祈り3

採用人事の葛藤の日々

いよいよ20新卒採用も本格化してくる。各企業が夏前ぐらいから実行してきた戦略の成果がここから出ようとしている時期だ。
今の時期だからこそ、採用人事として思う事を発信したいと思う。

この話は良い悪いではない

誤解を恐れる性格なので、前提を共有しておきたい。これから書く内容は各企業の戦略の違いがあるのは理解したうえで、今市場に感じている疑問を書きたいと思っているので、それぞれで受け止めてほしい。(意見などあれば頂きたい)

新卒採用市場で起きている変化

 経団連の採用ルール(説明会や面接の解禁日)廃止や採用早期化・長期化の話があり、大学生は大きな不安を抱えている人も多いと思う。
 それは『採用枠って早い者勝ちなのかな?』とか『サマーインターン行ってないと不利になる?』などの形で現れる。一定数そういった会社もあるとは思うが、もし、めちゃくちゃ自社に合うと思う人・活躍出来そうな人が後から選考を受けに来た時に無下にお断りを入れるか?
 それで言うと、そんな事はないのではないかと思う。相手は企業と言っても人間の集まりである。少なからず募集が終わっているのを理解した上で、熱意をもってあらゆるルートからアプローチをかけてくる学生がいたとしたら人事側としても気になる学生になるし、逆に嬉しい事である。
 会社の大切にしている事に共感し、本気で来てくれるのであれば僕は役員に掛けあってもいい。

就活の良いところ

 大学生からすると早く終わらせたくて面倒くさいものかもしれない。会社を受けるたびにお祈りメールをもらい辛く厳しい期間かもしれない。
そんな就活にも良い部分はある。

①自己理解が進む
 ・自分は何をしたいのか、どういう基準で会社を選ぶのか、人生を生きるのか考える。
 ・いろんな人にいろんな言葉をもらう。(取捨選択は自分でする)
 この二つすることで人生は全然違うものになる。それはジョハリの窓というものがあって、他人が知らない自分を開示し、自分が知らない自分を他人からフィードバックをもらうことで自分がどういう人間なのか理解することができる。
ジョハリの窓参考リンク:https://potect-a.com/utilization/johari_window/
②たくさんの社会人に出会うことができる
 各企業で”活躍”している社会人と出会うことができる。就活に出てくる面接官や人事は比較的その企業で活躍していたり評価が高い人(ハイパフォーマー)が出てきていることが多い。わざわざ活躍していない社員を出す企業はほぼない。話が合ったり、共感することもあれば、就活だけでなく人生の相談に乗ってくれる相手にもなりえる。
③一生懸命やれば就活仲間ができる
 同じ状況下に居るからこそ共感でき、繋がれる人達がいる。しかも、その人たちは利害関係で繋がったわけではないので、もしかすると一生仲のいい仲間になる可能性がある。
④企業に警戒されることなく情報収集ができる
 企業側は見せ方は工夫できるが、実際にいる人たちは変えることができない。座談会や面接など、接する機会が多いことや、どんな人に会いたいかオーダーできる企業もあるので、知りたい情報を取りに行くことができる。例え中途で面接を受けたとしても、そんなことを中途にしてくれる会社は中々ない。
 また、入社してしまうと、自身が会社の看板を背負うこともあり、そこまで好きかって聞くことはできない。そもそも直接話を聞くために理由が必要になる。

真剣に大人が向き合ってくれるし、自分も向き合える機会

 なにも『就活っていいもんだよ!!』というつもりはない。しかし、人によっては自分自身を知るチャンスをみすみす逃す結果になってしまうかもしれない。自分の事を理解するということは、自分の取り扱いを理解できるという事。つまり生きやすくなる。

 もちろん、相手によってはマウンティングしてきたり、ボロボロに打ちのめされることもあるかもしれない。でもそれは、相手がたかが30分・1時間自分の事を見て、決めつけた結果話している事だ。逆にその時間だけで分かったつもりになれる方が危ない。その人は社内でいろんな人の可能性を潰してしまっている可能性だってある。そんな会社はこちらから願い下げて当然だろう。

 僕は採用に携わる人事だ。でもその前に一人の人間である。今、目の前にいる人の人生の幸せを願えずに家族や友達、一緒に働く仲間を幸せにできるとは思わない。もちろん目標や数字は大切だけど、自分の目標や数字のためだけに目の前の人の人生を左右するようなことはしたくないし、人事や企業側の人たちも考えてほしいと思う。

より多くの人が自分らしく、働きやすく、生きやすくなりますように。

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