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6.四極管

本節では、三極管に存在する欠点の一つを解消するために開発された、四極管について説明します。

四極管

四極管は、プレートとカソードの間に2個のグリッドを挿入したものです。これにはスクリーングリッド四極管とスペースチャージグリッド四極管の2種類の使い方があります。

スクリーングリッド四極管

カソードに近い方のグリッドG1に信号を入力し、カソードに遠い方のグリッドG2には比較的高い(プレート電圧よりは低い)電圧をかけることで電子を加速します。G1をコントロールグリッド、G2をスクリーングリッドと呼びます。

この種の真空管の特性は三極管と異なり、プレート電流の大きさは主にコントロールグリッドの電圧によって決まり、プレート電圧に左右されることは少ないです。一般に、プレートと電源の間に挟まれた負荷抵抗に電流を流すと、負荷抵抗による電圧降下のため、プレートの電圧が下がります。よって、三極管のようにプレート自身が電子を加速する役目を受け持っていると、結局、大きい出力電流が得られないという欠点があります。しかし、この形式の四極管では、スクリーングリッドの存在によってこの欠点が除かれています。

しかし、欠点として、プレート電圧がスクリーングリッドより低い領域で、負抵抗特性(電圧が上昇するとき電流が減少する特性)が現れてしまいます。

スペースチャージグリッド四極管

カソードに近いグリッドG1に正電圧をかけて、空間電荷を中和しつつカソードから電子を引き出します。さらに、カソードに遠いグリッドG2に信号を入力してコントロールグリッドとして用いることにします。

こうすると、グリッドG1で十分に電子が加速されるため、プレートの電圧が比較的少なくて済みます。そのため、電池用真空管として用いられた時期がありました。その後真空管製造技術が進歩したため、電池用としても特にこのような特殊な真空管を必要としなくなりました。

しかし、本連載で考えているような、プレート電圧を低く用いるような真空管では、このような使用方法も検討されてよいかも知れません。

参考文献:宮脇一男,真空管回路,電気書院,1961年.



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