遊戯王1103ゲートボール環境におけるドラグニティの入門【#1103ゲートボール】

0.この記事の前提

1103環境について、ドラグニティの文献を界隈に投下したいと思っていました。単純にドラグが好きなためです。

僕は1103環境、寒波亭環境の実戦経験がほぼない「見る専」プレイヤーのため、「〇〇デッキ対策」のような内容を書くことはできませんが、リアルタイム時代にはドラグに長く触っていたため、ドラグニティを第一人称としたテーマ解説のようなことはできると思い、この記事を書いています。

Ⅰ.ドラグニティの概要

最初にざっくらばらんに、包括的な内容を目指してご紹介します。

1.ドラグニティは1キルデッキ

ドラグニティは「スターダストドラゴンとバックで戦う罠デッキ」ではなく、「スタダバックもできる1キルデッキ」です。これが【ドラグニティ】を理解する第1歩となります。

ドラグニティが持つ以下2種類のキルパターンは、ドラグを使う立場、使われる立場になるときに必ず理解しておく必要があります。

A.トラドラ9000ルート

知名度の高い、《トライデント・ドラギオン》を利用したキルパターンです。スタダやスクドラとファランクスをくっつけるだけで成立。スターダスト・ドラゴンが立っている = 9000点がいつでも出る、というプレッシャーを相手に与えます。

また、Sinスターダストドラゴンを採用している場合、空の盤面から召喚権一つでのシンクロ召喚が可能です。

B.ヴァジュランダ8200ルート

おそらく比較的知られていない、しかしながら極めて重要なルートです。
場にスターダスト・ドラゴン、墓地にファランクス、そして手札か墓地に未使用のゼピュロスが存在することで成立します。
内訳は
スターダスト・ドラゴン:2500
ドラグニティ ドゥクス:1900
ドラグニティナイト ヴァジュランダ(効果使用):3800
となります。細かいルート解説は後述。

このルートの強みは、1.ヴァジュランダの効果でアキュリスを発射することで、相手の裏守備等を除去しつつ8,000点超えを用意できること。2.トラドラルートと違い、スターダスト・ドラゴンが場に残るため、リスク小さめの運用になることです。

また、1ターン目にスターダスト・ドラゴンの代わりにドラグニティナイト ガジャルグを立てることで、ゼピュロスを能動的に用意できるため、意図的にこのルートに到達できます。この場合は8100ルート。

8100ルートはスターダスト・ドラゴンが立たない分、防御力の低い盤面になりますが、逆に言えばバックが非常に強い場合はこのルートに向かってもよし。ドラグニティを相手取るとき、相手が渓谷ガジャルグの盤面を敷いてきたら、それは「王手」がかかっている状態だと認識せねばなりません。

ちなみにこのルートの重要性が極めて高いため、キルラインが上がってしまう成金ゴブリンの採用は、ドラグニティでは不可となります。

この記事でも、8100ルート、8200ルートという言葉はテンプレ的に使用させていただいているので、8100の場合はガジャルグが立っているルート、8200の場合はスターダスト・ドラゴンが立っているルートであることだけ、覚えておいてください。

2.ドラグニティの優位性

先行展開型のデッキであるため、ドラグニティは六武衆やラギアと比較されることになるかと思います。

両デッキとの比較を中心に、ドラグニティの特性について列挙していきます。

A.裏守備を乗り越える力

ライコウ、スノーマンイーター、カオスポッドなどはサイドデッキの定番カードとなっていますが、ドラグはスクラップドラゴンやアキュリスによってこれらのセットモンスターを安定的に乗り越えることができます。

B.イージーウィンの頻度

先述の通り1キルが得意で、裏守備を無視できるパターンがあるため、短時間で相手に何もさせずに勝てるゲームが一定発生します。勝利数全体に占めるイージーウィンの頻度は主流デッキの中でも高めなのではないかと想像します。また僕自身、このイージーウィンの確率を上げる構築を目指す傾向にあります。

C.勝利パターンを安定させる竜の渓谷

ドラグニティの試合展開は、竜の渓谷が存在することによって良い意味で画一化していきます。ドローカードに応じた判断が一切求められない…とまではさすがに言えませんが、基本的にはドゥクスからできること、レギオンからできることさえ覚えておけば、最善手を打てる可能性は高まります。

また、トラドラ9000ルートやスクラップ・ドラゴンによる裏守備対策などの特徴を、安定的に発揮できる点もドラグニティの強みといえます。デッキの最強のポテンシャルを引き出すために引かなければならないカードが、竜の渓谷(テラ・フォーミング)と、ファランクス(ゼピュロス)のみである点は、他デッキにはない強みとなります。

3.ドラグニティの弱点

A.多くのバック、サイドカードが刺さる

1103界隈において、ドラグニティはtierランク外の存在です。にもかかわらず、「相手のサイドデッキに対策がない」という状態は期待できません。
砂塵の大竜巻、D.D.クロウを筆頭に、多くのデッキがサイドに標準装備しているカードがドラグニティにはクリティカルです。ドラグニティは1キルデッキであると書きましたが、2戦目以降はすこしだけ変わった振る舞いが求められます。

B.召喚権を使わないムーブが乏しい

ドラグニティは特殊召喚の手段が非常に乏しく、パワーも低いです。死者蘇生さえ抜かれることが多いデッキで、召喚権を使わない動きは基本的にSinスターダスト・ドラゴン、ケルベラル、ゼピュロスしかありません。この攻め手の薄さを補うために、罠対策のカードは多めに必要になります。

4.サイドチェンジ後のドラグニティ

サイドチェンジ後のドラグニティが警戒しなければいけないカードは主に3つに分けられます。

A.サイクロン、砂塵の大竜巻

最近は砂塵の大竜巻すらメイン投入のデッキが増えてきています。これらのカードがあるかぎり、竜の渓谷はアド損のリスクを常に抱え続けるため、バックを割るカードを先に使ったり、Sinスターダストドラゴンを使うことを検討する必要があります。

一方で、警戒しすぎて身動きが取れない、となってしまうのも良くなく、時には割り切ってぶん回すことも必要です。手札に2枚目の渓谷があったり、素引きのドゥクスがあったりする場合は、一枚渓谷が割られてもスターダスト・ドラゴンやガジャルグにたどり着くことができます。

B.D.D.クロウ

(箇条書きをA,B,Cで書いてきたことが仇になった)
先攻スターダスト・ドラゴンはドラグニティの暴力の一つですが、サイドチェンジ後は通らないことも増えていきます。ファンラクスが除外されるので、もう一度ファランクスを墓地に用意しなければならないことも。

ただ、ドゥクスやレギオンに打たれたD.D.クロウはアドを取っている点はポイントで、元々ドラグニティは罠カードがある程度入っていることが多く、場にドゥクスを残したまま次ターンを迎えることはよくあります。

その場合、竜の渓谷でファランクスをサーチすればとくに問題はありません。D.D.クロウはイージーウィンを妨害されるカードではあるものの、そこまで打たれて痛いカードであるという認識はありません。

また、このD.D.クロウを警戒して、サイドデッキからはゴッドバードアタックを入れることも検討できます。

C.強制脱出装置

弱点の「召喚権」を抉ってくる一枚で、スターダスト・ドラゴンをフリーチェンで無効化する強カードです。サイクロン、砂塵、D.D.クロウと違い、後出しで(召喚権を吐かせた後に)対策されるため、食らったときのダメージはかなり大きいです。

このカードを警戒するにあたっては、禁じられた聖槍等でカウンターすることはもちろんですが、2戦目以降はドゥクス、ファランクスまで通った後も、不用意にシンクロ召喚しない、という選択肢も必要になります。

2戦目以降のドラグニティの戦い方

上記のような対策カードを警戒しながら戦うことになるため、1戦目よりは(とくに精神的に)不自由な戦い方を強いられることになります。しかしながら、完全にスタイルを変えて運用する必要はないと思っていて、虎視眈々と1キルを狙う姿勢は終始貫いて良いでしょう。

竜の渓谷依存を脱却できるほどサイドチェンジに自由度があるわけでもないですので、基本的には「メタのメタ」ではなく、シンプルに相手のメタをするサイドチェンジをして戦います。

D.D.クロウや強制脱出装置によって、ゲーム自体が少しスローダウンすることはあると思うので、泥試合を制するために使えるようなカードは有効だと思っています。

5.先攻・後攻

寒波亭環境と呼ばれる「先攻ドローあり」ではもちろんのこと、「先攻ドローなし」の環境においても、ドラグニティは先攻一択です。サイクロンに怯えずに渓谷を回せる、先にエンドサイクの権利を獲る、召喚権を先に2つ使えるなど、先攻ではドラグニティが弱点とする部分を多く補えます。

なお、相手が先攻を渡してくれる可能性が高い分、「先攻ドローなし」環境のほうがドラグニティは相対的に強いと思っています。逆に相手が不本意に先攻を選び、ファランクスにD.D.クロウを打ったりすると、その時点でアド差は4:6ですので、それはそれで有利です。

6.大会でのドラグニティ

渓谷を引かなければポテンシャルは大きく下がります。ただし、渓谷を引いたときの「安定的な爆発力」は他のデッキにはない唯一無二の強みです。(めちゃくちゃ極端に言えば、好きなときにミラクル・フュージョンや超融合を引けるヒロビみたいなものだと思っています)
プレイスキルの差を一定無視して、中規模のトーナメント大会で上ブレを目指したい場合、かなりおすすめのデッキと言えます。
逆に優勝のために10連勝が必要な大規模大会や、100マッチやってレートを競うような舞台では、ドラグニティで最上位を獲ることは難しいと思います。

Ⅱ.ドラグニティの構築

具体のカードに触れて、各カードに想定される役割をご紹介した後、サンプルレシピをもとにそのデッキの思想を書いていきます。(他の方のレシピの思想はほぼ想像です)

1.必須枠

竜の渓谷 3枚
テラ・フォーミング 3枚
ドラグニティ-ドゥクス 3枚
ドラグニティ-ファランクス 3枚
ドラグニティ-レギオン 1枚
ドラグニティ-アキュリス 1枚
BF-精鋭のゼピュロス 2枚

ドラグニティの根幹といえる計13枚です。ここまでは確定として問題ありません。

ドラグニティでは、ドゥクスが主役でありレギオンは補助となるカードだと位置づけています。基本、1キルに向かうにはスタダかガジャルグが立つ必要があり、その後さらにもう1枚ドゥクスが必要になります。そのため、ドゥクスとファランクスは確実に3枚必要です。

一方で、ドラグニティを回していて「レギオンしかない」初手ほど弱いものはありません。調和の宝札も使えず、2ターンかけてもスターダスト・ドラゴンに繋がらないためです。レギオンは本当に引きたくないカードといえます。
一方で、選択肢としてのレギオンは非常に強力で、アキュリスと組んで2破壊、ゼピュロスと組んでトリシューラ、ケルべゼピュロスと組んでライブラスタダ2ドローと、複数の強力なムーブに絡んでいます。そのため1枚は確実に必要です。

レギオンを減量すると気になるのがアキュリスの必要性だと思いますが、これも1枚までは必須です。それはレギオンアキュリスの選択肢を作るためではなく、8100、8200の1キルルートにおいて、ヴァジュランダでアキュリスを発射する選択肢が生まれるためです。これによって裏守備1枚を無視した1キルに向かうことができます。

レギオンを減らしたとき、次に考えるのが「ドゥクスは2枚でも良いのでは?」という考え方ですが、これは厳しいです。調和の宝札を使って竜の渓谷を経由せずにスタダに向かったり、ファランクスを切った渓谷にサイクロンを当てられたりした場合に、ドゥクスを素引きしているかどうかが試合展開を大きく左右します。

また、レギオンを減らしたときに問題になるのが「弾切れ」です。ドゥクス3枚、レギオン1枚は、結構簡単に使い切ります、これを防ぐためにレギオンを2枚、ないし人によっては3枚入れることはありだと思います。

僕自身は、ドゥクス3、レギオン2、ファランクス3、アキュリス1が最も気に入っています。

最後にゼピュロスですが、これは非常に強力なカードで、3枚入れることを検討してもよいと思います。渓谷+ゼピュロスで召喚権一つでトリシューラを出せること、ゼピュロスを素引きしている場合にはガジャルグを使わずに(スターダスト・ドラゴンやスクラップ・ドラゴンを出しながら)8200ルートを目指せるためです。素引きすることに十分価値があるカードになります。また、これは後述するレシピと合わせてみていただけたらと思いますが、王宮のお触れ、王宮の弾圧、デモンズ・チェーンなどを戻す働きも持ちます。

調和の宝札 2枚〜3枚

ドゥクスでスターダスト・ドラゴンを出そうとしたとき、ファランクスが墓地にあることと、ドゥクスが手札にあること両方が必要で、初手に竜の渓谷はあるけどファンラクス(ゼピュロス)がない、という場合には、まず竜の渓谷をファランクスのサーチに使うことになります。
そのファランクスを墓地に送りつつ、2枚ドローによってドゥクスを引き込む可能性を上げることで、初手スターダスト・ドラゴンの確率に貢献しています。

一方で、このカードを事故らず回すために竜の渓谷に依存していることは間違いなく、特にサイクロン、砂塵の大竜巻といったカードの接敵率が上がる2戦目以降では、少し減量を想定してもいいと思っています。それでも2枚は最低入れたい。

ハリケーン

1キルデッキなので重要、というのはもちろんなのですがもう一つ、初手に竜の渓谷があってファランクスがない場合に、渓谷を2回使用することで強引にスターダスト・ドラゴンを立てに行く、というシーンがたまにあります。

2.自由枠

魔轟神獣ケルベラル

ゼピュロス、渓谷と絡むことで先攻ライブラスタダ2ドロー、レギオンと絡むことでレイジオン2ドロー、ドゥクスファランクスと絡むことで召喚権1つでスクドラ経由トラドラなど、ドラグニティの動きをパワーアップさせるカード。
積極的に墓地に送りたいカードがファランクスアキュリス以外にはないドラグニティでは、毎ターンの竜の渓谷のコストが以外と重く、「トップ引きしたカードをコストにする」ことが多いです。そのシーンになったとき、手札コストになりつつチューナーを供給するため、死者蘇生より優先されるケースが多いです。

また、竜の渓谷がサイクロンや砂塵でカウンターされることを前提にした動きでも、★3のモンスターを連携することでレイジオンになりアドを取り返すという保険的な役割も持てます。

Sinスターダストドラゴン

サイクロンや砂塵から竜の渓谷を守って安全にサーチや墓地落としができる点、トライデント・ドラギオンを、空の盤面から召喚権一つで作れる点、攻め手の薄いドラグニティで召喚権を使わない2500打点になれる点の3つが強力です。

一方で過信しすぎてはいけないカードだと思っていて、Sinスターダストが絡む展開はどうしても大ぶりになり激流葬に弱くなる点、また、相手が本当にスターダスト・ドラゴンの擁立を拒みたい場合は、(竜の渓谷を破壊せずとも)ドゥクスに装備されたファランクスにサイクロンを打つことで展開を妨害できる点、そもそも竜の渓谷発動の解決後、Sinスターダストドラゴン特殊召喚前にサイクロンを打つ、など、相手にとっても色々なプレイの選択肢があるカードです。

強欲で謙虚な壺

スターダスト・ドラゴンの妨害にこそなってしまいますが、竜の渓谷をひかなければ始まらない、ということと、レギオンアキュリスの動きをしたいターンであればデメリットも支障なしという点で、3枚投入しているレシピもよく見かけます。

また、墓地にファランクスしかない状態でも、レギオンに装備して守り切るなどできれば、次ターンライブラスタダの構えとなります。これも罠が手厚いデッキ方針であれば十分に現実的。

僕個人としては、1キルの側面を強くしていく方針で構築することが多く、投入しないことが多いです。

サイクロン
禁じられた聖槍
王宮のお触れ
心鎮壷

「竜の渓谷を守る」と「モンスターを守る」の2つの役割があるので一括りにするのも大雑把ですが、採用スロットを競合しあうカード群なのでまとめて。

禁じられた聖槍は、レギオンを守る、スタダを守る、Sinスターダスト・ドラゴンを守る、といった役割を重視する場合に使いやすい。一方で、後出し故に渓谷を止められない点や、ドゥクスからスタダにシンクロする過程で奈落+αの二重の罠があった場合に守りきれない点が弱み。
僕は個人的には、竜の渓谷を守れるカードにスロットを割くことが多いため、あまり採用経験がありません。ただそれは、レギオン少なめ、かつSinスタダもあまり優先的に採用しないからこそであって、Sinスタダと一緒にいれて竜の渓谷を守りつつ強制脱出装置にも耐性をつける思想はありだと思います。

個人的に特に評価しているのは心鎮壷で、サイクロンや砂塵も含めて封じ込めつつ、スターダスト・ドラゴン擁立後は解除も難しくなる点が強い。相手にとっても、サイクロンや砂塵の対象が竜の渓谷のほかに増えることで、どちらかが通りやすいというジレンマも評価しています。

王宮のお触れは後出しで砂塵の大竜巻を無効にしつつ、スターダスト・ドラゴン擁立の確度をかなり高めます。また、スクラップ・ドラゴンを立てることで自分からスピーディに解除することもできるため、かなり柔軟な運用ができます。一方で、竜の渓谷が引けないときなどに罠ビートの動きで時間を稼ぐような展開には貢献しづらいのかなと思っています。

3.罠

相手を妨害するカードについて。
採用する罠カードについては想定環境により異なると思うので、ドラグニティで罠を選ぶにあたって他デッキと異なる点を紹介していきます。

A.激流葬を使うかどうか

召喚権を大事にする必要があり、スターダスト・ドラゴンを先攻で立てに行くため、他デッキにくらべて激流葬が使いづらいデッキであるといえます。激流葬が生きてくるのは、ゲームが混戦を極めてからか、竜の渓谷が引けず事故っているシーンになります。そのため僕は基本的にはいれません。

一方で、ドラグニティとわかった時点で相手は激流葬警戒が薄まることが多いため、サイドデッキから投入などは検討余地ありと思っています。

B.「このターンを防ぐ」カードの重要性

毎ターン★8シンクロを出すことができ、常にトライデント・ドラギオンなどの1キルを狙えるドラグニティでは、相手の1ターンを確実に防げるカードの重要性が高まると考えています。具体的なカードで上げると、デモンズ・チェーンの強さはほかデッキに勝ると考えています。

C.「腐ったら渓谷で切る」をアテにしない

ドラグニティの理想の初動は、先攻でドラグニティを出し、その他手札をすべて伏せてターンエンドです。つまり、次のターン以降のトップで引いた罠は、「伏せるか、渓谷で切るか」の2択になります。
そして、ドラグニティではファランクス、アキュリス、ゼピュロス、ケルベラルに渓谷のコストの役割をさせることが多く、腐ったカードを渓谷で切る、というチャンスは実はあまりありません。
もちろんゼロではないため他デッキよりはマシですが「腐ったら渓谷で着ればいいから、尖ったカードもいれ放題」というわけではないという点は注意が必要です。

4.エクストラデッキ

ドラグニティは、かなりエクストラデッキがパツパツのデッキになります。ヴァジュランダ*3とガジャルグ*1は必須ですし、Sinスターダスト・ドラゴンを入れる場合にはスターダスト・ドラゴンも2枚ないし3枚必要で、さらに魔轟神レイジオンやトライデント・ドラギオンといったカードも入ってきます。エクストラの確定枠がかなり多いデッキであると言えます。

ドラグニティナイト-ヴァジュランダ×3枚

確定で3枚必要です。ドゥクス3枚に加えて、ゼピュロスと合わせて出る場面もあるため、3枚使い切るゲームはまったく珍しくありません。ゲームメイクが拙かっただけですが、4枚目があれば勝てた、という経験も個人的にあります。

ドラグニティナイト-ガジャルグ

上述の1キルパターンに絡むため確実に一枚必要です。パワーカードのゼピュロスを落とす、ヴァジュランダにつけるためのアキュリスを落とす、という役割の他に、竜の渓谷がない場合に、擬似的に渓谷の役割を果たしたり、D.D.クロウを優先的にサーチしたり、といった動きも可能です。

スターダスト・ドラゴン×2〜3枚

Sinスターダストドラゴンを詰めば詰むほど、このカードもサイドデッキにはたくさん必要になります。また、先攻渓谷ファランクスの動きが決まったときの着地としては、スタダを出すことが最も頻度が多いのかなと思います。
これは、相手の後攻ターンに自分のバックが剥がされることを防ぐだけでなく、次のターン以降の竜の渓谷をサイクロンでカウンターされることを対策でき、ワンサイドゲームを加速させることができます。

一方で、僕は大嵐が制限カードの時代にも長くドラグに触っていたため、先攻1ターン目に立てる★8はスタダの優先度が非常に高くなっています(し、この記事もそのような書き方に随所でなっているかもしれません)が、実は1103環境ではスクラップやガジャルグでいいのかも、と思わなくもなく、ここは要研究ポイントかなと思います。

とはいえやはり、3ターン目の竜の渓谷の安全性を確保できるのは大きいんですよね。

メンタルスフィア・デーモン

環境によるカードではありますが、1103においては強制脱出装置を始めとして、かなり多くのカードを無効化でき強力です。

ブラック・ローズ・ドラゴン

基本的には★7は出すことがないため、入れる必要のないカードなのですが、このデッキには★2チューナーが多いため、パペット・プラントで奪った真六武衆シエンを処理するために必要になることがありますので、環境次第で選択肢になるカードだと思います。

1.サンプルレシピ

A.Sinスターダスト & お触れ採用型

モンスター(16枚)
魔轟神獣ケルベラル
ドラグニティ-レギオン×3枚
ドラグニティ-ファランクス×3枚
ドラグニティ-ドゥクス×3枚
ドラグニティ-アキュリス×2枚
Sin スターダスト・ドラゴン×2枚
BF-精鋭のゼピュロス×2枚

魔法(16枚)
竜の渓谷×3枚
調和の宝札×3枚
月の書
禁じられた聖槍×3枚
強欲で謙虚な壺×2枚
ハリケーン
テラ・フォーミング×3枚

罠(9枚)
奈落の落とし穴×2枚
神の宣告
神の警告×2枚
王宮の弾圧
王宮のお触れ×3枚

エクストラデッキ
A・O・J カタストル
TG ハイパー・ライブラリアン
インヴェルズ・ローチ
スクラップ・ドラゴン
スターダスト・ドラゴン×3枚
トライデント・ドラギオン
ドラグニティナイト-ヴァジュランダ×3枚
ドラグニティナイト-ガジャルグ
氷結界の龍 トリシューラ
氷結界の龍 ブリューナク
魔轟神レイジオン

サイドデッキ
D.D.クロウ×3枚
N・グラン・モール
ゴッドバードアタック×2枚
サイクロン×2枚
ドッペルゲンガー×2枚
暗闇を吸い込むマジック・ミラー×3枚
混沌の落とし穴(カオス・ホール)
畳返し

http://duel-entrance-deck.seesaa.net/article/218844066.html

言わずとしれた、2011年度選考会ベスト8、アークさんの構築です。
王宮のお触れ、王宮の弾圧、強欲で謙虚な壺、Sinスターダスト・ドラゴン、禁じられた聖槍などの採用が個人的には目を引きます。当時は暗黒界を意識した砂塵の大竜巻の流行により、ドラグニティが煽りをうけていましたが、これのカウンターとして王宮のお触れが採用されていたかと思います。(当時どこかで読んだ淡い記憶ですが)
Sinスターダスト・ドラゴンをメインから2枚採用しつつ禁じられた聖槍を3枚採用し、確実にSinスターダスト・ドラゴンを通して竜の渓谷が安全に発動できるよう考えられている気がします。

また、強欲で謙虚な壺の2枚採用、レギオンの3枚採用などからは、僕の思想ほど1キルよりの構築にはなっておらず、1キルとアドバンテージゲームの両方に対応できるように組まれているように読み取れます。

B.心鎮壷採用型、レギオン1枚構築

TG代償ガジェが今ほどは1103環境を席巻していなかった頃に、「自分が寒波亭出るならどう組むかな」と思って作成していたデッキです。極端に攻撃的な構築のためサンプルとして持ってきました。

心鎮壷は個人的にかなり気に入っているカードで、実はドラグニティに入れているのは自分のリストでしか見たことがないので、さも一般論かのように語るのはアンフェアなのですが、良いカードだと思っています。

C.Sinスターダスト  & 心鎮壷採用型

僕は完全に1103「見る専」ですが、今(2024年2月)寒波亭に出るならどう組むかな、と想定し、AとBをバランスさせたような形です。Sinスターダスト・ドラゴンと禁じられた聖槍をいれて、メイン投入が増えてきた砂塵の大竜巻への耐性を意識しつる、王宮のお触れではなく心鎮壷によって自分の罠も機能しやすくし、泥試合耐性をつけています。今使うならここから調整していくかなと。

Ⅲ.ドラグニティの展開・プレイング

1103環境の接敵カードやサイドチェンジ等に明るくないため、あくまで第一人称視点でドラグニティが遭遇するサンプルケースと考え方をご紹介します。

1.展開パターン

渓谷+ファランクスは前提として、その他の重要なパターンのみご紹介。

A.先攻展開のパターン

◆渓谷+ゼピュロス+ケルベラル
渓谷でゼピュロスを切り、ファランクスを墓地送り。
ゼピュロスで渓谷を手札に戻し、ゼピュロスを特殊召喚。
渓谷でケルベラルを切り、レギオンを手札へ。
レギオンを召喚し、ファランクスを装備、特殊召喚。
レギオンとケルベラルでTG ハイパー・ライブラリアン。
ゼピュロスとファランクスでヴァジュランダ経由スタダ。2ドロー。

B.1キルのパターン

◆渓谷+ファランクス+ゼピュロス
1ターン目、渓谷でファランクスを切り、スタダを擁立。
3ターン目、渓谷でゼピュロスを切り、アキュリスをサーチ。
ゼピュロスで渓谷を戻し、アキュリスを切って再発動、ドゥクスをサーチ。
ドゥクスを召喚し、ヴァジュランダにファランクスを装備、特殊召喚。
ゼピュロスとファランクスで2体目のヴァジュランダを作り、アキュリスを装備。
2体目のヴァジュランダの効果でアキュリスを墓地に送り、攻撃力を2倍に。
アキュリスでフィールドのカード1枚を破壊しつつ、
スタダ+ヴァジュランダ+ヴァジュランダ2倍で、8200。

※ゼピュロスを素引きしていない場合、1ターン目に擁立するシンクロをスタダのかわりにガジャルグにすることで、能動的にゼピュロスを用意しつつ、3ターン目に同ルートで8100打点が成立可能。

2.ケーススタディ

A.竜の渓谷を引けない場合

勝ちを諦める必要はありません。チューナーと星4さえ場に揃えれば、スターダスト・ドラゴンやスクラップ・ドラゴンにアクセスできることは変わりませんし、ガシャルグを立てることで擬似的に竜の渓谷と同等の役割を担うことができます。渓谷がない場合は、少しだけガジャルグの優先度を上げて考えましょう。
また、戦線を維持しながら戦えるだけの罠カードが、ドラグニティには入っているはずですので、想像以上に素のシンクロは通せます。

一点、いつ竜の渓谷をトップ引きしても良い様に、カードを伏せ切らず、手札を一枚確保しておくことは重要になります。

B.渓谷のおろ埋効果

先攻1ターン目にドゥクスを素引きしていてファランクスがない場合、渓谷のおろ埋効果を使えばスタダの擁立が可能。この場合、アドバンテージこそ1枚失いますが、スタダに向かったほうが強い事が多いです。

C.ガジャルグを優先するケース

上でご紹介した通り、1ターン目にスターダスト・ドラゴンを諦めてガジャルグを作っておくと、ゼピュロスを素引きしなくても3ターン目にアキュリス効果を使った上で8000点オーバーが可能。バックが強いときはこの選択肢もあり。

D.レギオンを優先するケース

レギオンのポイントは、奈落の落とし穴を踏まずに相手モンスターを処理する能力を持っていること。墓地にアキュリスがいなくても、相手モンスターを処理する優先度が非常に高い場合には、ドゥクスよりもレギオンを優先し得ます。

E.ヴァジュランダか、ドゥクスか

ゼピュロス渓谷のハンドの場合を筆頭に、場がゼピュロス、ドゥクス、ファランクスとなるケースがよくあります。
この時、ヴァジュランダを2体消費して1900打点を作るか、ドゥクスをそのまま置いておくかの択があります。ヴァジュランダは弾切れの危険があるため無駄遣いは避けたく、ドゥクスのパンプ効果を頼って、ドゥクス+ヴァジュランダ(ガジャルグ)に向かうこともできますが、その後ヴァジュランダを★8にする場合などはドゥクスが1700に下がり1900ラインを下回るので、ここは判断が必要です。
一方、ドゥクスをあえて残すことで、ゴッドバードアタックが匂うということも覚えておきましょう。

F.フィールド魔法の取り扱い

1103の現環境ではあまり出会うことはありませんが、フィールド魔法のルール周りは一定覚えておきましょう。とくに対暗黒界においては、フィールド魔法をセットするというプレイングが稀にありえます。
セットされたフィールド魔法は、相手のフィールド魔法の上書きなどでは破壊できないため、暗黒界の門による上書きを防ぎながら、手札抹殺に落とされることを防ぐということが可能です。

G.マインドクラッシュ

これは単に可能性あるかもと思っているカードなのですが、後述するトラゴエディアやTG ワーウルフを超えて1キルしつつ、成熟した1103環境ではそもそも当てやすいという前提もあり、いいんじゃないかなと思っています。

Ⅳ これからのドラグニティ

残念ながら、現在1103界隈で主流となっている寒波亭ルール(代償準制限、先攻ドローあり)は、ドラグニティにとって圧倒的に逆風になります。その内容、今後ドラグニティにはどんな可能性があるのかの思索を記載していきます。

1.TG代償ガジェの流行という逆風

A.メイン砂塵

代償ガジェットの流行により(?)、メインに砂塵の大竜巻を搭載したデッキが非常に多くなってきました。これはドラグニティにとって大幅に逆風で、渓谷をカウンターされることを前提にしたデッキ構築を考える必要があるのかも、と思っています。

B.トラゴエディア・TG ワーウルフ

これまで記載してきた通り、ドラグニティは1キルを得意としたデッキですが、特にトライデント・ドラギオンを利用するルートは自分の盤面を崩壊させてキルにいくため、トラゴエディアに妨害されることは敗北に直結します。

さらに、トラゴエディアほど致命的ではありませんが、ファランクスの特殊召喚時にTG ワーウルフをあわせられるだけでも8000打点には到達しなくなるパターンが多く、ここも逆風といえます。

2.アドバンテージ型のドラグニティという思索

ここまでくるともはや夢想の段階なのですが、レギオンアキュリスとレイジオンによるアドバンテージの確保を主眼に置いた構築です。渓谷をサイクロンでカウンターされてもケルベラルが生き残っており、最大枚数いれているアキュリスとレギオンは相互にお互いを呼びあえるため、コンボが決まりやすい、という妄想です。レギオンが場に残るシーンが多くなるため、ゴッドバードアタックやくず鉄のかかしを入れています。
先攻展開を諦めているわけではなく、むしろゼピュロスとケルベラルが最大枚数入っていることでライブラスタダ2ドローは決まりやすくなっています。

Ⅴ.終わりに

蛇足的に賢者構築の公開も付記してしまいましたが、Ⅲの章まででドラグニティに関して僕ができるご紹介はできたかと思うので、そこから先は、誰かがポテンシャルを感じた方向へ道が開かれていったら良いなと思います。

とくにSinスターダスト・ドラゴンは、僕自身があまり深く思索していないカードであるため、ここを採用しているCのサンプルレシピを筆頭にまだまだ可能性があるテーマであると信じています。

また今後、血の代償が制限となった大会や、先攻ドローがなくなり後攻をとるユーザーが増えた大会では、よりドラグニティのポテンシャルは高いはずです。ぜひともお試しくださいませ。


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