聖地巡礼五感を磨くリトリート吉野古道①
初日は蔵王堂からスタートしよう、と、今年の吉野は決めてました。
毎年櫻本坊での修行の後、最後に蔵王堂にお参りに行くことが多かったのですが、金峰山修験本宗の総本山である「金峯山寺」からスタートした方がすっきりと心地いいだろうと思ったのです。
前泊組は、芳雲館をチェックアウトした後、竹林院でのお庭を散策して蔵王堂までテクテク向かいます。豊臣秀吉が桜の花見の際利用したという竹林院は千利休の手が入ったお庭が本当に美しい。(拝観料は400円)
http://www.chikurin.co.jp/teien.php
竹林院でのんびりと気持ちいい時間を過ごした後、蔵王堂への坂道を降りていきます。
大阪組、京都組は吉野駅で送迎バスでお迎え。
11時50分には全国から18名の仲間が集合し感動の再会を喜びます。
12時からの蔵王堂でのとも祈りに参加し祈祷をお願いしたのですが、この日は沖縄全戦没者慰霊の日。
とも祈りの梵鐘をついて、慰霊の法会が行われました。
偶然のようで必然の日。全国や世界への平和を祈る時間でした。
梵鐘の音、螺貝の音、や護摩の炎が龍のように踊るようなエネルギー。
疫病退散とも祈り長日採燈護摩供、五條良知管長猊下のご修法はありがたく、修行のスタートを切るのにふさわしい時間となりました。
その後は、2つのチームに別れて我々は櫻本坊さんにて「道開きの香りのワークショップ」に参加しました。櫻本坊さまの祈りの香りを全て作られている方から直々にお勉強させていただくことに。
幸福の花、鈴蘭をベースに自分たちで香りを組み合わせて自分の香りを作ります。
ミュゲをベースに、トップノートにはレモン、ミドルからラストに向けてイリスやジャスミンのような香り、ラストノートに、サンダルウッドやムスク、ベンゾインなどの香料を使用し、自分で香りをデザインして設計していきます。一つひとつの香りの意味などを教えていただきながら、仕上がりをイメージしてデザインするという経験はとても貴重なものでした。
出来上がったものはそれぞれ香りが違うのですが、不思議とその人を彷彿とさせるような香りのイメージになっていました。やわらかな香り、爽やかな香り、すっきりした香り、など同じものをベースにしてもこんなにも違うんだなーとみんなで香りを比べて、形のないもののイメージを伝え合うのはとても新鮮でした。
出来上がった香りは講堂で祈祷していただきました。
古来香りは清めるものであり、神聖な役割をしていたもの。「道を開く幸せの香り」を自らつくることは、特別で貴重な体験をさせていただきました。
15時からいよいよオリエンテーション。
この櫻本坊さまで得度を受けられ、子どもたちやリーダーなどの研修を何十年もされてきた由美さんからこのリトリートの意味や心構えをお話しいただきます。
櫻本坊さまは、1300年前に建立された歴史ある場所。
1000年以上前から続く学び場でたくさんの人が学んできたこと。
どんな風に自分が生きていくのかをデザインする場所。
人は成長のために生きているが、成長できる場にいないと成長できない。
そのためには環境が大事。誰と過ごすか、どんな場所で過ごすか、そのためには「気づく力」「観察する力」「五感を磨き自分を観ること」
そして、初参加の方からお一人ずつ、なぜ吉野に来たのか、その目的についてお話しいただきました。
熱い想いは空間をふるわせるようで、それぞれの人生の節目にあたる時期に来られたんだなぁ、と、ここに来れたことが偶然ではなく必然であることを感じる時間でした。
また、今回のリトリートの間は「沈黙」をテーマにしましょう、と櫻本坊の伯舟さまからご提案がありました。
今、何を考えて、何を感じているのか、意識的に内観する時間を取ること。
日頃忙しい環境から離れて、一歩立ち止まってこの場にいる中で自分自身に気づく力をつけていくこと。
このリトリートのテーマは「五感を磨く」
宇宙や自然という吉野という大きなテキストから、どう受け取るか、どう解釈するか、そのための受け取る力を開けるように。
瞑想をして「気配に気づく」ワークを実施することで、少しずつ日常モードから修行モードへと切り替わっていくのでした。
宿に行き、お風呂で身を清め、食事が済んだら再び「光と香りの瞑想」を行うために櫻本坊さまへ。
100畳のお部屋に入る入り口で掌に香油をつけていただきます。掌全体に広げて香りを吸い込んでから、丸く円を描くように蝋燭が置いてある中へと入っていきます。
月をイメージした光の中に入っていくと、静かな感覚が湧き上がってきます。
安寿さまの声に誘われ、イメージの中で森の中に入っていき、泉を見つめ、自分自身の姿を静かに見つめる時間。
香油の香り、蝋燭の明かり、森の匂い、頬をわたる風が心地よく、どんどんと深いところに降りていきます。
私たちはどこからやってきて
そして、どこに行こうとしているのか
静かな静かな瞑想
終わった後も、ぼんやりとしたゆるやかな時間が愛おしくて
そのまま微睡の中でゆるゆると自分をいたわり
仲間をいたわるような慈しみ深い時間を過ごしました。
そんな風に
初日は、静かに自分自身を内観する時間で幕を閉じたのでした。
続く