのだが、
朝、嫁が金の食パンを一枚手に取りトースターに入れて焼いて出てくると、
金の食パンが漆黒の食パンになって出てくる、
「あれ、墨かけた?」
それくらい焦げている、
しかも一回じゃない、嫁が食パンを焦がす打率は非常に高く、
今年、3割3分5厘と打ちまくった鈴木誠也が比べものにならない!
その打率、僕の体感で言えば、7割8分9厘、ほぼ8割!
金の食パンが10枚あれば8枚が漆黒で出てくるという恐ろしい割合、
なので、僕は、「なんでこんなに焦がすんやろう?」と思い、
嫁が食パンを焼く手順をじっくり観察してみた、
金の食パンを一枚手に取る→トースターに入れる→タイマーをひねる→ギュイイイイイン!→トースターがチンとなるまで洗濯物を干す→トースターがチンとなる→「あぁぁぁぁぁ!」→金の食パンが漆黒で出てくる
一目瞭然!
ギュイイイイイン!
やないか!
僕がこの世に生を受けて41年、
食パンをトースターに入れて30年、
僕はトースターのタイマーのちょうどええところは4と5の間だと信じてきました、
でも嫁は違ったんです、4と5の間とかじゃなく、そもそも数字なんて見ず、ギュイイイイイン!なんです、
そして、パンが焼けるまでの間、洗濯物を干しに行き、20分後、
チン→「あぁぁぁぁぁ!」
なんです、
このことについて僕は優しく指摘しました、
「愛する妻よ、ギュイイイイインがおかしいんだよ。愛する妻よ、トースターのタイマーのベスポジは4と5の間だよ。」と、
でも愛する妻から返ってきた返答は驚くべきものでした、
「朝は忙しいねん!」
僕は愕然としました、
だからこそ、だからこそ、4と5の間なんだよ、ギュイイイイイン!の結果、君はいつも二度以上、パンを焼くハメになって、忙しい朝がより忙しくなってるじゃないか、
ギュイイイイイン!を4と5の間に変えてくれるだけでいいんだ、
ギュイイイイイン!を4と5の間に変えてくれるだけで、
あなたが洗濯物に夢中になって、トースターでパンを焼いてることを忘れても、
ちょうどの時間でチンとなって僕も君も幸せになれるんだ、だから頼む!
ギュイイイイイン!を4と5の間に、
ギュイイイイイン!を4と5の間に、
これを虚しく唱え続けて14年、
14年で、朝、まともな食パンを食べたのは、
2枚です、
僕は決して正論を振りかざすタイプの人間ではございません、でも、これについてだけは言わせて下さい!
「トースターのタイマーのベスポジは4と5の間やねん!」
【人は変わらない】
僕は人を変えることができません、身をもって体験しております、
「世界を変える!」
そんなことを言ってた20代の自分が恥ずかしくてたまりません、
だって、ギュイイイイイン!を4と5の間に変えることすらできないんですから、
人は変えることはできない、でも自分なら変えることができる
最近ようやくその意味が分かってきました、
なので、僕は、あきらめました、
というより、ギュイイイイイン!する妻を受け入れました、
それから、
というもの、
毎朝、心が清々しいです、
どんなに金の食パンが漆黒でも、僕は幸せな気持ちで「いただきます。」と言うんです、
ギュイイイイイン!と漆黒の食パン、この夫婦最大の危機を受け入れることができたのなら、
これからどんなことでも受け入れることができそうです、
ただ、
最後に一つ、
嫁にではなく、
このnoteを読んでるあなたに、
これだけは、言わせて下さい!
「トースターのタイマーのベスポジは4と5の間やねん!」
できるなら、
できるなら、
金の食パンを、
金色で!
旦那さんに食べさせてやって下さい!
お願いします!