1行目で瞑想状態になれる本
専門学生の時にはまっていた「北森鴻」という小説家さんの小説を久々に図書館で借りて読んでみたら、またドはまりしています。
いつも200~300ページの実用書や興味のある専門書を選んで読んでいますが言葉が難しかったりすると結構読み切るのに時間がかかります。
そうなると斜め読みで進めるんですが、たまに気になる事があると少し戻って読み直すので斜め読みしても、そんなに早く読み終わりません。
「読まないと」という気持ちと、時計を見て「この時間をかけて読んでもまだ終わらない!」という気持ちと「でも、内容は気になる!」みたいな気持ちがごちゃまぜの状態で本を読んでいますが、北森鴻の世界に浸っている時の感覚はとんでもなく穏やかで、瞑想のような感覚になっています。
特に好きなのが「香菜里屋シリーズ」です。
香菜里屋というビアバーにくるお客さんが毎回主人公のミステリーで、香菜里屋の店主の工藤がいつも毎回お客さんが持ち込む謎をとんでもない推理力で解決したり、良い着地点に持っていく。
考えて見たら、私は工藤のような神レベルの観察眼と幅広い知識を持ち合わせている人間が大好物で、めちゃくちゃ憧れます。
そんな人間になりたい。
あと、最高なのが料理の描写で、工藤の出す料理は毎回美味らしく、いつもいつも羨ましい。
誰か香菜里屋開いてくれないかなって真剣に思っています。
北森鴻作品は香菜里屋以外にもシリーズがありますが、香菜里屋シリーズが短編集みたいな感じなので「今日はこの謎」「明日はこの謎」って1日の楽しみになっていて、お話の長さが時間的にちょうど良く、満足度も高い所がお気に入りポイントの1つなのと、改めて何が良いのかもう一回考えた時に「登場人物に嫌な人がいないな」と気付きました。
香菜里屋に関わる全ての人が優しい。
優しいし、人間らしい。
愛しいな、と思うような人物設計と工藤の博愛に似た心と推理力。
それがすべて私のツボなんだろうな、と思います。
私は読書の時「視覚」を使います。
今は耳で読むようなサービスもあるけど、私は自分のペースで進められる本が好き。
「読む」という作業が「視覚で感じるもの」と言って良い事とすると、北森鴻の作品、特に香菜里屋シリーズは1行目からすっと瞑想状態に入れるとても素敵で貴重なモノです。
今本棚には昔買った資格関係の本が並んでいて目に入る度少し気が重たくなるんですが、今の私には勉強の本じゃなくて北森鴻の本の背表紙が必要な気がしています。
いろいろ五感で感じた事を自分の部屋に反映させてみたらどうなる?というアイディアが増えてきました。
これはそろそろ計画して実践していかなきゃなと思います。