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「新人作家・杉浦李奈の推論Ⅰ、Ⅱ」小説家って大変だぁ
面ミステリーと出版業界とをミックスした作品と言って良いのか。面白かったので、取り上げました。ざっくばらんに、です。
小説家だがラノベであり、文学小説を書きたい夢を持ちつつもコンプレックスであるラノベ作家・杉浦李奈の事件簿です。
「ビブリア古書堂の事件手帖」に対抗するかのような小説で、主人公が作家版といった感じ。というと、著者の松岡氏に申し訳ないですが。
本書も「ビブリア〜」のように、著名の文学作品がチョコチョコ出てくる。またその内容・所感について登場人物達がやり取りするも所は、事件を脇において本書の醍醐味になってて面白い。作者の松岡氏の意見と考えると、捉えることもできる小説である。
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主人公の杉浦李奈は数冊ラノベ出した作家で、まだまだ駆け出しの設定。著名な文学全般は読み込んで記憶の良さからかセリフの端々に説明や考え方が出てくる。この点も、「ビブリア〜」で古書堂女店主である篠川栞子を想像してしまうが、小説家という所に説得力が出てると思う。「雰囲気は誰かとダブルなあ」と思えば、同著者の「水鏡推理」の主人公・水鏡瑞希とよく似てる。なのでストーリーもトントンと運んでいくので、読みやすく、没入できた。
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本書一巻目は盗作問題、2巻目は事件を題材にした本を基軸に作家の死の真相を、主人公・杉浦李奈がノンフィクション本を出版するために真相を探っていくうちに事件を解決するストーリーである。最初は、編集者に交渉?で負けたことが発端だが、やはり若手の作家は編集者には弱いのか。。。。。
1、2巻と進むにつれ、杉浦の探偵色が強くなっていき逞しくなってくのを描写から見て取れるのは、作家力があってこそだと思う。凄い。
この作品では一般人には想像しかない小説家間の付き合いや編集者、出版社、作家の部屋の描写、授賞式や懇親会の内容など、「そうなのかあ」と想像を掻き立てられる表現もあり、読んでて飽きが来ないところも、良いですね。
作中の事件は、トリックや人間関係がうまく仕組まれてる。特にトリックや犯人は出版業界を知ってないと簡単には辿り着かせてもらえず最後まで楽しませてもらえます。
本当に、うまく組み上がってる小説だと思います。
それ以上に小説の中で出てくる、文学が多く、一部分を取り上げての、作者の真意や意味を表現している。作家というのは皆さん、全ての文学書を読んでて、杉浦のようにパッパと言えるのですか聞いてみたい。本書のとおりだとすると、作家は、やはり凄いなあと懇親してしまいます。
作中の杉浦李奈作の「トウモロコシの粒の数は偶数」は、ちょっと読んでみたい。
本作はシリーズ化してるので、早速次巻も読んでみよう!